ウイングアーク テクノロジーズの持ち株会社である1stホールディングス(内野弘幸社長)は、中国の現地ベンダーとの積極的な協業を通じて中国事業を推進している。2009年6月に中国・上海の現地法人、文雅科信息技術(上海)有限公司を設立して以来、現地企業を中心に着実に納入実績を伸ばしてきた。
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文雅科信息技術(上海) 桜井洪明・董事長/総経理 |
文雅科信息技術(上海)有限公司は、2009年9月28日、集計・レポーティングツール「Dr.Sum EA」中国語版の販売を開始した。販売から2年目を迎えて、現地企業に20~30社、日系企業に数社の納入実績がある。桜井洪明・董事長/総経理は、「これまでの売り上げは200万~300万元」と明かす。当初目標としていた初年度1億円には届かなかったが、中国市場の攻略には欠かせない現地企業への納入は思惑通りに進んだようだ。
桜井董事長/総経理によれば、現地パートナー企業は、大きく分けて販売代理店とOEMパートナーの2種類。ビジネスインテリジェンス(BI)に特化したSIerと、金融業や小売業など特定の業界に強いSIerを販売代理店として抱えている。一方、中国に多数存在する統合基幹業務システム(ERP)ベンダーがOEM先となっており、ERPにバンドルしたりオプションとして販売したりしている。全体で20~30社の現地企業が、パートナーとして納入実績をあげているという。
同社は、売り方も“現地仕様”にしている。すなわち、「ライセンスをハードウェアにバンドルする販売形態を採っている」と桜井董事長/総経理は話す。クライアント数に応じて課金し、「必ずしも日本に比べて安価というわけではない」という。平均クライアント数は20前後で、従業員1000~2000人の企業が中心となっている。
1stホールディングスは、今年8月、ERPを中心にソフトウェアを販売している上海達策信息技術有限公司(上海達策)と資本提携したことを発表した。主に中堅企業向けのERPのインテグレーションとコンサルティングを行い、すでに約400社の顧客数を有する上海達策との協業を通じて、市場開拓と製品認知度の向上に取り組んでいる。
さらに同月、BIプラットフォームを開発・販売している北京宇動源科技有限公司(CosmoSource)と資本提携し、同社と合弁会社を設立することに合意した。CosmoSourceは、独自のBIプラットフォーム「宇加BI」を開発・販売しているベンダーである。テンプレートを豊富に用意し、比較的大規模の国有企業を中心に納入実績をもつ。1stホールディングスは、各種テンプレートなどを活用しながら、「Dr.Sum EA」の販売力強化と製品ローカライズコストの削減を図る考えだ。「Dr.Sum EA」の高速集計を可能にするデータベースエンジンやモバイル対応テクノロジーなどの開発面における協業・連携も進める方針を掲げている。
1stホールディングスは、製品、販売、マーケティングに及ぶ広範な領域で現地ベンダーと手を結んで、中国事業で2015年に15億円の売り上げ達成を目指している。(信澤健太)