Special Issue

<期待される企業像 2009>エフセキュア、日立情報システムズ

2009/04/27 19:56

週刊BCN 2009年04月27日vol.1282掲載

日立情報システムズ
「仮想化の日立情報」へ 豊富な実績を武器に“攻め”を貫く

 日立情報システムズは、今年度(2010年3月期)の成長分野として仮想化に焦点を当て、仮想化ソリューションを本格展開する。どのITベンダーも仮想化に着目しているが、日立情報の仮想化ソリューションは『にわか仕込み』ではない。3年前から調査・研究を開始し、自社の基幹業務システムにも適用。約50件におよぶ仮想化の実績をこなすなかで確かなノウハウを蓄積してきた。今年度は、満を持して鍛え上げたソリューションを市場に本格的に送り出す時。充実したサービスメニューとSIerとの協業推進により、仮想化ソリューションでトップを狙う日立情報の取り組みを、営業統括本部長の山本執行役に聞いた。


自社システムにも適用した仮想化の高い技術力と豊富な実績

 企業は現在、コスト削減に懸命だ。その対象としてITに目を向ける企業は少なくない。IT調査会社、IDC Japanの調査によると、企業の予算削減項目トップ10のなかで、ITコストは第2位にランクされている。コスト削減提案ができなければ、IT業界で生き残ることが難しい時代。多くのITベンダーは、物理的なサーバー台数を削減でき、それに付随する運用コストも減らせる仮想化に着目している。

 日立情報も、今年度の重点事業として仮想化を位置づけている。ただし『付け焼刃』の事業ではない。これまで蓄積した仮想化の技術力と豊富な実績を活かし、顧客の業種・業務を踏まえたソリューションの提供により、企業のITコスト削減と競争力強化の両立を支援するのが大きな特長だ。

 日立情報では、仮想化ソフトウェア最大手のヴイエムウェア社をパートナーに選び、早くから技術力を磨いてきた。同社におけるヴイエムウェア社の認定資格取得者数は、セールス担当者向けの「VSP」が約170人。上級技術者に与えられる「VCP」も約100人揃え、いずれも国内トップクラスだ。とくに、「VSP」の取得者は日立情報の全営業員の約3割に相当し、営業員の3人に1人が資格を保有している。また、販売パートナーの最上位資格「VMwareプレミアパートナー」にも、国内で初めて認定された。

 さらに、日立情報では自社で利用中のシステムにも仮想化技術を適用、効果を自ら検証している。その成果として、物理サーバーを74台から14台に減らしたほか、基幹業務システム「SAP ERP」のバージョンアップを仮想環境で実現し、昨年8月より本番稼働している。これは、国内ではもちろん、アジアでも初である。

 高度な仮想化技術と豊富な実績、幅広い分野で培った業務アプリケーション構築・運用の経験を活かして、顧客のビジネスに真に貢献できる仮想化ソリューションを提供できるのが日立情報の大きな強みである。

SIerとの協業強化により顧客のニーズに迅速に対応

 この3月、日立情報では、仮想化関連の商品およびサービスを「VSolution」として体系化し、顧客の業種・業務に即したサービスメニューを整備した。一方、仮想化導入の際に必要なシステム稼働状況の調査・分析や最適な統合のための推奨構成を安価でレポートする「仮想化クリニックサービス」を開始。仮想化によるITコスト削減効果を示すことで、仮想化導入のメリットをわかりやすく説明していく。

クリックで拡大 そして、もう一つの重点戦略がSIerとのアライアンスだ。山本氏は、「仮想化はどんなシステムにも導入できる応用範囲が広い技術。自社単独で展開するより同業のSIerと積極的に協業した方が、顧客に対してのメリットが大きくなる」と説明する。新たに立ち上げたパートナー制度「VPartner」では、協業するSIerは自社のソリューションに日立情報の仮想化商品・サービスを組み込むことができる。これにより、顧客が求める仮想化のニーズに迅速かつ的確に提案できるようになる。ベンダー・パートナー・顧客にとってwinーwinーwinの関係を築くことができるわけだ。

 さらに、顧客やパートナーが仮想化システム及びクラウドコンピューティングを体験・導入相談・検証できる専用施設「CVC(注)」を設置、4月から利用を開始した。

 「仮想化の国内普及率は未だ10%未満。市場への本格的な浸透はこれからです。今後はサービスメニューを順次増やし、パートナーとの協業体制も拡充させ、“仮想化に強い日立情報”のブランド確立を目指します。そして、クラウドコンピューティングの時代が到来しても、顧客が安心して業務に専念できる環境構築へとつなげていきたいと考えています」(山本氏)。

 充実したサービスメニューとユニークな協業モデルの展開により、仮想化ソリューションに本腰を入れて取り組む日立情報。仮想化に業務アプリケーションを組み合わせた付加価値の高いサービスにより、日立情報は顧客のITコスト削減と競争力強化の両立を、これからも強力に支援していく。