シード・プランニング
リサーチ&コンサルティング部エレクトロニクス・ITチーム 2Gリーダ主任研究員
原健二
期待できる有望商材
電子黒板と教育用タブレットで構成する教育ICTハードウェア市場は、2009年までは電子黒板の約10億円に過ぎなかった。2009年度の補正予算で、電子黒板の整備に約160億円が投下された。国内にはまだまだ潜在需要があり、しばらくは電子黒板の整備が進む。ただし、1教室に1台しか導入されないので、市場自体はそれほど大きくはならない。
一方で、タブレット端末は1人1台である。今後は、タブレット端末をすべての児童生徒に配布することが計画されており、デジタル教科書への移行を開始する2015年度から完了予定時期の2020年にかけて、市場は大きく成長することが予想される。2016年には教育用タブレットで1000億円、電子黒板で38億円の市場規模になる見込みだ。ただし、時の政権によって目標は大きく変化することが考えられる。
製品の販売動向
電子黒板メーカーは数が少ない。製品タイプは、単価が高い順にディスプレイ一体型、ボード型、ユニット型があり、国内ではユニット型が42%、ディスプレイ一体型が40%を占める。対照的に海外ではボード型が主流だ。日本だけ異なるのは、麻生政権の時に予算がついたのがディスプレイ一体型だったからだ。だが、そのタイプを販売しているのがパイオニア1社しかなく、問題になったので、対象を広げたという経緯がある。
当初、タブレット端末は業務用のビューアにすぎなかったが、2010年にアップルからiPadが発売されたことで状況は大きく変わった。入力用の端末として普及し、コンシューマ以外に教育関係でも利用が進んでいる。こうした状況に目をつけたITベンダーは、電子黒板と親和性の高いタブレットの販売に加えて、教科書を発行している出版社と組んで、電子書籍などのデジタルコンテンツを配信するビジネスに乗り出している。
ITベンダーが注意すべき点
今後、懸念されるのは少子化だ。中長期的に市場は伸びるが、児童・生徒の数は減る傾向にある。ITベンダーには、教育機関だけでなく、すでに生涯教育や企業内教育にもノウハウを転用する動きがみられる。日本国内を飛び出して、グローバルで事業を展開する姿勢も求められるだろう。
(構成/信澤健太)
見逃したらソン! 最新データ
▼ノークリサーチ調べ
『SMBにおけるグループウェアの利用実態とユーザ評価』
導入社数シェアは、「サイボウズOffice」「Lotus Notes/Domino」「Microsoft Exchange Server」の順で、ここ数年は変化がみられない。ただし、シェア上位3製品以外の製品・サービスの動きが徐々に活発になってきている。
▼インプレスR&D調べ
『NFCビジネス最新動向調査報告書2013』
非接触ICカードやおサイフケータイなど、NFCの利用者は76.8%で、4人のうち3人がいずれかのサービスを利用している。NFCで想定されるさまざまなサービスについて利用意向を聞くと、80.3%のユーザーがNFCへの関心を示していることがわかった。