情報サービス産業協会(JISA)の浜口友一会長(NTTデータ相談役)は、2011年の国内情報サービス市場が、リーマン・ショック以降、3年ぶりにプラス成長に転じる見通しを示した。1月6日のJISA新年賀詞交歓会で明らかにした。主要顧客の業績が回復していることや、産業構造の転換に向けたIT投資が活発化していることを踏まえたものだ。成長率の見込みについて、JISA岡本晋副会長(ITホールディングス社長)は、「数%程度の小幅な成長になる」と慎重な姿勢を崩さない。

 浜口会長は、成長を持続させるためには、国内情報サービス業の「ビジネスモデルの変革が欠かせない」として、情報システムの標準化や、クラウドなどのサービス化、ユーザー企業の内製化への柔軟な対応などを従来にも増して進める必要があると指摘した。

JISAの浜口友一会長

 標準化は、海外進出を加速させるときに有利に働く。欧米や中国ASEANなどの世界の主要市場は、標準化された技術やメジャーな業務パッケージ、クラウド/SaaSなど、サービス化を重視している。対抗するには、こうした世界の時流に乗っていく必要がある。日本の情報サービスは「個別開発やカスタマイズの比率が依然として高い水準にある」と、標準化に向けてより強く踏み出していく必要性を訴えた。

 また、情報システムの重要性の高まりを受けて、ユーザー企業による内製化が進む傾向が強まっている。SIerをはじめとするベンダーは、“客先常駐”のかたちで技術者を客先に張り付かせる形態となる。スキルや人材が散逸することからベンダーのなかには敬遠する向きもあるが、「むしろ、業種やスキル別にプロ集団を形成し、世界の顧客を渡り歩くくらいの戦略性が求められる」(浜口会長)と、従来型の客先常駐とは一線を画すべきとした。

800人を超える情報サービス業の経営トップが集った

 例えば、ITを活用して都市丸ごとインテリジェンス化するスマート・コミュニティやスマート・シティでは、「有力ベンダーの技術の標準化を進め、国内で成功事例をつくる努力が求められる。ノウハウの集積を図りながら海外にも進出。プロ集団のノウハウを横展開していくスケールが必要だ」(浜口会長)と指摘。こうすることで、日本の情報サービス業界の総合力を行かせる。

 岡本副会長は、「数%程度の成長ということは、伸びるところもあるが、一方でマイナス成長を続けるところも多いということ」と、業界全体が活気づくには、よりスピード感のある成長を成し遂げるべきだと話す。(安藤章司)