システム&ソリューション
大手台湾ベンダーが最新技術を披露
家庭用ロボット「Zenbo」を出展していたASUS
COMPUTEX TAIPEI 2017では、台湾の大手ベンダーが大規模ブースを設けていたのが目立った。会場内の「Systems & Solutions」というエリアで、最も大きなブースだったのはAsustek Computer(ASUS)。ブースでは、家庭用ロボット「Zenbo」に注目が集まっていた。Zenboは、TCAが優秀なベンダーの製品・サービスに対して賞を与える「Best Choice Award」で最優秀賞を受賞した製品。指示に従って動いたり、さまざまな情報を提供してくれたりするデモンストレーションに多くの来場者が興味を示していた。また、スマートフォン「ZenFone AR」のコーナーでは、何もない空間で端末を介して自動車を試乗するかのように体験できるなど、用途の拡大を訴えていた。
ASUSは「ZenFone AR」で自動車体験も実現していた
ベンキューは、2010年以降から本格化を図った医療関連ビジネスの製品・サービスとして、自動による医療器具の運搬に特化したロボット「MiBot」を出展。病院内で行われる緊急のオペでは、医療器具を迅速かつ正確に運ぶ必要がある。MiBotはこのような問題を解決するのに寄与する。緊急オペでは人的ミスが起きがちな医療業界の問題解消に貢献するソリューションだ。
ベンキューは医療器具を自動で運搬する「MiBot」をアピール
また、システム&ソリューションエリアではマイクロソフトがクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」で実現するIoTとマシンラーニングの世界をブースで訴えていた。
マイクロソフトは「Microsoft Azure」とIoTデバイスでビルのメンテナンスを実現
ビジネスソリューション
「POS & ERP」がスタンダードに
「Business Solutions」でブースが最も大規模だったFLYTECH。グループ会社のPoindus Systemsがオールインワン、iRuggy Systemsがタブレット端末、iSAPPOS SystemsがiPadを使ってPOSレジソリューションを出展
法人向けソリューションを展示しているエリアが「Business Solutions」だ。サブタイトルが「POS & ERP」。このソリューションを集中して展示しているのは、今、台北市内でPOSから集計したデータを生かして、売上集計の自動化による業務効率化、顧客サービス向上による収益アップにつなげる小売店が増えているためだ。台湾ベンダーの多くはハードウェアを開発しているが、複数のソフトウェアベンダーと組んで、さまざまな用途で使えることをアピールしているブースが多かった。
レシートの印刷が可能になったPoslabの「EcoPlus70」
台湾のPoslabは、POSシステム「EcoPlus」で世界の工業製品などを対象にすぐれたデザインを選定する「iFデザイン賞」を獲得したこともある。タッチ操作が可能なディスプレイだけだったEcoPlusは、現在ではレシートを印刷するプリンタと一体型のモデルとなっている。その最新機種が「EcoPlus70」だ。搭載するソフトウェアで、いくつかのベンダーとパートナーシップを組んでソリューション化。そのため、対象ユーザーはショップがレジで使ったり、工場が生産管理で使ったりと、用途が広がっている。
ACLASはセルフレジを披露していた
また、このエリアで最も大きなブースを構えていたのが台湾FLYTECHで、グループ会社それぞれが得意のデバイスを使ったPOSを出展。このほか、ACLASがセルフレジを展示していたり、POSIFLEXがブースをファストフードに見立て展開していたりしていた。
ファストフードをイメージしたPOSIFLEXのブース
ストレージ
新規事業への参入が続々
ADATAはAIロボット「ibotn」を出展
「Data Storage」のエリアでは、メモリやSSDなどを提供するベンダーのブースが目立っていたが、注目すべき点が、新規参入ベンダーの製品や、新分野ともいえる製品を出展していたこと。ADATA Technologyは新規参入のロボット事業で開発したAIロボット「ibotn」を出展。USBメモリのPhotoFastがiPhoneで通話が録音できる「Call Recorder」、V-Color Technologyが色鮮やかに発行するメモリをアピールしていた。
PhotoFastの「Call Recorder」
V-Colorの光るメモリ
最新テクノロジー
次世代を追求する工業技術研究院
出展企業による最新技術を駆使したソリューションを体験できたのが「SmarTEX」のエリアだ。ここでは、台湾経済部が設立した財団法人、工業技術研究院が次世代を追求したソリューションを披露。ブースに多くの人が集まっていた。
測量などに最適なドローン
AI搭載ロボットの「Intelligent Vision System for Compaion Robots」は、来場者とチェスで対決して余裕の勝利。ドローンのコーナーでは、リモコンで操作しながら映像コンテンツをPCで分析し、土地の測量調査のデモを行っていた。また、「Eco-Driving Simulator」という環境に配慮した運転システムを出展。初心者や高齢者が使うことを想定して事故を起こさないよう指示するシステムを披露していた。
運転する際に事故を起こさないよう指示する「Eco-Driving Simulator」
チェスができるAIロボットを開発
このほか、SmarTEXでは「Taiwan IoT Expo 2017」というブースがあり、台湾でSIを手がけるIESS CLOUD TECHNOLOGYが、IoTセンサをベースとした電力や製造工程などの「見える化」が可能なシステムを展示したり、TARANS-IOT TECHNOLOGYが、スマートフォンを使って機器の操作や空気の汚れ具合を把握できる空気清浄器を出展していたりと、台湾ベンダーによるハードウェアとソフトウェアを組み合わせた次世代ソリューションを展示していた。
スタートアップ
コストをかけずに使いやすいシステムを開発
パートナー開拓に向け、COMPUTEX TAIPEI 2017で売りにしていたのが、「イノベーション&スタートアップ」。同時開催のイベント「InnoVEX」として、他のベンダーとは異なるエリアを設けていた。このエリアの出展企業は、できるだけコストをかけずに使いやすい製品・サービスを出展していたのが印象的だった。
GL Design Automation Companyは測量機を3Dプリンタで製造
台湾DT42は、AI技術を生かして人の行動を監視しながらトラブルが発生した際にアラートを上げるシステムを展示。台湾GL Design Automation Companyが開発した測量システムは、測量するためのハードウェアに関して、3Dプリンタでデバイスを製造して他社のシステムよりも約10分の1のコストで提供できるようにしたという。台湾Huijia Health Life Technologyは、遠隔からスマートフォンやタブレット端末で子どもや高齢者を見守れるシステムを展示した。
AI技術によって、さまざまなデバイスで監視カメラの映像分析ができるDT42のシステム
遠隔から乳児や高齢者を見守るHuijia Health Life Technologyのシステム
タイmaker phuketが出展していたのは、血圧などの健康状態をリアルタイムで把握できる腕時計。中国Kaki Internationalは、ボタンを押して話せば特定のSNSユーザーだけに音声を送ることができる「Button」を、高齢者や子どもの利用を想定して開発した。
maker phuketのリアルタイム健康測定システム
Kaki Internationalの「Button」
ゲーム
VRで進化するゲーム
個人向けPC市場が成熟する一方、ゲーム市場は進化を遂げている。「Gaming & VR」のエリアでは、戦闘ものやスポーツ、レーシングゲームなど、VRによって、よりリアルにゲームが楽しめるブースが多かった。VRゲームは、PCや周辺機器の利用を促進させる重要な役割を果たしているといえる。
記者の眼
TAITRAの発表によれば、COMPUTEX TAIPEI 2017における日本の来場者数は前年比7.13%増。パートナーを求めて来場したかにみえるが、実際に訪れていた日本ベンダーによれば「すでに組んでいるパートナーとの関係をさらに深めるためのもの」という。このようなイベントの機会に、商談を進めているとのことだ。しかも、パートナーの台湾ベンダーが新しい製品・サービスを出展していることからも、次にどのような商材でパートナーシップが組めるかを決めやすいという。
日本ベンダーと大手台湾ベンダーとのパートナーシップは確立されているものの、一方でCOMPUTEX TAIPEIでTAITRAが重視しているスタートアップに関して、製品・サービスによっては、「日本で売れるかもしれない」と評価する日本ベンダーもいた。