日本IBMは7月3日、量子コンピューターに関する取り組みの最新状況についての説明会を開いた。同社の森本典繁・執行役員最高技術責任者研究開発担当は、技術発展の見通しについて「直近のブレークスルーは数年以内」との認識を示した。

森本典繁 執行役員

 森本執行役員は「IBMは1970年代から量子コンピューターの論理的な研究をしており、2000年以降から量子効果を制御する技術が現実のものになった」とし、「毎年、量子コンピューターの計算機としての性能を高めることに成功しており、量子コンピューターの本格的な利用・応用の時代に向けて準備を始めている」とこれまでの経緯を紹介した。

 森本執行役員は、世界中で必要になる計算機資源は12カ月で2倍ずつ増えている一方、コンピューターの性能向上のペースは18カ月で2倍とし、「IBMは10年以上前から、この差が広がっていくことを懸念している。新しい世代のコンピューティング技術の研究をする中で、(差を埋めるために)最も期待の高い技術の一つが量子コンピューターだ」と解説した。

 量子コンピューターの性能は、飛躍的な向上が予想されている。IBMが今年1月に発表した最新機は、量子コンピューターの性能を示す量子ボリュームは32だった。17年は4、18年は8、19年は16となっており、森本執行役員は「過去4年で毎年2倍ずつ性能を向上しており、IBMはここから先も毎年2倍ずつの向上を目指す計画を発表している」とし、「スーパーコンピューターの能力を超えるブレークスルーがいつ起こるか、今の量子コンピューターを経験している方々にはおぼろげに見えているだろう」と述べた。

 ただ「スーパーコンピューターの性能も向上することが予想されるため、スーパーコンピューターと比較した場合のブレークスルーがいつ起こるか示すことは非常に難しい」と前置きし、「量子コンピューターの対応する分野は多様にわたっており、ブレークスルーの時期は、ものによっては数年以内になる可能性があるし、10年以上かかるものもある」との見解を示した。

 日本の状況については、産学連携の取り組みなどを示し、「ハードウェアやソフトウェアの開発だけでなく、開発環境やソフトウェアの使い方、量子人材の育成など、幅広い面で取り組んでいる」とし、「日本は、世界中の研究開発拠点の中で最もアクティブで、最も投資されている拠点として運営されている」と語った。東京大学内に設置する新しい産学連携イノベーションコンソーシアムについて、近く立ち上げを発表する予定も示した。(齋藤秀平)