ディストリビュータ編
単なる“モノ売り”ではない
新しいディストリビュータの姿
ハードウェアやソフトウェアなどの製品をメーカーから仕入れて、SIerやリセラーなどに卸しているディストリビュータ。今は、製品だけでなく、クラウドなどサービスを卸すことでも重要な存在になっている。しかも、仕入れたものを単純に提供するのではなく、自社の強みを生かしながら販社が売りやすい環境を整えている。さまざまな戦いが繰り広げられる“IT戦国乱世”の今、新しいディストリビュータの姿とはどのようなものか。主要各社の現状や今後の取り組みなどを追う。(取材・文/佐相彰彦)
大塚商会
強みは「ワンストップソリューション」
ディストリビューションに加えてSI事業で成長している大塚商会。2014年度(14年12月期)は、売上高が6057億6600万円(前年度比7.3%増)、営業利益370億9700万円(同9.4%増)、経常利益381億4400万円(同13.8%増)、当期純利益234億5500万円(同15.7%増)と、いずれも過去最高を記録した。強みはSIとディストリビューションともに、製品の販売のほか、サービスやサポートを組み合わせることによって、販売店が受注から導入、製品のリプレース提案までをワンストップで提供する体制を整えていること。このような取り組みによって、ユーザー企業に対して「守りのIT」から「攻めのIT」を提案している。
シネックスインフォテック
「第3のプラットフォーム」に注力
サーバーやストレージ、ネットワークなどICTインフラを支える製品群の販売が2ケタ増と、ビジネスが堅調に推移しているシネックスインフォテックでは、「クラウド」「モビリティ」「ビッグデータ」などを切り口とした「第3のプラットフォーム」を提供することに力を入れている。ユーザー企業が競争力を上げるためのICT化を導入したいという要望に対応する方針だ。
一つの例として、MVNO事業者との連携によってSIMフリーのスマートフォン販売を強化しているほか、グーグルの「Chromebook」、マイクロソフトの「Surface」などを教育現場に提案している。ハードウェアやソフトウェアなど目に見える「モノ」だけでなく、目に見えないサービスもモノと捉えて、販社が売りやすい環境を整えている。同社をメインの取引先とする、全国各地域に根づいたビジネスを手がける販社を募った「Varnex Japan」を組織化して、新しいディストリビューションのかたちを模索している。
ソフトバンク コマース&サービス
通信やクラウドなどが強み
通信事業者やクラウドサービス事業者などをグループ会社にもつソフトバンク コマース&サービス。アップルの「iPad」を中心とした法人向けソリューションで定評があるほか、最近はマイクロソフトの「Surface」で高速LTEを搭載したモデルを柱に、働き方を変える提案にも取り組んでいる。
クラウド関連では、ヴイエムウェアとソフトバンクテレコムとの共同出資で設立したヴイエムウェア ヴイクラウドサービスを通じて、「VMware vCloud Air」を2014年11月10日から提供している。プライベートクラウドとシームレスに連携し、日本でニーズの高いハイブリッドクラウドサービス環境を実現するクラウドサービスとして評価を得て、全国に点在する7000社以上の販社を通じて販売を強化。導入企業は増えている状況だ。
また、日本に馴じみの薄いデジタルマーケティングにフォーカスし、ツールやソリューションを自由に選んで購入することができるプラットフォーム「Marketing Bank」も注目を集めつつある。
ダイワボウ情報システム
メーカーとの戦略的アライアンス目立つ
最近、大手メーカーとの戦略的なアライアンスが目立つのが、ダイワボウ情報システムだ。ここ1~2か月で日本マイクロソフト、シスコシステムズとの協業関係を強化した。ほかのディストリビュータと一線を画した戦略でビジネスの拡大を図る。
日本マイクロソフトとは、タブレット端末の普及を見据えて、2011年に設立した専任組織「Windowsタブレット推進センター」を拡張し、スマートフォンを含むWindows搭載モバイルデバイスの導入を支援する「Windowsモバイルビジネスセンター」として、2015年8月28日にダイワボウ情報システム内に設置した。スマートフォンを含めたモバイルデバイスの導入を全面的に支援する体制を整えたことによって、SMB(中堅・中小企業)や教育市場のICT利活用の促進を加速する。
シスコシステムズとは、日本の中小企業を対象とした専用ブランド「Cisco Start」を立ち上げて、VPNルータで開発段階から携わっている。差異化を図ることができる製品のディストリビューションで販社を支援していく。

日本マイクロソフトの平野拓也社長(左)とダイワボウ情報システムの安永達哉専務
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