SIerの強みは「トータルサービス」の提供にある。生産から販売、人事、財務会計、情報共有、セキュリティなどの情報システムをワンストップで提供できるのがSIerの醍醐味だからだ。しかし、海外に進出しているSIerは、ややもすれば「トータルサービス」が十分に提供できないという課題を抱える。とくに人事や会計は、国ごとに法律が異なり、日本のパッケージをもっていっても役に立ちにくい。

「トータルサービス」へのハードル

　ITホールディングスグループのTIS上海法人は、2012年10月頃から中国地場のソフト開発ベンダー、上海藍灯軟件科技が開発した人事管理パッケージソフト「Landa HRM」の販売をスタート。労務管理の法制度は頻繁に変わるので、「地場の専門ベンダーが開発した製品を扱うのが効率的」と、TIS上海の楊曉瑛・営業部長は採用の理由を説明する。

　藍灯の婁蔚冬プレセールスディレクターは、「人事管理を専門的に開発している当社は、法改正にいち早く対応できる」と、地場ベンダーならではの強みを生かしている。TIS上海の顧客層は日系ユーザー企業が多いので、藍灯と共同して日本語版を開発。日本語版の代理店として年間10社ペースでの販売を目指す。

　一方、日立ソリューションズ中国法人は、流通・小売業向け店舗シフト管理システムを独自に開発。これについては次号でレポートする。（安藤章司）