【米ラスベガス発】米ServiceNow(サービスナウ)は5月6~8日(米国時間)、年次イベント「Knowledge 2025」を開催し、これまで同社が強みとしてきたITSM(ITサービス管理)などの製品に加え、CRM製品を事業の新しい柱に据えた戦略を披露した。新たな統合基盤「ServiceNow AI Platform」の目玉として、複数のAIエージェントの活用を支えるための機能も発表。ビル・マクダーモット会長兼CEOは「(既存のCRMの利用では)顧客の損失は増大している。それでもこれまで通り使い続けるのか。変化の時が来ている」と訴えた。
(取材・文/大畑直悠)
テレンス・チェシャー・VP, CRM and Industry Workflowsは「オムニチャネルへの対応や360度の顧客理解は確かに重要だが、それはCRMの話の半分でしかない」と分析する。そのような他社のCRMでも提供している機能は、フロントオフィスだけのDXにとどまるもので、不十分だという。その上で同社が重視するのは、「顧客体験や従業員体験の問題点をいかに解決するかだ」と強調する。
イベントに合わせ、同社はこれまで「Now Platform」として提供してきた、製品・サービスの統合基盤を「ServiceNow AI Platform」として新たに打ち出した。マクダーモット会長兼CEOは、同基盤をAIエージェント活用における「中枢神経」と位置付け、ServiceNow AI Platformを企業のAIエージェント活用の中心にする方針を示した。これを実現する新製品として、AIエージェント管理製品「AI Control Tower」と、AIエージェント間の連携を支援する「AI Agent Fabric」を発表した。
この点で、ServiceNow AI Platformが従来から強みとしてきた、単一の基盤上でワークフローの構築とデータの統合ができる点が優位性になる。パット・ケイシー・CTO&EVP, DevOpsは「AIエージェントは蒸気機関車の発明のようにあらゆる産業に革命をもたらす」とした上で、「当社が従来から強みとしてきた、システム間をつなぐ基盤としての役割は、あらゆる領域においてAIエージェント活用を支えるために役立つ」と語った。豊富なAPIを活用して他システムにまたがったワークフローを構築する機能などが、AIエージェントの稼働を支える「線路」を引く役割を担い、企業の全社的な活用を支えるという。
AI Control Towerは複数のAIエージェントとワークフローを一元的に管理する製品。サービスナウのAIエージェントだけではなく、他社のAIエージェントの管理もできる。ヴァサント・バラスブラマニアン・VP&GM, Risk BUは、さまざまな部門でAIエージェントの利用が進む一方で、「各AIエージェントのガバナンスの確保が重要になる」と強調。その上で、AI Control TowerによるAIエージェントの在庫の作成やリスク、パフォーマンスの監視などの機能で、適切な統制を実現し、AIエージェントを活用した業務プロセス変革の戦略策定が可能になるとした。
米ServiceNow
ヴァサント・バラスブラマニアン VP&GM
AI Agent Fabricは、複数のAIエージェント同士の連携やAIエージェントとシステムとのやり取りを支援する通信基盤。標準規格となる「Model Context Protocol(MCP)」や「Agent2Agent」などを利用する。米Adobe(アドビ)などが提供するAIエージェントとサービスナウのAIエージェントを協調させ、システムを横断した自動化を可能にする。
今後のビジネス拡大にはパートナービジネスを重視する姿勢も示した。パートナーに対しては、AIエージェントの導入とともに、ServiceNow AI Platformを活用した基盤ビジネスへの習熟を求めた。
米ServiceNow
エリカ・ヴォリーニ EVP
エリカ・ヴォリーニ・EVP, Worldwide Industries, Partners&Go-to-Marketは、サービスナウが市場展開を進める上で、「パートナーには単に製品を販売するだけではなく、最も革新的な部分の構築を支援して、エンドユーザーによる当社の基盤の利用状況のアップデートを支援してほしい」と語り、ServiceNow AI Platformを顧客が最大限利用するためにパートナーと連携していくとした。
日本のパートナーに対してヴォリーニEVPは「(国内では)人事向けやCRM製品などの導入に大きなチャンスがあるだろう」と語り、「顧客があらゆる領域でサービスナウ製品を利用できるようにすることが重要だ」と訴えた。AIエージェント関連では、ServiceNow AI Platformが従来得意としてきた、複数システム間を統合したワークフロー上で、他社のAIエージェントとも連携できるようにする支援に期待を示した。
米ServiceNow
ドリット・ジルバーショット GVP
パートナーによるAIエージェントの構築も重視する。ドリット・ジルバーショット・GVP, AI experiences&innovationは「サービスナウのAI戦略は、当社が用意したAIエージェント、顧客が自身で構築したもの、パートナーが提供するものも含めて、全てのエージェントが連携しながら顧客を支援できるようにすること」と前置きした上で、「顧客ごとの課題を解決するために、各パートナーが強みを発揮したユニークなエージェントを構築し、ユースケースを創出してほしい」と呼び掛けた。
【米ラスベガス発】米ServiceNow(サービスナウ)は5月6~8日(米国時間)、年次イベント「Knowledge 2025」を開催し、これまで同社が強みとしてきたITSM(ITサービス管理)などの製品に加え、CRM製品を事業の新しい柱に据えた戦略を披露した。新たな統合基盤「ServiceNow AI Platform」の目玉として、複数のAIエージェントの活用を支えるための機能も発表。ビル・マクダーモット会長兼CEOは「(既存のCRMの利用では)顧客の損失は増大している。それでもこれまで通り使い続けるのか。変化の時が来ている」と訴えた。
(取材・文/大畑直悠)
テレンス・チェシャー・VP, CRM and Industry Workflowsは「オムニチャネルへの対応や360度の顧客理解は確かに重要だが、それはCRMの話の半分でしかない」と分析する。そのような他社のCRMでも提供している機能は、フロントオフィスだけのDXにとどまるもので、不十分だという。その上で同社が重視するのは、「顧客体験や従業員体験の問題点をいかに解決するかだ」と強調する。