日本マイクロソフトは4月19日、「Windows Server 2019」ベースのHCIソフトウェア「Azure Stack HCI」の拡販を本格化させることを明らかにした。来年1月14日に迫る「Windows Server 2008 R2」のサポート期限終了に伴う移行の受け皿としての提案のほか、「インテリジェント・エッジ」を実現するハイパフォーマンスでコスト効率の高いオンプレミスのインフラ製品としても売り出していく。

 マイクロソフトのHCIソリューションとしては従来、「Windows Server 2016」にHCIを実現する機能として「Windows Server Software Defined(WSSD)」が実装されており、Azure Stack HCIはWSSDをリブランドしたもの。Azureの各機能をオンプレミスで提供する「Azure Stack」からコンピューティング・ストレージ・ネットワークのソフトウェア・デファインド技術を切り出したものともいえる。

 同社クラウド&エンタープライズ本部の佐藤壮一・プロダクトマネージャーは、Azure Stack HCIがWindows Server 2016ベースのWSSDから進化したポイントについて、「インテルの最新ハードウェアにOSネイティブで対応するなど、高速化は非常に大きな強化ポイント。昨年同社と共同で検証した際には、約1380万IOPSという記録を出している。HCIの競合製品と比べてもパフォーマンスの高さは圧倒的だ」と解説。その仕上がりに自信を見せる。
 
佐藤壮一
プロダクトマネージャー

 さらに運用の効率化の観点でも、WSSDから大幅に進化したという。Azureとの連携も含めてカバーするサーバー管理ソリューション「Windows Admin Center(WAC)」により、「AzureやAzure Stackとの一体的な運用が可能になる」(佐藤プロダクトマネージャー)として、同社はAzure Stack HCIがハイブリッドクラウド戦略でも大きな差別化要素をもたらす製品であることを強調する。

 用途としては当面、レガシーアプリケーションや既存の仮想マシンのオンプレミス環境をモダナイゼーションするといったケースを想定しているという。ニュータニックスやヴイエムウェアなど、HCIで先行するベンダーも競合になるが、佐藤プロダクトマネージャーは、「OSのライセンスにHCIの機能が組み込まれているため、HCIソフトウェアライセンスや仮想化技術のライセンス分の追加費用が不要で、他社製品と比べると大幅なコスト削減ができる」と説明する。
 
浅野 智
業務執行役員

 さらに浅野智・業務執行役員クラウド&エンタープライズ本部本部長は、「将来的に、IoTなどのエッジ側で高負荷の処理が求められるような場合でも、Azure Stack HCIは有効な選択肢になる」と話す。AWSやグーグルもハイブリッドクラウドの需要に目を向け始めたが、「AWSは現在のところIaaSだけ、グーグルはコンテナだけしかハイブリッドに対応していない。当社はあらゆるレイヤーで広範なハイブリッドクラウドソリューションを提供することで、Azureのパワーをより多くのユーザーに活用してもらう」(浅野業務執行役員)という。Azure Stack HCIはマイクロソフトにとって、クラウド市場のライバルに対する差別化ソリューションとしても重要な商材だと言えそうだ。(本多和幸)