グループウェアを提供するサイボウズ(青野慶久社長)は、クラウド事業の強化や従業員数1000人以上の大企業の開拓、海外展開などに力を注ぎ、ビジネスの拡大に取り組んでいる。4月に開催した販売会社向けイベント「サイボウズ パートナーミーティング 2014春」で、青野社長は「新しいサイボウズをつくる」ことに意気込みをみせた。販社に対して、グループウェア活用でチームワークの向上を図るという切り口の提案活動に力を入れてもらうように促し、パートナーとともに事業を伸ばす方針を示した。(取材・文/ゼンフ ミシャ)
積極投資で競争力を向上

サイボウズの成長戦略を語る青野慶久社長 数多くのパートナー企業関係者が集まった東京ドームホテル(東京・文京区)の会場。サイボウズの青野慶久社長が、「2014年度(14年12月期)は、利益のすべての金額をクラウド事業に投資する」と語り、クラウドに注力する本気度をアピールした。海外のクラウドベンダーが低価格を武器にして市場開拓に取り組んでいるなかにあって、サイボウズは積極的な投資によって技術力を磨き、国産ベンダーとして強みを発揮する。
サイボウズは、成長戦略の核として、グループウェア製品をクラウド型のサービスとして提供する事業に力を入れている。青野社長は、イベント会場でビジネス方針を説明する際、このことを強調した。同社は、2013年、クラウドビジネスが昨対比450%と大きく拡大。14年も企業向けアプリケーションを提供するクラウドサービス基盤「cybozu.com」などクラウド製品の販売が好調で、さらなる成長を見込んでいる。
「この勢いで、パートナーとともに案件の獲得に動きたい。クラウドはビッグチャンスなので、見逃さないでいただきたい」(青野社長)と訴えた。
サイボウズは、クラウド事業の強化を前提に三つの領域に注力する。大企業向けビジネスの強化、業務アプリケーション開発基盤「kintone」事業の育成、そして海外市場の開拓だ。
同社は、これまで中堅・中小企業(SMB)を重点的なターゲットにしてきたが、今年から、大企業に最適化したエンタープライズ向けグループウェア「ガルーン」などを商材にして、従業員数1000人以上のユーザーを開拓していく。さらに、「kintone」の販売拡大に動く。国内だけでなく、米国をはじめとする海外市場の開拓に挑み、グローバル規模で「kintone」事業を伸ばす方針だ。
青野社長は、「プラットフォームを強みにして、海外で勝負したい」としている。

映像を使ってサイボウズ製品の導入事例を紹介
「クラウドサービス」など、四つのキーワードを掲げる活用事例を紹介
「サイボウズ パートナーミーティング 2014春」では、青野社長のプレゼンテーションのほかに、今年度、販売に力を入れている製品・サービスを詳説。「ガルーン」、SMBも使いやすいグループウェア「サイボウズOffice」、「kintone」の各プロダクトマネージャーが製品動向や今後のロードマップを紹介した。さらに、タイムコンシェル、JBアドバンスト・テクノロジーなどの担当者が自社で取り組んだ事例を紹介し、サイボウズ製品の活用シーンを伝えた。