その他
日本のスマートシティ、いよいよ実現か IBMが宮城県石巻市を支援対象に
2012/04/26 21:07
週刊BCN 2012年04月23日vol.1429掲載
各種センサや通信技術、データ解析ソフトを組み合わせて都市をICT(情報通信技術)化し、エネルギー供給などインフラの改善を図る「スマートシティ」。スマートシティの普及が速いスピードで進むアジアなど海外と比較すれば、日本はまだITベンダーや建設会社が参画するスマートシティプロジェクトが各地で推進される段階で、実証実験のレベルを越えていないのが実状だ。そんな状況にあって、本紙は昨年以来、スマートシティ事業に取り組む大手ITベンダーへの取材を重ねてきた。そして、東日本大震災後の電力供給のひっ迫をきっかけとして、日本でもいよいよスマートシティが本格的に普及するという予測記事を掲載した。そうした予測を裏打ちするように、スマートシティの日本初の本格事例が誕生しそうな動きがみられる。スマートシティの草分けである米IBMが、東日本大震災によって大きな被害を受けた宮城県石巻市を都市向け支援プログラム「Smarter Cities Challenge」の2012年の対象として選んだのがその動きだ。
このプログラムは、IBMが世界各国でスマートシティの普及を促すためのツールである。対象として選ばれた都市はIBMの技術支援を受けて、同社の専門スタッフとともに該当の都市が抱えるインフラ課題の解決に取り組む。IBMは3年の期間で合計100都市を支援し、このプログラムに総額5000万ドルを投じている。本腰を入れて、スマートシティを普及させようとしているのだ。2012年の支援対象に選定された33都市のなかで、石巻市が際立っている。石巻市は、インドのアフマダーバードや英バーミンガム、米ボストンなどの対象都市と比べて規模が小さいが、地震と津波によって大きな被害を受けたことから、広い範囲で町をほぼゼロの状態から再構築する必要があるのだ。
ゼロからつくり直す──。IBMが石巻市を選んだ狙いはここにあると思う。日本でこれまでスマートシティがなかなか普及しなかった最も大きな理由は、都市インフラが高いレベルですでに完成しており、既存都市をスマートシティ化させるために大幅な投資が欠かせないことにあった。一方、石巻市の場合は、復興に合わせて、「スマートシティ化する」のではなく、「最初からスマートシティとして築き上げる」ことができる。今後、IBMの積極的な支援を受ければ、石巻市は日本初の本格的なスマートシティとして生まれ変わる可能性が高いのだ。これは、IBMのみならず、宮城県の地場ベンダーをはじめ、IBMの周辺でICT製品を展開するIT企業にとってビジネスチャンスになるだろう。
IBMは「これから社会貢献活動の一環として石巻市に支援を行う」として、詳細を明かしていないが、スマートシティづくりに相当力を入れると考えられる。日本のスマートシティは、実現に向けて次のフェーズに入った。(ゼンフ ミシャ)
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