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<BCNランキング 09年 上期No.1>トップベンダーの施策・戦略を聞く 09年上期No.1企業の勝因は

2009/07/30 19:56

週刊BCN 2009年07月27日vol.1294掲載

バッファロー
「デジタルライフ、もっと快適に」をキーワードに

“使いやすさ”と“使い方”を追求

 デジタル家電をネットワークで結び、コンテンツやサービスを家庭のどこでも楽しめるホームネットワーク時代が本格的に到来しようとしている。そんななか、「デジタルライフ、もっと快適に」のキャッチフレーズを新たに掲げ、ネットワークを軸としてユーザー目線から製品を企画製造販売しているのがバッファローだ。デジタル時代にあって同社が目指す方向を、中井一取締役に聞いた。

 「あらゆるデジタル機器がネットワークにつながる時代になり、その機器を簡単、便利に使えるようにして『快適なデジタルライフ』を提供することが私どもの使命だと思っています。この考えのもとに製品やサービスを展開してきました。それが支持されたからこそ、上半期で10部門のトップシェアを獲得できたのだと思います」と、中井一・取締役ブロードバンドソリューションズ事業部長兼市場開発事業部長は話す。

 例えば1位の無線LAN。ハイビジョン(HD)映像が身近になり、家庭で薄型テレビやホームサーバーがネットワークでつながるホームネットワーク時代では不可欠なインフラになりつつある。バッファローではこうした時代の流れを読み、高速無線LAN規格「IEEE802.11n」を導入、さらに電波出力を強化した11nハイパワーを製品化。「通信速度はもちろん、11nハイパワーにより家の隅々まで届く、1FのNASに録画したHDを2Fで見るといった場合でも、映像がコマ落ちせずに再生できるように技術の向上に力を注いできた」(中井取締役)。こうした取り組みが、トップシェアNo.1獲得の原動力になっている。

最新機器に変貌させる周辺機器 デジタル家電分野はテレビを核に

 「快適なデジタルライフ」でバッファローがキーと考えているのが「テレビ」だ。ネット接続が標準になった薄型テレビへの無線LANへの展開はもちろん、地デジチューナーやメディアプレーヤーといったアナログテレビで地デジが楽しめる機器にも力を入れている。「今あるアナログテレビで同様のデジタル放送を楽しんでもらいたい」というのが狙いだ。

 「古い機器を最新機器へ」。バッファローはこのコンセプトにてPC周辺機器で展開してきた。また、デザインも機能の1つと考え、スタイリッシュなポータブルHDD“つやスリム”を製品化。さらに、持ち運ぶうえでの機能(耐衝撃、自動暗号化、ピタッとケーブル収納)も搭載したポータブルHDD“つやピタガード”を投入した。「“つやスリム”は非常に好評で、赤モデルが一番売れています」。それがHDDやDVDなどのPC周辺機器での上半期トップシェア獲得につながっている。

 もう一つ重要視するのが、「いかにお客さまに簡単に製品を使ってもらえるようにするか」。無線LANではその解としてボタン一つで設定ができる「AOSS」を開発した。また、グループのサポート会社と連携し、無線LANの設定を行う訪問サービスを提供。使い方がわからないユーザーのフォローも積極的に行っていく。サポートサービスは地デジチューナーでも実施する予定だ。同社ではこうしたきめ細かなユーザー視点のアプローチが「お客様の満足度を高め、シェアの獲得・維持につながる」とみている。

キーワードは「使い方の訴求」 体験してもらう売り場作りを推進

 バッファローはPC周辺機器メーカーから出発した。今後はデジタル家電周辺機器メーカーとしてのブランドを確立していきたいと考えている。その核となる商品は、「無線LAN」「NAS」「メディアプレーヤー」だ。キーワードは「使い方の訴求」だ。

 注力する3製品についてはテレビやデジタルカメラコーナーに売り場を拡大。家電やカメラメーカーとタイアップしてデジタル家電とバッファローの製品が組み合わせることでユーザーが実現できるデジタルライフを展示。訪れた人が実際に機器を体験し“使い方がわかる”売り場作りを進めている。

 製品パッケージも性能訴求から、ユーザーが「この製品で何ができるか」を一目でわかるように箱のデザインも変えていく方針だ。

 PCからデジタル家電に事業領域は広がるが、「お客様に使い方をどうやって伝えていくか」(中井取締役)という姿勢は変わらない。機能が高度・複雑化するデジタル時代にあって同社がこだわる“わかりやすい製品”は、これからも多くユーザーの支持を集めることだろう。




バッファロー=http://buffalo.jp/