昭和電線グループのシステムインテグレータであるアクシオ(江西和彦社長)はネットワーク認証を強みとしている。同社は2006年に、セキュリティポリシーの一環として、データをサーバー側に置くシンクライアントシステムの導入を決断し、独自のOSでIT管理者の負荷を減らすワイズテクノロジーの「Wyseシンクライアント」を選定した。
アクシオ
会社概要:昭和電線のグループ会社で、アイデンティティ管理やネットワーク構築を手がけるシステムインテグレータ。1991年に設立。従業員数は212人(2011年4月現在)。東京・虎ノ門に本社を構える。
システム提供会社:ワイズテクノロジー
製品名:Wyseシンクライアント
アクシオのシンクライアントシステム
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| アクシオ プロダクツ推進本部岡本孝本部長 |
デバイスの販売やシステム構築の事業を手がける昭和電線グループは、セキュリティを重視しており、顧客情報などの各種データを社員端末内に保存することを禁止している。グループ企業の一社でネットワーク事業を展開するアクシオは、グループのセキュリティポリシーを受け、社員やIT管理者に大きな負担をかけずにデータをサーバー側で管理することができるソリューションを探すなかで、シンクライアントシステムに着目した。ベンダー各社の製品について情報収集を行った結果、米国に本社を置くシンクライアントベンダーのワイズテクノロジーが提供する「Wyseシンクライアント」の導入を決断した。2006年のことだった。
アクシオで「Wyseシンクライアント」の導入に携わったプロダクツ推進本部の岡本孝本部長は、「シンクライアントの製品選定では、『低価格』と『管理のしやすさ』の二つを重要視した」と語る。同社はおよそ200人の社員を有しており、一人ひとりに端末を支給すれば、少なからぬ費用が発生する。2005年に日本でビジネスを開始したワイズテクノロジーは、端末を3万円台(当時)から導入できるという低価格設定のシンクライアントシステムをリリースした。「ワイズテクノロジーの製品は、価格設定が10万円以上の他ベンダーと比べて、導入コストを大幅に下げることができることが、導入決断に至った大きなポイントとなった」(岡本本部長)そうだ。
低価格に加えて、さらに導入を後押ししたのは、ワイズテクノロジーが独自開発したシンクライアント用のOS「Wyse ThinOS」が使えるということだ。岡本本部長は、「『Wyse ThinOS』は、システムのバージョンアップや設定変更などを行う際の動作が簡単で、IT管理者の負担を大きく減らす」とメリットに言及する。アクシオは、端末の導入コストを抑えることができることと、独自OSによって効率よくシステムの管理ができることの二つの点を踏まえて、「Wyseシンクライアント」の採用を決定したという。
シンクライアントシステムは、IT管理の効率化を図ることができる反面、パソコンを使い慣れたユーザーのなかには、抵抗感を覚える人が多いだろう。アクシオでも、「シンクライアントの導入を決めた最初の頃は、納得していない社員が少なくなかった」(岡本本部長)という。そこで、アクシオはシンクライアントシステムの支給を、社長をはじめとして特定の部署や部長クラスの社員に限定して、トップダウンというかたちで導入を進めた。「部長が他の社員にシンクライアントの利便性をアピールすることによって、シンクライアントに関する理解度を高めて、導入の範囲を全社に広げた」(同)という段取りを取ったわけだ。
アクシオは、ワイズテクノロジーのシンクライアントシステムの導入によって、パソコンより起動時間が短いことを生かして、営業マンの仕事の効率化を実現している。「当社の営業マンたちは、セールスに出かける直前にインターネットで住所を調べて、地図を印刷するのが習慣だ。その際、営業マンにはあまり時間がないので、端末を立ち上げるのに時間がかかれば、イライラすることになる。シンクライアントはわずか数秒で起動するので、精神的にも仕事が楽になった」(岡本本部長)と、社員にとって身近な導入効果を述べる。(ゼンフ ミシャ)
3つのpoint
・端末をわずか数秒で立ち上げることができる
・導入コストが他社システムより安い
・管理者の負荷を減らす独自OSを用意している