Special Feature
成長ビジネスを探せ! 分野別に今後5年を予測
2012/10/18 21:33
週刊BCN 2012年10月15日vol.1452掲載
【成長ビジネス(4) ビデオ会議システム】
コミュニケーション向上の提案で導入を促進
UCとの融合で8000億円の市場規模に
出張費の削減やパンデミック(感染症の世界的流行)対策などで導入が進んだ「ビデオ会議システム」が、ユーザー企業にとって社内のコミュニケーションを活性化して成長につなげるシステムへと変貌している。専用端末やサービスの提供を中心にネットワークの再構築を提案できるほか、スマートデバイスなどモバイルとの連携も導入を促すきっかけとなり、ITベンダーにとっては需要掘り起しの可能性が高い商材となっている。
調査会社のシード・プランニングによれば、専用端末をはじめ、ウェブ会議や音声会議、MCU(多拠点接続装置)を含めた国内ビデオ会議関連市場は2011年に345億円、12年は376億円と予測。16年には、610億円規模にまで膨れ上がると見込んでいる。会議室に設置する専用端末だけでなく、パソコンを使って会議や打ち合わせができるウェブ会議や、スマートデバイス向けクラウドサービスが登場。ユーザー企業にとって、より身近なシステムになったことから、導入が進んでいるとみられる。
クラウドによるサービス化が進み、最近では業務アプリケーションとの連携など、映像や音声を通じてさらにコミュニケーションの活性化を促進するサービスが出てきている。価格帯が高いといわれているユニファイドコミュニケーション(UC)の機能を安価に使えるという点で、ますます導入が促進されるとの見方が大勢だ。
シード・プランニングでは、2020年にビデオ会議関連を含めたUC市場の規模として8000億円と予測している。大きなビジネスチャンスがつかめる分野ということだ。
【成長ビジネス(5) 公共/グローバル】
国内で公共、海外では民需に期待
年1~2%の成長は見込める
今後5年、SIerのビジネスは楽観視こそできないものの、伸びる分野は確実にある。成熟度合いが増す国内市場でも、例えば政府が「日本再生戦略」で掲げた医療・介護、環境・エネルギー、農林水産業の重点3分野のように、公共性が高い領域は伸びる余地が大きい。一方、民需部門はグローバル化が一段と進み、アジア成長市場へユーザー企業とともに進出していかなければ、顧客に見放されてしまう。IT調査会社のガートナージャパンでは、国内ユーザー企業のITサービスに対する支出が緩やかな回復基調にあり、今後も年率1~2%程度の投資増が見込めると予測している。
国内でけん引役を果たす公共分野は、伝統的に大手SIerが強い領域だが、地方自治体に強いパイプをもち、地域経済振興の役割を担う地場SIerにもビジネスに参画するチャンスは十分にある。とりわけ医療・介護は、少子高齢化で毎年およそ1兆円ずつ膨らむ医療費の抑制、医療業務の効率化、生産性の向上にはITが欠かせない。保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は、2013年の医療ITシステムの市場規模が11年比で約400億円増の6012億円に拡大すると予測。病院単位で個別に最適化されたサイロ型システムから、地域医療ネットワークに代表される全体最適型へと移行していくことが伸びる原動力になっている。環境・エネルギーや農林水産業も、従来のサイロ型から全体最適への移行が本格化する見込みで、大手ITベンダーはこれをスマートコミュニティやビックデータ分析ビジネスなどと関連づけてビジネス活動に力を入れていくものとみられる。
また、製造や流通・サービス業はグローバル化が進む。アジア最大の市場である中国との半ば慢性化しつつある政治摩擦は懸念材料ではあるが、ASEANやインドを含むアジアの成長市場全体でみれば、日本の情報サービス業にとってビジネスチャンスは大きい。ユーザー企業とともに、中長期の成長モデルを粘り強く確立していくことが求められる。
epilogue
今回、『週刊BCN』編集部で、今後5年の間に成長するビジネスを五つ選んだ。しかし、どの製品・サービスも、座しているだけでは市場は伸びていかない。ITベンダーがその分野で新しいビジネスモデルの構築、新しい試みに取り組まなければビジネスとして成立しないのだ。ユーザー企業がIT投資に対して慎重になりつつあるとはいえ、見方や切り口を変えれば、需要を掘り起こすことができる分野はあるはずだ。ITベンダーが、さまざまな領域で市場の伸び以上に成長していき、IT業界全体の活性化につながることに期待したい。
市場に不透明感が漂い、ユーザー企業がIT投資に慎重な姿勢を示している。それだけに、ITベンダーには成長が期待できるビジネスを見定めて、そこに資金やマンパワーを投入していくことが求められる。例えば、クラウドを中心としたサービスの導入が急速に拡大していくのか、ハードウェアやソフトウェアを組み合わせたインテグレーションという従来モデルが再び脚光を浴びる可能性はあるのか──。編集部が、成長が見込まれるビジネスを独自に選定して、今後5年の動きを予測した。(取材・文/木村剛士、佐相彰彦、ゼンフ ミシャ、信澤健太、安藤章司)
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