【アプリケーションサービス編】 【NEC】
「クラウド×スマートシティ」で伸ばす
次世代都市に必要なITをDC経由で提供
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NEC(中国) 木戸脇雅生総裁 |
NECで、中国本土と台湾、そして香港地域(中華圏)の事業を統括する中国子会社のNEC(中国)。同社は中華圏での事業を年率30%で伸ばす目標を掲げており、クラウドをその成長エンジンの一つと位置づけている。
NEC(中国)の木戸脇雅生総裁が、目標達成には必要不可欠と感じているのは、「スマートシティ」関連事業を伸ばすことだ。「次世代都市の建設に必要な先進のITソリューションを総合提案する」(木戸脇総裁)ことで、ビジネスの拡大を目論んでいる。クラウド基盤の整備が重要とみており、スマートシティを構成するためのITソリューションとして、「安心・安全(セキュリティ)」「医療(ヘルスケア)」「環境(エネルギー)」「交通・物流」の四つにフォーカスしており、このカテゴリに関係するクラウドを企画・開発していく考えだ。
今年7月6日、NEC(中国)は自社イベント「NEC Innovation Solution Fair 2012」を北京で開催する。そのテーマが「クラウドで作るスマートシティ」。基調講演、セミナー、展示のすべてをクラウドとスマートシティ関連製品・サービスで一色にして、「NECの技術力を示す」(木戸脇総裁)という。
スマートシティ以外でもクラウドを伸ばそうとしており、そのためのビジネス基盤を整えている。NEC(中国)は、瀋陽東軟信息技術服務有限公司との合弁で、昨年6月に大連市に新会社を設立した。NECの共通IT基盤サービス「RIACUBE」に、NECグループや瀋陽東軟信息技術服務有限公司の親会社である東軟集団股有限公司(ニューソフト)がもつSaaSやIaaS、PaaSサービスを乗せて販売しようと計画している。
また、「スマートシティとクラウド事業を伸ばすためには、(端末は)欠かせない」(木戸脇総裁)という考えから、およそ6年ぶりに携帯電話の販売を再開する。
【DTS】
「RIC'S」に関心が高まる
販売体制の整備を進める
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| 高田政和総経理 |
逓天斯(上海)軟件技術有限公司(DTS上海、高田政和総経理)は、DTSの子会社である。同社には、購買と販売、在庫を統合管理するASPサービス「RIC'S」について、現地企業から問い合わせが増えている。迅速に導入できる点と初期投資が抑制できる点に関心が高まっているからだ。
「RIC'S」では、購買管理システムと販売管理システム、在庫管理システムの3種類をASPサービスで提供しており、各機能を単体で導入できるほか、統合して使えることを売りとしている。パッケージ製品の手軽さと、オーダーメイドの「使いやすさ」を組み合わせたサービスとしてユーザー企業に好評のようだ。
日系企業向けのSI事業を柱としているDTS上海では、「当社から現地企業に対して積極的にアプローチをかけることはしていない。しかし、問い合わせがあれば対応する」(高田総経理)という。このようなスタンスを取りながらも、徐々にユーザー企業を増やしている。
現段階では、案件ごとにアライアンスを組むベンダーが異なっているものの、今後は販売代理店の獲得を模索しており、現地企業をユーザーとして新たに開拓する体制を整える方針だ。このような取り組みで、今年度(12年12月期)は売上高として前年比15~20%増を見込む。
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