――2023年に事業はどのように推移したか。

　グローバルでは売上高が前年度比5.5％増となり過去最高を記録したが、日本ではそれを大幅に超える勢いで成長することができた。ITインフラを“as a Service”で提供する「GreenLake」が好調で、伸ばすべき領域を伸ばせた1年だったと考えている。ハードウェアの出荷も想定以上で、国内企業のDXに対する投資意欲は非常に高いと感じた。
 
――GreenLakeが伸びている背景は。

　パブリッククラウドに移行したが、期待した効果が出ずに見直さなければいけない、という課題が顕在化している。必要なときに必要なだけ使えるというクラウドの強みと、セキュリティやガバナンスなどオンプレミスで享受できるメリットの両方を提供できるGreenLakeが支持され、当社の国内ビジネスの2割を占めるまでに成長した。過去3年で倍増したことになる。

顧客の要望に応じてAIの価値を提供

――24年のITインフラ市場の見通しは。

　外部のレポートを参照すると、ハードウェア販売はマイナス成長、一方でクラウドや“as a Service”は2桁成長と予測されているようだ。GreenLakeの推進で顧客が求めているサービスを提供しつつ、ハードウェア販売でも当社が市場に占めるシェアを拡大するという両輪で、24年もビジネスを成長させたい。

――注力する領域は。

　エッジ、ハイブリッドクラウド、AIの三つで、いずれも日本で提案できる領域が拡大している。これらすべてをGreenLakeを通じて提供していく。そして、23年に親会社の米Hewlett Packard Enterprise（ヒューレット・パッカード・エンタープライズ）が買収した米OpsRamp（オプスランプ）のテクノロジーを統合し、他社の基盤も含め、どのクラウドでもGreenLakeプラットフォームから可視化し管理できるようにする。これは、当社が本当の意味でのハイブリッドクラウドマネジメントを実現する、という宣言となる。GreenLakeの拡大には、パートナーの協力が欠かせない。パッケージ型での提供を開始しており、パートナーが持つマネージドサービスと連携するなど、当社とパートナーがWin-Winになるかたちでより一層販売を推進していきたい。

――顧客のAI活用はどう支援するのか。

　長年研究してきた知見と経験を顧客に提供する。これから本格的にAIを導入するお客様にはデータ整備とAI稼働のためのプラットフォームを提供できるし、AIのワークロードに最適化された専用サーバーも用意している。活用が進んでいるお客様には、スーパーコンピューターをクラウドサービスとして提供することで開発の質を上げることができる。導入の規模と成熟度ごとにAIの価値を届け、市場の期待に応えたい。