ICT(情報通信技術)によって都市機能を管理する日本のスマートシティは、普及が遅れていて、ITベンダーにとっての商業モデルも鮮明になっていない。この特集では、スマートシティづくりが進んでいる千葉県柏市の「柏の葉」と、宮城県石巻市の二つの事例に焦点を当てて、課題を整理しながらビジネス化の可能性を探る。(取材・文/ゼンフ ミシャ)
スマートシティ化する日本列島
各地で進む実証実験
千葉県柏市の柏の葉と宮城県石巻市をクローズアップする前に、まずは日本各地で進められているスマートシティの取り組みを紹介する。首都圏や関西地区、九州などで、都市開発事業者や電力会社、ITベンダーが手を組んで、スマートシティの実証実験を行っている。ICT活用の可能性やビジネスモデルを模索しつつ、少しずつスマートシティをかたちにしているところだ。

| 石巻市 | 日本IBMの積極的な支援を受け、初のポスト震災スマートシティをつくる。詳細は次ページで紹介。 |
| 柏の葉 | 2005年に開発に着手したスマートシティで、ICTインフラの構築が進んでいる。詳細は次ページで紹介。 |
| 横浜市 | 「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」 都市再開発を進めてきた3地区(みなとみらい21、港北ニュータウン、横浜グリーンバレー)を中心に展開。広範囲でEMSを構築し、住宅やオフィスビルへのエネルギー供給を効率よく行う。太陽光発電も取り入れて多様なエネルギー源と組み合わせることによって、天候に左右されない安定した電力供給を目指す。 |
| 参加しているIT企業 | アクセンチュア、NEC、日立製作所 |
| その他の主要参加企業・団体 | 東京電力、シャープ、東京工業大学など |
| 豊田市 | 「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト(Smart Melit)」 自動車産業が盛んな豊田市の全域で「家庭」と「交通」に重点を置いて、HEMS(家庭内エネルギー管理システム)のほか、EVや燃料電池バスの普及を方針に掲げる。省エネやグリーン電力の活用に取り組む市民に対して、エコポイントなどを付与するインセンティブ制度を展開し、低炭素化運動への参加を促す。 |
| 参加しているIT企業 | 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、日立製作所、富士通 |
| その他の主要参加企業・団体 | 中部電力、トヨタ自動車、名古屋大学など |
| 関西文化学術研究都市 | 「けいはんなエコシティ 次世代エネルギー・社会システム実証プロジェクト」 京都・大阪・奈良の3府県が開発を進めている関西文化学術研究都市「けいはんな」で、地域単位のEMSやEV充電管理システムを開発し、CO2排出量を最小限に抑える。スマートシティの商業モデルをつくり、東北など国内のほか、海外にも横展開する。 |
| 参加しているIT企業 | 日本ユニシス、三菱電機 |
| その他の主要参加企業・団体 | 関西電力、オムロン、ルネサス エレクトロニクスなど |
| 北九州市 | 「北九州スマートコミュニティ創造事業」 北九州市の八幡東区東田地区で、太陽光発電や燃料電池、風力などの新エネルギーの利用率を10%に引き上げることを目指す。HEMS/BEMS、EVなどに使うエネルギーの流通を統合管理し、最適な使用を図る「地域節電所」を設備。CO2削減量の目標を、市内一般街区の50%超に掲げる。 |
| 参加しているIT企業 | 内田洋行、新日鉄住金ソリューションズ、ソフトバンクテレコム、日本IBM、日本テレコムインフォメーションサービス、安川情報システム |
| その他の主要参加企業・団体 | 西部ガス、凸版印刷、TOTOなど |
EV=電気自動車
EMS=エネルギー管理システム
[次のページ]