日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)は新春セミナー・賀詞交歓会の開催に合わせ、Webサイトでメーカー9社による「2026年わが社の経営方針と営業戦略」の動画を公開した。各社はAIの普及・活用推進に向けた戦略において、販売・ソリューションパートナーとの協業がかぎになるとみて、さらなる連携強化に意欲を示す。
(文・構成/週刊BCN編集部)
エフサステクノロジーズ
オンプレミス環境でのAI活用に注力
エフサステクノロジーズは、オンプレミス環境でのAI活用を可能にする製品開発に力を入れている。機密データをパブリック環境に置きたくないというユーザー企業の需要に応えるため、ファームウェアに至るまで自社でつくり込んだ製品によって、「AIを安心して活用できるよう支援する」(坂井賢一・取締役常務プロダクト部門長)構えだ。
AI活用に当たっては、データ保護やAIを運用できる人材育成などの課題がある中、エフサステクノロジーズでは、オンプレミス環境でAIを運用できる「Private AI Platform on PRIMERGY」を製品化するとともに、導入やAI運用を担う人材の育成、業務への定着化などに向けた各種支援サービスも充実させている。
ほかにも、大日本印刷が開発した、非定型ドキュメントをAIが認識しやすいよう構造化する「構造化AIサービス」の取り扱いや、AIを活用したインフラ運用基盤「FTaI」の展開なども進めている。
日立製作所
ストレージの知見とAIを組み合わせ
日立製作所は、ストレージ開発で培った知見とAIの組み合わせに取り組んでいる。データを効率よく格納し、オンプレミスやクラウド、エッジなどさまざまな場所に散在するデータを活用しやすくするとともに、バックアップによる確実なデータ保護にも力を入れる。
グループ会社の日立ヴァンタラの事例では、調達から製造、販売・保守サポートの各工程に散在するデータを収集し、AIで分析することによって、欠品をなくし、予備在庫にかかる費用を23年4月比で40%削減。製造リードタイムも25%短縮できたという。
バックアップでは、システム管理者であっても参照できない「隠し金庫」のような物理領域を確保し、ランサムウェアの攻撃を受けても確実にデータを復元できるようにした。橋本進太郎・マネージド&プラットフォームサービス事業部フロントエンゲージメント推進本部長は「販売パートナーと連携を深め、製品やサービスを含めたトータルな提案や伴走をしていく」と話した。
VAIO
生産性を向上させる高品質と高性能を追求
25年12月に就任したVAIOの糸岡健社長は、自社の原点を「ものづくりへの情熱と未来への希望だ」と強調し、「(自社を)単なる製造拠点ではなく、世界中のお客様に喜ばれる製品を生み出して、未来を切り開く知恵と情熱の結晶となる場にしたい」と意気込む。高品質と高性能を追求しながら、ユーザーの生産性を高められる「カッコイイ」「カシコイ」「ホンモノ」の製品を届けると抱負を述べた。
また、既存ユーザーから高い評価を得ている品質をより多くの顧客に届けるため、メーカー保証付きのリファービッシュPC「Reborn VAIO」の販売を開始したことを紹介。長野県の安曇野本社で分解やクリーニング・部品交換を施して新品同様の外観と品質に仕上げており、発売以降は想定以上の引き合いがあるとした。25年度に5000台、3年後に6万台の販売を目指す計画を示し、普及にはパートナーなどの協力が必要不可欠だと呼びかけた。
レノボ・ジャパン
AIワークロードに自信
レノボ・ジャパンは「パブリックAI」「エンタープライズAI」「パーソナルAI」を掛け合わせたアーキテクチャー「ハイブリッドAI」を訴求している。最新ソリューションの「Lenovo Qira」について執行役員の佐藤久・副社長は、複数デバイスを横断してユーザーの情報や体験を蓄積、活用し、常にユーザーに伴走するAIと紹介。「個人に最適化されたデータベースに対して、デバイスをまたいで安全にアクセスできるAI環境を提供する」と強みを示した。
エンタープライズ領域であらゆるAIワークロードをサポートする中でも、直近では小型のスーパーコンピューター「ThinkStation PGX」をリリースした。AI活用の多様化に対応する構えで、「(同社の)ハードウェアと、パートナーが持つケイパビリティーを掛け算で組み合わせてエンドユーザーに提供するパートナーシップを追い求めたい」と意気込んだ。
NEC
パートナーの強みで価値創造
NEC執行役の木村哲彦・Corporate EVPは「BluStellar」事業について、売り上げ1兆円、営業利益率20%の目標に向けて「着実に歩みを進めている」と報告した。顧客との共創事例やNECのクライアントゼロの取り組みを体系化した「BluStellar Scenario」を構築。AIとセキュリティーの技術力がベースになっているとした。
パートナーとともにSME(中堅・中小企業)マーケットでのビジネス拡大を目指すのが「BluStellarパートナープログラム」だ。このうち「BluStellar共創パートナープログラム」は、NECが注力するアセットとパートナーの資産や知見を掛け合わせる取り組みで、「BluStellar Academy」ではパートナーの講師育成などDX・AI人材を増やすラインアップをそろえる。「パートナーの強みとBluStellarを掛け合わせ、新たな市場や顧客価値を創出する」と訴えた。
日本マイクロソフト
AIと人の共存による成功の方程式を示す
日本マイクロソフトはAIやAIエージェントの活用を通じて先進的でスピーディーな変革を推進する「フロンティア組織」の創出を後押しする姿勢を示した。執行役員の三野達也・コーポレートソリューション事業部チャネルパートナー統括本部長は「AIと人の共存による成功の方程式を示す」と意気込んだ。
具体的な戦略としては、「Microsoft 365」などにAIエージェントを組み込んだ「AI Business Solutions」を打ち出し、データ活用や生産性向上をサポートする。拡張性の高いAIを利用可能にするために「Azure」へのマイグレーション支援にも注力する。
パートナー向けの施策では「AI&クラウドパートナープログラム」を展開し、AIソリューションの開発や市場開拓を後押しする。パートナーが作成したAIエージェントを公開する「Microsoft Marketplace」の発展にも力を入れる方針だ。
日本ヒューレット・パッカード
業界唯一のフルスタックをアピール
日本ヒューレット・パッカード(HPE)は、パートナープログラムの刷新を通じて販売パートナーとの協力体制を一層深める方針を示した。サーバー、ストレージ、ネットワーク、ハイブリッドクラウドなど、すべてのプラットフォームをそろえたフルスタックソリューションが柱になる。
常務執行役員の田中泰光・パートナー営業統括本部長は、「米Juniper Networks(ジュニパーネットワークス)と米Aruba Networks(アルバネットワークス)の買収・統合により、IT業界で唯一、全てをそろえたベンダーになった」と強調した。
オンプレミスAIによりプライベートAI活用を支援するほか、「VMware」製品の代替需要を見据え、コストを抑えたハイパーバイザー「HPE Morpheus VM Essentials」を市場に本格投入する。田中常務は、「爆発的に伸びる」とし「パートナーと協力して市場をけん引したい」と語った。
日本HP
パートナー企業と“勝ち馬に”なる
日本HPはクラウドとローカルAIを組み合わせたAI活用の推進や、より快適で安全なハイブリッドワークの支援で顧客からの期待に応える構えだ。岡戸伸樹社長は「26年は午年。勝ち馬となれるように(パートナーの)皆様とともに全力で駆け抜けたい」と意気込んだ。
クラウドAIに関して、岡戸社長は「電力需要のひっ迫やトークンコストの増大、セキュリティーやプライバシーへの懸念が課題になっている」と指摘し、業務に応じてローカルAIの活用が必要になるとの認識を示した。ハイブリッドワークでは、データ通信サービス「eSIM Connect」に「国際ローミング」「副回線キャリア」「MDMセキュリティ」の機能を加え、利便性をさらに向上させているとした。端末レベルでのセキュリティーの強みも訴える方針で、同社PCのセキュリティー基盤である「Wolf Security」などさまざまなワークフローに組み込む支援を展開するとした。
Dynabook
ハード×AIで変化に対応
Dynabookは、法人向けでは米Intel(インテル)と米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)それぞれの強みを生かしつつ、米Microsoft(マイクロソフト)が定める「Copilot+PC」や、省電力といった市場のニーズに応えるラインアップを強化している。1月には、インテルの「Core Ultra シリーズ3」を採用し、独自のAI機能を搭載する法人向け新製品2機種を発表した。
ハード面に加え、従来のキッティングやライフサイクルマネジメント(LCM)といったPC運用に関するサービスの充実と、AI導入支援などのソリューションの強化も進める。法人向けPCへのAI学習教材の無料搭載や、オンプレミスでの生成AI活用支援なども展開する。
覚道清文社長兼CEOは、16年に東芝からPC事業を継承した前身の東芝クライアントソリューションの発足から10年を振り返り、「変化に対応し続ける力こそが最大の強み」と述べた。