その他
外資大手ベンダーが中小企業の支援を強化 今こそデジタル変革の推進を
2020/09/24 09:00
週刊BCN 2020年09月21日vol.1842掲載
新型コロナウイルス感染症の蔓延が長期化し、特に中小企業への影響が深刻になっている。企業規模を問わず、コロナ禍のような大きな事業環境の変化に適応して継続的に成長していくためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)にどう取り組むかが成否を大きく左右する。しかし中小企業では、ITリテラシーやコストの制約がハードルとなるケースが少なくない。ITベンダーは中小企業のDX支援に特化した施策を打ち出しており、外資ベンダーも支援を強化している。(齋藤秀平)
セールスフォース・ドットコム
CRMなどをパッケージで提供 中小企業のDXの入り口に
セールスフォース・ドットコム(SFDC)は9月10日、従業員数200人未満の企業・法人を対象に、「中小企業デジタル変革支援パッケージ」を提供すると発表した。パッケージには、いずれもエンタープライズエディションのCRM/SFA「Sales Cloud」とコラボレーションプラットフォーム「Quip」が含まれており、10月30日までに申し込めば、最大30ライセンスが90日間無料で利用できる。
中小企業庁がまとめた「中小企業の企業数・事業所数」によると、2016年6月時点で、国内の全事業者のうち、99.7%に当たる357万8000社を中小企業が占めている。中小企業は日本経済を支える重要な役割を果たしているが、中にはコロナ禍で存続の危機にさらされている企業もある。8月18日に公表された東京商工リサーチの「第7回新型コロナウイルスに関するアンケート調査」のレポートでは、新型コロナの収束が長引いた場合、30万社超の中小企業に廃業の恐れがあることが指摘された。
SFDCの千葉弘崇・専務執行役員はこれらのデータに触れながら、「日本経済を発展させるためには、中小企業のDXが必要」と強調。その上で、DXの基盤となり得るITソリューションには、誰もが使いやすく、どこからでもアクセスでき、導入や設定が容易であるという三つの要素が求められるとの見解を示す。
千葉執行役員は、今回のパッケージはこの三つの要素を満たしているとし、「従業員は、クラウドを活用してどこからでも顧客とつながることができる。従業員同士の情報共有や共同作業もしやすくなる。そして顧客との関係構築や維持の品質を落とさず、むしろ高めていきながら改革できる支援内容になっている」と述べた。
パッケージの提供方法は直販を想定しているが、顧客がより網羅的なデジタル活用と本格的な導入支援を望む場合は、同社のパートナーエコシステムを通じてサポートする体制を用意している。
日本マイクロソフト
再び増したリモートワーク需要 日本独自の新プランで導入拡大へ
コラボレーションツール「Teams」の提案を中心に中小企業のリモートワークを推進してきた日本マイクロソフトは9月11日、プレス向けのラウンドテーブルを開き、緊急事態宣言の解除後、いったん落ち着きをみせていたリモートワーク需要が再び増していると説明した。
同社の三上智子・執行役員コーポレートソリューション事業本部長は顧客からのヒアリング結果を示しながら、「リモートワークの比率は緊急事態宣言が明けてから徐々に低下していたが、感染の第二波が来てから再び比率が高まり、今は常に50%以上の顧客がリモートワークを実施している。リモートワークは新しい日常になりつつある」と強調した。
その上で「耐え忍んでコロナ禍が終わるのを待つか、世の中の変化に合わせて新しい働き方に向けた対策を練っていくか、多くの企業が分岐点に立っている」と述べ、コロナ禍を経た新たな事業環境下でビジネスを継続・成長させていくためには、企業規模を問わず、リモートワークをはじめとした柔軟な働き方への対応が重要になるとの考えを示した。
これを踏まえ、同社は中小企業向けの新たな支援策として、「Teams」とクラウドストレージ「OneDrive」をセットにした日本独自の「リモートワークスタータープラン」を8月から提供している。同プランは、従業員50人以下で、PCプレインストール版かオンプレミス版のOfficeを利用している企業が対象だ。
同プランは、22社のパートナー経由で提供しており、これにはデバイスパートナーのレノボ・ジャパンとデル・テクノロジーズの2社もクラウド ソリューション プロバイダー パートナーとして加わる。三上執行役員は「クラウドサービスを使い慣れていない企業には、パートナーも含めたきめ細かいサポートが必要」と説明する。
顧客のリモートワーク支援を続けてきたことで、導入の障壁も明確になってきた。三上執行役員は「通信環境や紙ベースの業務フロー、セキュリティリスク、就業規則、業務上必須となっている対面でのコミュニケーションの5点が主な障壁になっている」と紹介し、障壁を取り除くためのソリューションも増やしていく方針だ。
三上執行役員は今後の計画について、「最終的にはOfficeアプリケーションも含めてクラウドサービスに移行してもらいたいという意図がある。パートナーと一緒に、まずはビデオ会議からクラウドサービスに慣れてもらい、その後の移行を促したい」と語った。
新型コロナウイルス感染症の蔓延が長期化し、特に中小企業への影響が深刻になっている。企業規模を問わず、コロナ禍のような大きな事業環境の変化に適応して継続的に成長していくためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)にどう取り組むかが成否を大きく左右する。しかし中小企業では、ITリテラシーやコストの制約がハードルとなるケースが少なくない。ITベンダーは中小企業のDX支援に特化した施策を打ち出しており、外資ベンダーも支援を強化している。(齋藤秀平)
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