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<シンクライアント特集> アプティ 製品ラインアップを揃え提案力を増す

2007/10/29 15:49

週刊BCN 2007年10月29日vol.1209掲載

シンクライアント端末の新機種をリリース 強みを生かし、シンクライアント市場を開拓

 アプティは、「プリンティングソリューション」「エコロジー」「セキュリティ」に特化した展開を行っている。同社のシンクライアント端末は、すでに450社を超える企業に導入され、実際に稼働している。シンクライアント市場を開拓する同社の山本健治代表取締役社長に話を聞いた。

■液晶の裏に設置できる小型・省スペース端末

 1991年10月、アプティは日本IBMと東芝テックが共同出資したコンピューターの周辺機器を製造・販売する「アドバンスト・ペリフェラルズ」を母体とし設立され、2006年4月JBCCホールディングスの100%子会社として新たな事業を展開している。

 「当社は、すべての経営資源を“プリンティングソリューション”“エコロジー”“セキュリティ”関連分野に投入することを経営方針としています」と語るのは、同社の山本健治代表取締役社長。同社は、セキュリティ分野でシンクライアント端末を提供し、すでに官公庁および製造・流通・金融業など450社を超える導入実績がある。

 シンクライアント端末として、A4ノートPCタイプの「SecureTerminal(セキュアターミナル)Note(T711E/T711EM)」、B5モバイルシンクライアントの「Secure Terminal Mobile Note(T911E/T911EM)」、デスクトップ型の「Secure Terminal(T500E/T511E/T511EM)」を提供している。

 Microsoft RDPやCitrix MataFrameクライアントだけでなく最初からTN5250E/TN3270E エミュレータソフトが組み込まれており、別途エミュレータソフトウェアを購入することなくIBM3477のようなホスト専用端末としても利用できるため、これまでの資産を生かしつつ、オープン系システムの資源も活用できるシンクライアントとして訴求力を強めている。さらに、アプティはユーザーニーズに応え、きめ細かなカスタマイズも行っており、顧客企業からの支持も獲得している。

 同社は、10月2日にシンクライアント端末の新モデル「SecureTerminal(T311E/T311EM)」をリリースした。「T311E/T311EM」は、従来の「SecureTerminal」に比べて省スペースとなり、オプションの金具を使うことでVESA規格に対応した液晶モニタの裏面に取り付けることもできるようになっている。また消費電力も、既存の「SecureTerminal」の3分の1程度に抑えることに成功している。

 「“T311E/T311EM”は、小型化のために、シリアルなどの一部のインターフェースを省略しています。このあたりは、お客様の環境に合わせて選択していただければと思います」(山本社長)とのことだ。

■管理・運用コストを低減するシンクライアントに注目

 「T311E/T311EM」は、AC電源を品質の優れた特注品にし、筐体にアルミを用いて熱による品質劣化を抑えることに成功するなど、「細かいところまで神経を使って製品を開発しています。それが、当社のモットーです」(山本社長)。このシンクライアントシステムのラインアップを増やすことで、さまざまな利用シーンでシンクライアントを利用できるようになる。モバイル用途やデスクワークなど、仕事の形態にあった端末を顧客企業が選べるようになるのだ。

 それだけではない。ハードディスクドライブや情報などを端末側に持たないから、盗難や紛失による情報漏えいの心配がない。データはすべてサーバー側で管理できることから、管理者の負担や手間を大幅に軽減する。さらにハードウェアの信頼性も高く、故障や障害といったトラブルも起きにくいため、TCOの削減にも効果的だ。

 「“SecureTerminal”シリーズでは、リモート操作で集中管理を行える管理ツールを無償で提供しています。この管理ツールの評判がよく、次年度以降の入札条件でこの管理ツールを使えることを条件とする場合もあります」(山本社長)。

 この端末には、シンクライアント導入企業のTCOの削減を実現するための各種機能が、ふんだんに盛り込まれている。管理・運用の負荷とコストを低減するため、本格導入する企業が増えているという。「これまでは、数台の規模で導入するケースがほとんどでしたが、最近では数百台から数千台といった規模で導入されています。企業のなかで実用レベルで使われているシンクライアントだと言えるでしょう」(山本社長)。シンクライアント市場は、調査会社の調査などによると、11年には50万台規模の市場に成長すると言われ、アプティは、国内シェアの15-20%を獲得したいとしている。シンクライアントは、メンテナンスサービスがビジネスとして成り立ちにくいので、それに代わる付加価値を実現しなくてはならない。しかし、シンクライアントへの潮流は明確になってきた。この波をつかみ、今からノウハウを蓄積しておけば、次のビジネスチャンスへとつなげることもできるはずだ。

■「プリンティング」と「エコロジー」は「セキュリティ」とより密接に

 アプティは、ドットインパクトプリンタや高速レーザープリンタなど「プリンティングソリューション」や「エコロジー」に特化した展開も行っており、両面サーマルプリンタである「ごみなしプリンタ」といったユニークな商材も手がけている。新しい提案だが「物流・製造業を中心に引き合いが増えています」(山本社長)とのことだ。こういった製品についても、ユーザーニーズの掘り起こしに余念がない。

 また、これらのソリューションは「セキュリティ」と密接な関係がある。情報化が進んでいるとはいえ、情報のほとんどは「紙」から漏えいしているのだ。「プリンティング」や「セキュリティ」が連携することで、より強固なセキュリティ環境を構築できる。これから時代が進むにつれ、アプティの強みはさらに発揮されていくことになるだろう。

 インタビューの最後に山本社長は「プリンティングから広がることは多いと考えています。“エコロジー”“セキュリティ”と“プリンティング”は、切り離せない関係になっていくことでしょう」と語った。時代のニーズをいち早くキャッチする同社の今後の展開に期待したい。(週刊BCN 2007年10月29日号掲載)

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外部リンク

アプティ=http://www.apti.co.jp/