富士ゼロックス(山本忠人社長)とBCN(奥田喜久男社長)は、ドキュメントソリューションに関するITベンダー向けイベント「ドキュメント市場攻略セミナー」を開催した。「ドキュメントソリューションのビジネスチャンスを探る」をコンセプトに、この分野の有識者を複数の企業から招いた複数のセッションを用意。クラウドをテーマにした基調講演、ドキュメントソリューションに対するニーズについて討論するパネルディスカッションを開き、富士ゼロックスがもつ最新ソリューションの紹介も行った。また、富士ゼロックスの最新ソリューションを紹介するデモンストレーション・展示と個別相談会の場も設け、ITビジネスに関わる約100人の来場者に、ドキュメントソリューション事業のチャンスを提案した。(取材・文/木村剛士)

ITビジネスに関わる約100人がセミナーに参加。会場を埋めつくした
ドキュメントソリューションの今
有識者による討論会を開催
 |
| 基調講演に登壇したデロイトトーマツコンサルティングの八子知礼氏。“モバイルクラウド”をテーマに語った |
 |
 |
| パネルディスカッションでは、ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)の伊藤泰樹氏(写真上)と、矢野経済研究所の河上真一氏が登場。ドキュメントソリューションの今後について熱く議論した |
 |
| 富士ゼロックスの鈴木雄介マネージャーは、パートナーとの協業事例を交えながら自社のソリューションの強みを解説した |
基調講演には、デロイトトーマツコンサルティングの八子知礼テクノロジー・メディア・テレコミュニケーションズパートナーが登壇し、モバクラ(モバイルクラウド)について解説した。八子氏はスマートフォンとタブレット端末のビジネス利用が急増することに言及。「今後は、スマートデバイスとクラウドを組み合わせた『モバイルクラウド』が伸びる」と持論を展開した。また、モバイルクラウドが普及した場合、ユーザー企業の情報システムは、「高品質・高機能だが価格が高いというシステムよりも、安くてちょうどいいICTが求められる」と話し、オンプレミス型システムとクラウド、そして紙文書をそれぞれの業務に合わせて選択する必要性を述べた。
続くセッションでは、「ドキュメント市場激論! 企業におけるドキュメントソリューション活用の実態と市場分析」と題したパネルディスカッションを開催。パネリストに、ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)のドキュメントマネージメントシステム部会の伊藤泰樹氏と、矢野経済研究所の情報通信・金融事業部の河上真一氏を招き、モデレータを『週刊BCN』編集長の谷畑良胤が務めた。
矢野経済研究所の河上氏が、「ページプリンタとインクジェットプリンタ、MFP(デジタル複合機)の国内出荷台数はほぼ横ばい」という市場環境を伝え、ドキュメントソリューションの市場拡大には、SIerがカギになることを河上氏、伊藤氏が指摘した。伊藤氏は、「デバイスメーカーはソリューションまで考えてくれるケースは少ない。ただし、ユーザーはドキュメント管理に課題をもっている。その課題解決のためのプレーヤーとしてSIerは最適」と話した。
ゼロックスの強みを訴求
個別相談会にも多くの参加者 最後のセッションでは、富士ゼロックスの鈴木雄介・ソリューション・サービス営業本部ビジネスパートナー営業部ソリューション推進グループマネージャーが、SIerとの協業事例を交えながら、富士ゼロックスのドキュメントソリューションを紹介した。鈴木氏は、「正直にいえば、SIerのみなさんはコピー機やプリンタ、MFP、そしてドキュメントソリューションにあまり関心がないはず。ただ、ユーザー企業の業務は依然、紙が中心。このギャップにこそビジネスチャンスがある」と説明し、富士ゼロックスがもつソリューションを協業事例を交えながら話した。仮想デスクトップ環境における課題を解決するソリューションを題材にし、あるユーザー企業が、3社のITベンダーの提案のなかから、富士ゼロックスと協業しているITベンダーを採用したケースを説明。仮想デスクトップ環境で起きがちな印刷トラブルを解決する富士ゼロックスのソリューションを組み込んだことが、勝因だったとアピールした。
イベントでは、富士ゼロックスがもつ各ソリューションのデモ・展示場と、富士ゼロックスの担当者と参加者との個別相談会スペースも設置。セッション後には、多くの参加者が訪れ、各ソリューションの具体的な内容について質問したり、協業プランを具体的に詰めたりする姿も見られた。約3時間半のセミナーと相談会は、ドキュメントソリューションへの関心の高さを印象づけた。

セミナー会場に併設した各ソリューション展示スペースや、個別の相談会の場にも多くの人が集まり、真剣な面持ちで富士ゼロックスとの協業を検討していた