Special Feature
コアビジネスの成功をAIでも 両輪を回すRed Hatの成長戦略
2025/07/31 09:00
週刊BCN 2025年07月28日vol.2069掲載
(取材・文/堀 茜)

大手金融でコンテナ化進む仮想化基盤の選択肢に
レッドハットのコアビジネスは、オープンソースの技術を活用したITインフラ事業だ。2024年のグローバルの業績は、企業向けLinuxの「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」が年間成長率8%、Kubernetesベースのコンテナ管理・アプリ開発プラットフォーム「OpenShift」とITインフラの運用自動化ツール「Ansible」は、前年比二桁成長を実現。売上高は11.4%増だった。日本ではグローバル以上の高い成長を達成した。日本法人常務執行役員の三木雄平・テクニカルセールス本部長は、日本法人の製品別の売り上げについて、「どの製品も大きく成長する中でRHELが半分程度を占めるが、OpenShiftの伸びが大きい」とする。同社はOpenShiftを現在の中核製品としている。大手金融業などで導入が進んでおり、それ以外の業界でも新しいシステムを開発する際、可搬性がある点を評価し部分的にコンテナソリューションを導入する企業が増加。「どんどん新しい製品をリリースしたいという『攻めのシステム』でコンテナの採用が進んでいる」(三木常務)。

同社の事業の中で特に急成長しているのが、コンテナの運用・管理と同じ基盤上に従来の仮想マシン(VM)を移行する機能の「OpenShift Virtualization」だ。グローバルでは前年比2.8倍の伸びで、国内でも同様の傾向となっている。仮想化基盤市場をめぐっては、大きなシェアを持つ「VMware」が米Broadcom(ブロードコム)による買収を機にライセンス体系を変更したため、多くの企業でコストが上昇した。これにより、レッドハットのVirtualizationを検討したいというニーズが高まっているという。
日本企業の傾向として、すぐに代替製品に置き換えるのはリスクが大きいと判断するケースは少なくないが、「多くの引き合いがあり、選択肢の一つとして考えていただいている」段階。数年後を見据えて基盤の変更を検討している顧客が多く、26年後半から27年にかけて、より大きな成長を見込んでいる。
VMwareの代替製品としてのVirtualizationの位置付けについて、三木常務は、レッドハットはKVM (Kernel-based Virtual Machine)ベースのソリューションを07年から手掛けており、仮想化基盤としてはVMwareと同等の性能があるとした一方、課題として「周辺のエコシステムはまだ薄い部分があり、充実させていく必要がある」と説明。ハードウェアベンダーとの協業など、顧客に提案できる機能や選択肢を充実させることで、より多くの要望に応えられる体制の構築を目指していくとした。
拡販にあたっての強みとして、単純な仮想化基盤の置き換えではなく、コンテナ化をセットにして提案できる点を挙げる。その際に重要になるのがパートナーの役割だ。レッドハットはエンタープライズの顧客が必要とするソフトウェアを提供するが、それらをどう選択し、顧客に最適なかたちで提案するかはパートナーにかかっていると強調。Virtualizationは選択肢の一つだとした上で、三木常務は「仮想化基盤から別の仮想化基盤にただ置き換えるのであれば、レッドハットは(パートナーから顧客に)提案されないかもしれない」との見方を示し、「せっかく投資するのであればモダナイズもしたい、という要望があれば、Virtualizationを選んでいただけるだろう」とさらなる成長に自信をみせる。
- 最新のAI技術を使えるプラットフォームを提供
- パートナーを通じてAI基盤の価値を拡大
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料) ログイン会員特典
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。 - 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!
- 1
関連記事
米Red Hat日本法人、AI推論で性能向上とコスト減を実現 多様なアクセラレーターとの適合が強み
米RedHat日本法人、AWS Marketplaceで仮想化・AI製品を提供 調達の選択肢を拡大
レガシー仮想基盤の刷新アプローチ 「脱VMware」は課題一掃のチャンス