NEC(遠藤信博社長)で情報・通信システムを構築するための基盤(プラットフォーム)製品を開発・販売する「プラットフォームビジネスユニット」。担当商品であるサーバーやストレージ、ネットワーク機器などのハードとソフトウェアで、2012年度(13年3月期)に売上高4100億円の確保を目指している。全国を網羅する販売店を組織して強力な間接販売網を築く同社は、今年度どんな策を講じ、どのような成果をあげたのか。年度末が迫ってきた2月上旬、同ユニットの販促部隊「プラットフォーム販売本部」のトップ、吉泉康雄プラットフォーム販売本部長に聞いた。(取材・文/木村剛士)
販売店向け教育、さらに充実
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吉泉康雄 プラットフォーム販売本部長 |
プラットフォーム販売本部は、サーバー、ストレージ、シンクライアントなどのIT機器と通信機器、ソフトウェアの販売業務がミッションだ。パソコンと携帯電話は担当から外れるが、情報システムを構成するための主要なハード・ソフトの拡販は、同本部が担っている。
プラットフォーム販売本部を傘下に置くプラットフォームビジネスユニットでは、2012年度の目標として、09年度実績と比べて363億円を積み増した売上高4100億円の確保を掲げている。IT機器(ITハードウェア)で30%、ITソフトウェアで25%、ネットワーク機器で45%――がその内訳だ。
今年度を振り返って、吉泉康雄・プラットフォーム販売本部長は、「総じて好調」と語った。その理由は「ユーザーからの要望が強いITソリューションを、販売店が売りやすくするための支援内容と体制を用意できたこと」と話し、販売店との協業による成果を実感している。
プラットフォーム販売本部では今年度、「仮想化」「シンクライアント」「バックアップ」「FTサーバー」など、需要が強いと判断したいくつかのソリューション分野を設定し、それらを販売店が売りやすくするための施策を講じてきた。その支援策の代表例が「教育」だ。
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本永実 グループマネージャー |
キーワードに掲げる「仮想化」では、仮想化に特化した教育・認定制度を09年12月から開始していたが、今年度から本格的に展開した。すでに販売店のSE約370人が認定技術者になっている(11年2月上旬時点)。従来から推進している「FTサーバー」「ブレードサーバー」とともに、「販売店の技術向上の一役を担うことができたのではないか」と吉泉本部長は分析している。その成果もあって、「FTサーバーとブレードサーバーの販売台数は前年比30~40%増で推移している」(本永実・プラットフォームマーケティング戦略本部<商品企画チーム>グループマネージャー)という。
教育プログラムは、販売店に評価され、実績も現れていることから、他の製品でも手がけている。2月からはストレージに特化した技術者認定制度を始めたほか、来年度には社内の営業担当者の提案力向上のために、NEC内で行ってきた教育制度をパートナーにも移植する計画だ。
“組み合わせ提案”が奏功
吉泉本部長は、教育だけでなく、各製品群を組み合わせた提案を販売店が実行していることも高く評価している。プラットフォーム販売本部は、3年前につくられた組織で、それ以前はサーバーを販売する部隊と、ネットワーク機器・ストレージを販売する部隊に分断されていた。これらの製品群の販売部隊が融合したのがプラットフォーム販売本部で、その効果を吉泉本部長は感じている。
「各製品を組み合わせて、ユーザー各社の問題を解決できるソリューションとして提案しなければ、販売店もプラットフォーム関連の製品を拡販することができない。そうした意味では、組織の壁がなくなったことで提案に厚みが出た」(吉泉本部長)。その成果として、ブレードサーバーを販売したプロジェクトのなかで、「約半分はストレージも合わせて販売することができた」(本永グループマネージャー)という。
市場環境が好転してきたとはいえ、複数の製品群で前年度を大幅に超えそうで、製品を組み合わせた複合提案と、販売点の教育については来年度も引き続き強化する方針を示している。x86サーバーについては、吉泉本部長は「来年度は今年度比で8~10%増を達成したい」と意気込んでいる。