スロバキアに本社を置くセキュリティ企業のESET(イーセット)は、日本でのビジネス拡大にあたり、国内で提供する製品・サービスのラインアップ拡充を進めている。ユライ・マルホ最高技術責任者(CTO)はインタビューで、「サイバー攻撃の予知から防御、検知、対応まで、それぞれのポイントをカバーする製品をそろえている」と語り、その中で、今後注力する製品やテクノロジーを説明した。

ESET本社のユライ・マルホCTO(右)とESET ASIAのルーカス・ラスカCOO

 「予知」にあたる部分では、クラウド型脅威インテリジェンスサービスの「ESET Threat Intelligence」を用意。サイバー攻撃の予兆や脅威動向などについての情報を提供する。日本では同社総販売代理店のキヤノンマーケティングジャパンが、2020年1月に提供を開始すると発表している。

 「防御・検知」では「ESET Endpoint Protection」を提供。マルホCTOは製品の特徴として「『UEFIスキャナー』などのユニークなテクノロジーを用いてエンドポイントの中で多層防御を行っている」ことや、脅威のレベルに応じてアラートを出す基準を調整するなど「顧客別にカスタマイズできる」ことを挙げる。また、「検知」ではクラウド型サンドボックス製品として脅威を分析し、「ゼロデイ攻撃に対策としても有効」(マルホCTO)という「ESET Dynamic Threat Defense」も用意している。

 「検知・対応」にあたるのはEDR製品の「ESET Enterprise Inspector」で、10月に発表した最新版では対応する端末数を最大1万8000台まで拡張。また、サイバー攻撃に関するフレームワーク「MITRE ATT&CK」との相互参照が可能になり、MITRE ATT&CKの分類に準じて、検出した脅威がどのような脅威なのかを顧客側で簡単に把握できるようになったという。EDRは同社の防御製品との併用を想定しており、、「統合的に利用することで、しっかりとした予防と対応ができる」とマルホCTOは強調する。

 また、直近では11月に新製品のフルディスク暗号化ソリューション「ESET Full Disk Encryption」を海外市場でリリース。統合管理ツール「ESET Security Management Center」最新版のアドオン機能として利用でき、日本では来年中に提供を開始する予定だ。

 ESETは昨年9月、日本法人のイーセットジャパンを設立。黒田宏也・カントリーマネージャーは、製品ラインアップの拡充や本社から発信されるマルウェア情報の日本語化など、「総合的なセキュリティ対策をお客様に利用していただけるベースができてきた」と手応えを語る。今後については、「本社では新たな製品の開発や新機能の追加を行っている。それをどのようにして、いち早く日本のお客様に届けていくかにフォーカスを当てていく」と語った。

 また、ESET ASIAのルーカス・ラスカ最高執行責任者(COO)は、日本法人の設立によって「日本のパートナーやマーケットに対する理解が深まった」と話し、日本のパートナーとの協力体制も強化できたと強調。「アジア太平洋地域において日本は(売り上げ全体の)50%以上を占める。今後の伸びしろが大きいマーケットだと確信している」として、引き続き日本市場に対して投資していく方針を示した。(前田幸慧)