データセンターサービスを提供するカゴヤ・ジャパン(北川貞大代表取締役)は、レンタルサーバーサービス「KAGOYA Internet Routing」のサービスの一つとして「メールプラン エンタープライズ」を開始。ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン(本富顕弘社長)が販売するUTM製品「WatchGuard XTM 21」を採用した。障害対応で、メールシステムに要求される高いセキュリティレベルと多様なサービスの必要性を再認識したのがきっかけだ。
カゴヤ・ジャパン
会社概要:京都市中京区に本拠を置くデータセンターサービス事業者。1926年、茶摘かご販売店として創業。83年にカゴヤガス設備を設立。98年にISPサービス事業を開始。02年にカゴヤ・ジャパンに社名を変更した。
プロダクト提供会社:ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン
プロダクト名:「WatchGuard XTM 21」「同 XTM 505」
メールプラン エンタープライズのシステム構成
出典:ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン
カゴヤ・ジャパンのレンタルサーバーサービス「KAGOYA Internet Routing」は、個人・法人を合わせて3000社、2万ユーザーの利用実績をもっている。
従来、「KAGOYA Internet Routing」で提供しているメールサービスは、某ベンダーのセキュリティアプライアンスを利用していた。だが、2010年夏に障害が発生。メールが通常通りに利用できない事態が起きた。このことから、カゴヤ・ジャパンでは顧客規模に応じて柔軟にシステム構成を組むことができ、かつ可用性の高いサービスとして、2011年1月に「メールプラン エンタープライズ」をリリースした。
「メールプラン エンタープライズ」は、ユーザーの規模に応じて自由にシステムを組み合わせることができるメールシステムである。専用のメールゲートウェイ、メールサーバー、メールセキュリティアプライアンスを1台ずつ基本構成として利用することができる。基本構成で1000ユーザーまで、機器を増設すれば1万ユーザーまで対応できるという。
サービス提供にあたって、カゴヤ・ジャパンでは4社のセキュリティアプライアンスでスパムの検知精度などを評価した。アプライアンスを選ぶうえで、とくにコストパフォーマンスが際立ったのが、ウォッチガードの「WatchGuard XTM 21」だったそうだ。「価格は、前回使っていた製品の2分の1以下と非常に安価。にもかかわらず、大量のメールトラフィックを処理できるパフォーマンスの高さがある。その点が導入する一番の理由だった」(カゴヤ・ジャパン技術グループDCチームの別所啓次チームリーダー)と説明する。性能の高い製品もいくつかあったが、価格面ではウォッチガードの製品が勝っていた。オールインワン製品であり、スパム処理性能やDoS攻撃などさまざまな攻撃にも対応する機能を有する強みをもっているので拡張性も高く、エンドユーザーにもメリットを訴えやすいと判断。また、下位グレードの製品からのアップグレードが容易という特色があることから、ローエンドモデルの「WatchGuard XTM 21」と、アップグレードオプションとして提供する中堅企業向け製品「WatchGuard XTM 505」の導入を決めた。
ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンの真田賢太営業部長は、「評価時からサポート窓口を設けて、カゴヤ・ジャパンさんからの質問に即答できる体制を整えた」と準備の様子を語る。カゴヤ・ジャパンの別所チームリーダーは、「製品の強みや設定の仕方など、かなりたくさんの質問をしたが、すべて答えてくれた。システム構築時に、標準構成をつくるのが大変だったが、それもウォッチーガードの技術者に手伝ってもらって無事に終えることができた」と、高く評価している。
ウォッチガードは、もともとファイアウォール(FW)のメーカーである。本来の役割である、FWの機能も高い評価を得ていることから、カゴヤ・ジャパンでは、エンドユーザーの要望を設定に反映して、FW/VPNサービスとして商品化する計画を進めている。
安価ながら多機能で、コストパフォーマンスが高いウォッチガード製品。同社の満足度は高いが、IPv6対応については他社に若干遅れており、今年度第3四半期(7~9月)になる予定だ。別所チームリーダーは、「待望のIPv6ということで、どのように対応するのか、早く情報を入れてほしい」と要望を語っている。(鍋島蓉子)
3つのpoint
・競合と比べて、安価でパフォーマンスが高い
・柔軟な構成にも対応できる
・多機能であり、さまざまな脅威に対応できる