その他
実は少ないタブレット端末の法人利用
2012/12/27 14:53
週刊BCN 2012年12月24日vol.1462掲載
タブレット端末は、需要が急拡大している割に法人での利用が少ないという現実がある。
インプレスR&Dの「タブレット端末利用動向調査報告書2012」によると、2011年の法人向けタブレット端末は18万台。コンシューマ利用を含めた全体の7%程度だ。これが2012年になると、54万台と3倍に膨れ上がって全体の12%にまで構成比が高まる。このような調査結果をみる限り、市場の拡大を期待することができるが、ここに大きな落とし穴がある。
矢野経済研究所が、法人を対象にスマートフォンやタブレット端末の導入目的についてアンケートをとったところ、「グループウェアやポータルなど社内情報の閲覧」がスマートフォンで全体の69.3%、タブレット端末が59.0%。「メールの閲覧」がスマートフォンで78.5%、タブレット端末で58.1%に達した。この調査で、タブレット端末を使わなくてもスマートフォンでこと足りることがわかる。
法人がスマートフォンではなくタブレット端末を使うのは、画面が大きくて見やすいことが理由に挙げられる。実際、タブレット端末を導入する目的として比率が高いのが、矢野経済研究所によれば、「カタログやデモなど販売活動」(49.4%)、「オフィス文書の閲覧」(45.6%)などである。ただ、このような機能をタブレット端末向けに製品やサービスで提供しているITベンダーは意外に少ない。
現在、タブレット端末を業務で活用しているのは、新しいデバイスを使っての先進的な取り組みに積極的なITユーザー企業ということになる。そのため、販売に苦戦するベンダーもいる。ソフトバンク・テクノロジーでは、グループを挙げてiPadの販売に力を入れており、同社も直販を中心に販売拡大に取り組んでいる。もちろん、導入に積極的なユーザー企業から案件を獲得しているが、「タブレット端末が何の用途に使えるかを疑問視しているユーザー企業が少なくない」(鈴木重雄執行役員)と打ち明ける。セキュリティに関しても不安を抱いているという。タブレット端末で実現できる範囲は限られると認識しているユーザー企業が多いのだ。そこで同社は、タブレット端末から社内のファイルサーバーにセキュアな環境でアクセスできる「ダイレクトアクセスソリューション」を今年12月に提供を開始している。ユーザー企業の不安を払しょくして拡販することを狙う。また、直販だけでなく、販売網を形成してタブレット端末を普及させようとしている。
タブレット端末が新しいデバイスだからといって、勝手に売れていくわけではない。ユーザー企業に導入のメリットを明確に伝えることができれば、ビジネスの急拡大も夢の話ではない。(佐相彰彦)
タブレット端末は、需要が急拡大している割に法人での利用が少ないという現実がある。
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