アシストで情報基盤事業部の営業に携わっている大城壮さんについて、上司はこう語る。「『クールでドライ、部下とはビジネスライクな関係』が最初の頃の印象だったが、実は、誰よりも人間味に溢れていて部下の面倒見がよく、頼れる男だ」。社長賞を受賞して、会社に高く評価されている大城さんは、現在、販売パートナーとの協業を強化しようと考えて、関係づくりに力を注いでいる。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/横関一浩)
全力でチャネルを開拓
アシストにはおよそ300人の営業担当が在籍していて、大手企業のお客様をメインに活動を展開している。営業担当の数は、決して少ないわけではない。しかし、当社が方針に掲げている中堅・中小企業(SMB)市場を開拓するには、実際のところリソースが足りない。そんな状況にあって、当社に必要なのは、SMBを得意とする販社とパートナーシップを組むことだと、私は捉えている。
チャネル開拓を専門として取り組む組織は、これまでアシストにはなかった。上司に、SMBに強い販社と提携してビジネス展開する計画を話したら、「いいアイデアだね。やってみたら?」といわれ、自分で計画を進めていく裁量を与えてもらった。
SMBは、大手の企業とはまるで文化が違う。大手企業向け提案に慣れている営業担当がSMBに足を運んで製品を訴求しても、受注につながらないことが多い。私はそう分析して、SMBの文化に馴染んでいて、市場開拓に熱心な某有力IT販社に、「パートナーになっていただけないか」とアプローチすることにした。
実は、私の部下がそのIT販社を、当社の製品を使っていただいているお客様として担当していた。そのパイプを生かして、先方の担当者にソフトウェアの販売で提携したい旨を伝え、パートナーシップの話を進めた。ところが、ある日、先方から怒りの電話をいただいた。「当社は本気でやるつもりだが、アシストには、本格的に取り組む姿勢がみえない」という厳しいお叱りの内容だった。
こちらは、本気の姿勢を一生懸命にアピールしたはずだったので、最初はかなりのショックを受けた。しかし、よく考えてみたら、提携をどれほど速く実現するかのスピード感について、販社と当社の間に食い違いがあったことがわかった。「すぐに実行したい」という先方からの要望を受けたことを大切な機会と捉えて、私はこれまで以上にスピードを重視し、迅速な対応を心がけるようになった。夜も携帯電話を手放さず、いつでもどこでもすぐに返信ができるよう、準備を整えていた。
このようにいろいろ苦労はしたけれども、めげずに努力した結果、その販社と強力なパートナーシップを築くことができた。今は、一緒にSMB市場を少しずつ開拓している段階だ。このIT販社だけでなく、他の販社との提携も推進中である。
チャネル開拓の仕組みは、「やってみたら」という上司のひと言を後押しと捉えて、全部、自分で考えてきた。こうして新しいことに挑戦することに営業としてのやり甲斐を感じていて、自由に考えてやらせてもらえることを会社に感謝している。
●日常使う営業ツール.......... 大城さんは、ノートとペンを営業活動の有効なツールとして使っている。「商談の場でお客様の話を聞き、簡単な絵や図を描いて『こういうことでいいですか』と内容を確認する」そうだ。アナログな道具を駆使して、顧客の要望を正確に把握することを心がけている。
●上司からのひと言.......... 「大城君は、本質を見抜いて物事をシンプルかつ最短距離で考える『課題調整力』、仕事に関わるあらゆる人をリスペクトして対峙する『調整力』、仕事を完遂する『馬力』に加えて、責任感の強さとそれを支えるプライドの、どれもずば抜けている。彼のような逸材の活躍は、会社だけでなく、IT業界の将来にとってもすごく重要だと感じている」(情報基盤事業部 営業統括部 営業3部の根津豊部長)