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中小企業のSaaS市場に風穴を開けるか シマンテックのクラウド戦略
2013/03/14 21:03
週刊BCN 2013年03月11日vol.1472掲載
SaaSは中小企業と相性がいい。SaaSこそ、中小企業のIT化を進める最適な提供形態だ──。そういわれて、もうどれくらいの時間が過ぎただろうか。「初期投資が少なくてシステム管理者も不要。月・年額制だからいつでも始められるし、やめられる」。そんなうたい文句で、ITベンダーはユーザーにSaaSを提案するが、中小企業にそれは今も浸透しているとは言い難い。
そんななか、セキュリティの大手、シマンテック(河村浩明社長)が従業員100人以下の中小企業を狙った新SaaSを発売した。パソコンのマルウェア対策に必要な機能をもつサービスで、3年契約すれば1年間の利用料金は3000円を切る。ありそうでなかったこのサービスの売れ行きが、国内SaaS市場の明暗を分ける試金石になるとみられる。 理由は二つある。一つは、販売する対象企業・団体の数が多いこと。パソコンはユーザー企業の業種・規模を問わず、すべての法人が保有する。そのセキュリティ対策は必須で、ユーザーは、いやでも投資を求められる分野だ。新サービスを販売する対象は、パソコンの台数と同じくらいあるといっても過言ではない。 シマンテックの調べによれば、従業員100人以下の企業の60%は、個人向けのセキュリティソフトを家電量販店などで購入しているという。店頭でパッケージを購入するよりも、新SaaSを使ったほうが機能と価格の両面でメリットがあるのは明らか。広大なマーケットが広がっているというわけだ。 もう一つの理由は、河村社長が描く販売戦略だ。シマンテック日本法人のビジネスはここ数年好調で、2010年度は前年度比13%増、11年度は17%増、12年度も第1四半期の数値で13%増。時期によっては、米国本社の数値を上回っている。その好調要因となっているのが、河村社長の販社を重視する戦略だ。2010年に就任した河村社長は、それまで「パートナーへの支援が手薄だった」体制を見直し、その再構築が奏功して今の好業績がある。河村社長は「とくに新しいことはしていない」というが、製品・サービスの特徴と提案ポイントを教え、見込み顧客を発掘して紹介し、共同で提案することに力を入れている。王道といえるチャネル戦略を推進したことが、売り上げ伸長のポイントだというのだ。 河村社長は、この新サービス「Symantec Endpoint Protection Small Business Edition 2013」を今年度とくに拡販するサービスに位置づけ、チャネルを通じて拡販する意向だ。販社である富士ゼロックスがこの新サービスの再販に意欲を示している状況という。地道なチャネル支援活動で成功し、それを今回の新SaaSにも移植して、広大なマーケットに挑む。成功すれば、思うように拡大しない国内の中小企業向けSaaS市場を切り開く一つの方法になる。(木村剛士)
SaaSは中小企業と相性がいい。SaaSこそ、中小企業のIT化を進める最適な提供形態だ──。そういわれて、もうどれくらいの時間が過ぎただろうか。「初期投資が少なくてシステム管理者も不要。月・年額制だからいつでも始められるし、やめられる」。そんなうたい文句で、ITベンダーはユーザーにSaaSを提案するが、中小企業にそれは今も浸透しているとは言い難い。
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