【海外市場開拓編】中国、東南アジア中心に続々 国内市場の拡大が望めない状況を考えれば、海外に視野を広げるIT企業が出てくるのは当然の流れ。商慣習や文化、貨幣価値が異なっているとしても、無限に広がるビジネスチャンスを見逃すわけにはいかないと、海外進出を決断した企業も続々登場している。
Challenge1 中国+タイ
中国には
4拠点目を開設
2010年度(11年3月期)に売上高830億円を見込むJBCCホールディングスは、11年度から3か年の中期経営計画をスタートする。そのなかで重要視しているのが、海外事業だ。ほぼ横ばいの成長しか見込めない国内市場だけでは、中長期的な安定成長は見込めないと判断し、海外事業を積極的に伸ばす方針を打ち立てている。海外事業での目標は2015年までに売上高150億円。売上高全体の15%を占めるめるまでに成長させようというのだ。
JBCCホールディングスの海外展開は08年から本格的に始まっている。核となるのは中国で、まずは08年に大連に子会社を設置し、09年には上海に進出した。2010年には広州にも拠点を構えて、現在、3拠点で中国市場を攻略している。山田・司社長は、「10年度内には北京か天津に拠点をつくる」と明言しており、そうなれば4拠点体制となる。中国沿岸地域を縦になぞるように拠点を配置したことになる。
中国だけではなく、2010年にはタイのバンコクに資本金約2500万円で子会社を設置した。石黒和義会長は東南アジア市場について、「海外展開は基本的に中国が中心になるのは間違いない。しかしながら、中国リスクを回避したいユーザー企業が中国ではなく、東南アジアに進出することも少なくない。そうしたユーザーのITニーズを取りこぼさないために、東南アジアに拠点をもつことも必要」と話している。
目標の海外売上高150億円の内訳は、中国が100億円でその他の地域が50億円。中国+東南アジアのハイブリッド戦略で海外市場を攻める。
Challenge2 中国
IT+業務代行サービスで
攻める
2010年10月1日に富士通ビジネスシステムズ(FJB)から社名を変えて、中堅企業向けSIerとして生まれ変わった富士通マーケティング(FJM)。09年度(10年3月期)の年商は約1390億円で、15年度に2000億円突破を計画している。同社も中国市場の開拓を10年度から始めた。「当社の顧客をみても、すでに1400社のユーザー企業が中国に進出している。中堅クラスのユーザー企業でも、当たり前に中国でビジネス展開しているというのが実際のところで、中国を大きな市場と捉えないわけにはいかない」と古川章社長は強調する。まずは10年12月に上海に子会社を設置して、中国市場攻略の地盤を築いた。
FJMの中国事業の特徴は、ビジネスをITに限定していない点だ。中国に拠点を設立するための手続き代行や市場調査、ビジネス戦略立案支援、中国現地での人材紹介、中国の大手ECサイトへの出店支援なども手がけ、そのうえで、ITインフラの設計・構築・運用支援も展開する。中国支援では、すでに複数の地銀から問い合わせがあるという。地銀は自社のユーザーから、中国に進出したいという要望があり、FJMの力を借りて、その要求に応えようとしているわけだ。
古川社長は、「中国事業を開始してから、予想以上に多くの引き合いがある。社内でも中国事業を専門的にみる部門を設けて本格的に展開する」と強調。2011年度は中国市場を本格的に攻める姿勢を鮮明にしている。
Challenge3 東南アジアor欧州
日系企業の
ITサポートを中心に
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三井情報 下牧拓社長 |
三井物産系SIerで、10年度(11年3月期)の年商見込みが510億円の三井情報は、日本の製造業の海外進出が加速していることを受け、11年から海外市場に本格的に乗り出す方針を固めた。
下牧拓社長は、「11年中に欧州と東南アジアにサービス拠点を設立する」と、計画を明らかにする。10年4月から海外専任担当のポストを設けて社内体制を整えており、11年に打って出る。三井情報は、10年後をめどに、年商2000億円に到達させる長期目標を掲げており、海外事業は達成のための重点ビジネスの一つに位置づけている。
海外拠点の候補地は、ロンドンとシンガポールで、それぞれの拠点をベースに、海外に進出した日系企業に対して、システム構築やITサービスを提供する。
下牧社長は、「国内のIT産業の成長予測をみれば、国内市場に限界を感じざるを得ない。中国は重要視しているが、開発拠点として利用するほうが先決。三井物産グループが欧州と東南アジアに強いこともあり、東南アジアと欧州地域の攻略に照準を合わせた」という。グループ会社と連携を取って、海外に攻めこむつもりだ。
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