経済産業省は、先進的なデジタル経営に取り組む企業を格付けする制度「DX格付」(仮称)を来年度中をめどにスタートさせる。経産省が推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)を実践する企業を、第三者や専門家の評価を交え、客観的な格付けを与える。これによってDX先進企業に対する国内外からの投資や、優秀な人材が集まりやすくする。経産省は東京証券取引所と共同で「攻めのIT経営銘柄」を選定しているが、この制度と整合性を図りながらDX格付を浸透させていく。

経済産業省 瀧島勇樹課長

 今回、新しく始めるDX格付は、国の指針にもとづいてDXによる優れたデジタル経営の取り組みをしている企業を認定。認定手順の詳細は今後詰めるが、「攻めのIT経営銘柄」と同様、専門家の評価を踏まえた「より明確な格付けになる」(経済産業省の瀧島勇樹・商務情報政策局情報技術利用促進課課長)見通しだ。経産省では「DX推進指標」をつくり、企業が自身のDX成熟度の自己診断を行えるチェックリストを今年7月末に公開している。チェックリストは任意で集計し、自社のDX成熟度が全国平均のどのあたりにいるか分かるようにする予定だが、これはあくまでも「任意」による「自己診断」を基本としている点が異なる。

 根拠となる法律として、情報処理促進法の一部を改正する案が10月15日に閣議決定されており、この臨時国会で可決成立する見込み。国としてDX格付を認定することで、「先進的なDX企業に国内外から投資や人材が集まりやすい環境」(瀧島課長)をつくる。改正情報処理促進法では、このDX格付のほかに、社会全体でデータを連携し、共有する基盤をつくること、国の調達におけるクラウドサービスの安全性評価の仕組みをつくることなどを盛り込んでいる。

 データ共有基盤は、例えば自治体のオープンデータや、公共性の高い企業のデータが数多く存在しているが、データ形式が異なるためにうまく共有し、活用できない課題を抱えている。民間企業においても、クルマの自動運転を支える基盤といった協調領域については、データの互換性、共有化によってイノベーションが促進される効果が見込まれる。そこで、経産省では情報処理推進機構(IPA)にデータ共有の基盤設計、専門家の育成を担う「産業アーキテクチャ・デザインセンター」(仮称)を10~20人規模で開設する。また、国の調達の際にクラウドサービスの安全性評価を行う機能もIPAに追加する。

 経産省では、DXを推進する観点から、まずは企業経営のデジタル対応を促進。レガシーシステムを刷新し、「サイバーとフィジカルが融合するデジタル時代における競争力を高める」(瀧島課長)ことをDX格付で明確化する。その上で、公共団体や企業のデータを共有し、活用する基盤づくりに取り組むことで、イノベーションを促進。デジタル時代における国際競争力の向上につなげていく方針だ。(安藤章司)