【サンフランシスコ発】米オラクル(ラリー・エリソンCEO)は、9月30日から10月4日まで、米サンフランシスコのザ・モスコーンセンターなどでプライベートイベント「Oracle OpenWorld San Francisco 2012」を開催した。今回は前回を大幅に上回る123か国から約5万人が集結した。例年と異なり、初日の日曜日はパートナー向けセッションが行われ、その席上で、PaaSを含めた同社のクラウド・サービスに関する新しいパートナー・プログラムの一部を公表。二日目には、エリソンCEOも登壇し、「Oracle Engineered System」を中核とするIaaSやマネージド型のプライベートクラウド、新DB「12c」など、新しい製品・サービスを明らかにした。(取材・文/谷畑良胤)
「オラクルならではのクラウドを提供する」と語るラリー・エリソンCEOの基調講演には約1万人が集まったクラウドを迅速構築する販社を育成
初日のパートナー向けセッションに登場したマーク・ハード社長は、基調講演で、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)やシステムインテグレータ(SIer)などのパートナーに対して、「パートナーと一緒にクラウド・サービスを展開する。これは、当社にとって大きな決定だった」と述べ、エコシステムへの参画を呼び掛けた。
初日の基調講演と講演前のプレス向けセッションに登場したグローバルのアライアンス、チャネル、組み込みセールスを担当するジャドソン・アルソフ上級副社長は、新しいパートナー・プログラムを明らかにした。新しいプログラムでは、ISVやプロバイダにISVの製品や「Oracle Fusion Applications」向けのIaaS/PaaS環境を提供したり、オープンなマーケットモデルを構築したりするほか、これらクラウド・サービスを顧客に販売するリセール・プログラムも開始する。また、パブリック/プライベート両面のクラウド・サービス環境を早期に構築できるプレーヤーをオラクルの開発者やコンサルティング担当者が支援して認定する「Specialized Oracle Cloud Builder」という制度を設けることを明言した。また、「オラクルの知的財産を使って、最も完成されたポートフォリオで、競合他社より早くクラウド・サービスを提供できる新しいオファリングだ」と説明。ハード社長は「『Fusion Cloud Application』のスイート製品を構築し、これらのクラウド・サービスが利用できるようになる」と、クラウド・サービスメニューの拡充を明らかにした。
例えば、「Specialized Oracle Cloud Builder」は、オラクル製品に特化したクラウド環境を構築するためのプログラムで、プライベート、パブリック、ハイブリッドを問わず、顧客の要望に応じたクラウド構築ができるITベンダーを育成する。また、「Cloud Service Specialization with RapidStart」というプログラムでは、迅速にクラウド・サービスを始められる仕組みを提供する。これと連携した「Resale Program」という仕組みでは、クラウドのスペシャリゼーション認定パートナーが、パブリッククラウドを活用して再販したり提案活動したりができるようにする。
「パートナーと一緒にクラウド展開する」と構想を述べたマーク・ハード社長マネージド型のクラウドを提供へ
二日目には、エリソンCEOが初めて登場し、1万人の聴衆が会場を埋め尽くした。講演は、クラウド/SaaSから始まった。「クラウドはユーティリティモデルだ。人々が電力会社のインフラを意識せずに電気を使っているように、ユーザーはシンプルなインターフェースでもってプラグインで使える」。そのうえで、オラクルのクラウドの歩みを「オラクルは2011年にクラウドを発表した。『Fusion Middleware』を拡張してPaaSをつくり、その上にCRMやERPなどの『Fusion Applications』を構築して、SaaSとして提供を開始した」と語った。
続けてエリソンCEOは、「『Oracle Cloud Infrastructure as a Service』、すなわちIaaSを提供する」と発表。ユーザーは、SaaSやPaaSだけでなく、既存のアプリケーションを、IaaSを使ってクラウドに移行することができるという。二つ目の発表として、IaaSを企業のファイアウォールの内側で自社データセンター(DC)として使える「Oracle Private Cloud」の提供を宣言。「銀行など、データを外部のDCには出せない事情のある企業は多い」(エリソンCEO)として、この問題点を克服するクラウドを開発した。「Oracle Private Cloud」は、マネージド型、つまり企業内に置くシステムでありながら、オラクル側がこれを所有し、導入、運用、アップグレードなどのすべてを行う。ユーザーは、使った分だけを従量課金で支払う仕組みだ。エリソンCEOの講演は、会期中に2回あったが、いずれもクラウドとソーシャルの内容に多くの時間を費やす内容だった。