ミライト情報システム
「新参」の強みをクラウドで生かす
ミライト情報システム
中登義仁
部長
通信インフラ設備の構築を中心に半世紀以上にわたり事業を展開してきたミライト・ホールディングスグループのSIerであるミライト情報システム。もともとは通信キャリア向けのソフト開発を主力としてきたが、5年ほど前に日本IBMのビジネスパートナーとしてIBMビジネスに参画。しかし、ほどなくIBMがPCサーバーを売却したことを受けて、クラウドサービスの「SoftLayer(現IBMクラウド)」に切り替えてビジネスを伸ばしてきた。
古株のIBMビジネスパートナーが、旧AS/400や旧RS/6000(現Power Systems)を活用したオンプレミスのビジネスを主力としていたのに対して、ミライト情報システムは新参だけあって、当初からクラウド指向のビジネスを重視。さらに、同社は、基幹業務システムをはじめとする比較的大規模なシステム開発を強みとしており、同じく基幹業務システムの取り込みを狙う「IBMクラウドとは方向性が合致している」(ミライト情報システムの中登義仁・基盤システム部部長)と話す。
同社の手がける基幹業務システムの案件のなかで、ITインフラとしてIBMクラウドを採用するケースはまだ少ない。だが、IBMクラウドを活用することで、従来のオンプレミスより運用にまつわる負担が減るのであれば、ぜひ利用したいというユーザーは「着実に増えている」と中登部長は話す。こうした引き合いの強さを根拠に、同社では向こう3年でIBMクラウド活用ビジネスを2~3倍に増やしていく意向だ。
ベル・データ
バックアップ需要を手堅くつかむ
ベル・データ
松山誠司
課長
ベル・データはITインフラに強いSIerだ。基幹業務システムを支えるITインフラを多数手がけてきた専門家の見地からみて、今のパブリッククラウドに基幹業務システムを移行させるのは、「慎重であるべき」(ベル・データの松山誠司・オープン&クラウド推進部課長)だとの姿勢を崩さない。理由は、クラウドの稼働率は100%ではない点。既存のオンプレミス型の基幹業務を、そのままクラウドへ移し替えるだけではコストはあまり下がらない点などをあげる。
そこで打ち出すのが、バックアップ用途である。ふだんはバックアップ先のクラウド基盤を最小限の構成にしておく。そして、いざというときに仮想サーバーなどのリソースを増やしてクラウド上で本番稼働できるよう構築する。こうすれば、オンプレミスを二つ用意するよりは安くすむし、オンプレミスとクラウドの二段構えにすることで、信頼性も高まる。
パブリッククラウドが一段と成熟し、基幹業務システムに耐え得るITインフラとしての完成度となれば、自ずと「バックアップ用途」から「本番用途」へと切り替わっていくとみる。
クリエーションライン
「モノリス」から切り出して現代化
クリエーションライン
鈴木逸平
取締役
コンテナ型仮想化やマイクロサービス、DevOpsなど最先端の開発手法を用いたSIを強みとするクリエーションラインは、基幹業務システムのクラウド移行を大きなビジネスチャンスだとみている。ユーザー企業のIT予算の7割を占めるという高い割合の既存システムの維持費。その多くを基幹業務システムが占める。この費用を減らして、売り上げや利益につながる新領域への投資――いわゆる「攻めのITの領域への費用割合を増やしたいと考えるユーザーニーズは大きい」とクリエーションラインの鈴木逸平取締役はみている。
しかし「ただITインフラをオンプレミスから移し替えるだけでは、コスト削減効果は限定的」(鈴木取締役)。そうではなくて、変化適応力の大きいコンテナ型の仮想化や、ビッグデータ分析で威力を発揮するHadoop(ハドゥープ)などのデータベースを採用したり、開発と運用を一体化させるDevOps手法を取り入れるといったモダナイゼーションを実行してこそ、「企業の競争力を高める次世代のITシステムを実現できる」(同)と指摘。クリエーションラインが得意とするソフト開発や運用の先端技術を生かし、クラウド上で生産性の高い基幹業務システムの再構築を推進していく。
同社では、既存の大規模システムを「モノリス(一枚岩)」にたとえる。モノリスから段階的に切り出して、クラウドネイティブにつくり替えていくモダナイゼーションは、顧客からの関心も高く、案件数は倍増の勢いで推移しているという。
プラットフォーマーの戦略
IoTや5Gの環境変化がトリガーに
基幹業務システムのクラウド移行を促進
基幹業務システムの仮想化基盤としてよく使われている「VMware」に対応するパブリッククラウドベンダーが増えている。今年に入ってIBMクラウドが国内で先陣を切って対応したのに続き、AWSも年内をめどに国内サービスを始める。マイクロソフトも独自にAzureのVMware対応を進めている。
右から日本マイクロソフトの浅野 智業務執行役員、池本 仁プロフェッショナル
ヴイエムウェア
高橋洋介
チーフストラテジスト
先行する米国での状況は、(1)VMware上のアプリをそのままパブリッククラウドへ移し替える。(2)システム負荷のピーク時のみクラウドのリソースを使う。(3)事業継続の観点によるバックアップの「三つのパターンが多い」と、ヴイエムウェアの高橋洋介・マーケティング本部チーフストラテジストは話す。オンプレミスとクラウドのそれぞれのVMware環境の間を橋渡しするのは、同社のネットワーク仮想化製品の「NSX」。ピーク時にクラウドのリソースを活用したり、バックアップ先にクラウドを使うニーズの高まりとともに「NSXの販売が急増している」という。
日本マイクロソフトでAzureを担当する浅野智・業務執行役員クラウド&エンタープライズビジネス本部本部長は、「IoTの進展が基幹業務システムのクラウド化を後押しする」と分析する。
IoTによってデータ量が飛躍的に増えるなかで、基幹業務システムが従来の定型的なデータしか扱えない状態では都合が悪い。だからこそ統合基幹業務パッケージソフト大手のSAPは、大量のデータを超高速で扱えるインメモリデータベースを実装した「S/4HANA」を開発。2025年をめどに現行製品からS/4HANAへの乗り換え先のIT基盤として「Azureの採用が一段と進む」(同)と期待している。
25年を待たずとも、例えば「無線通信の5Gへの移行によって単純にデータ転送量が増えるし、AIは大量のデータがあってこそ精度が高まる」(日本マイクロソフトの池本仁・テクノロジーソリューションズプロフェッショナル)。こうしたことからパブリッククラウドへの移行に弾みがつくと予測している。