ネットワーク関連機器業界が、今、変革の時を迎えている。世界的大手メーカーのM&A(企業の合併・買収)が加速し、再編劇が進行中の一方で、ユーザー企業はクラウド時代を見据えた情報システムのあり方を模索し、ネットワークインフラを強化しようとしている。国内のネットワーク系ITベンダーは、ビジネスモデルの変革や新サービスの創造など、新施策を打ち出している。今回の特別企画では、世界的大手メーカー再編の動きや国内の主要ネットワーク販社の戦略を改めて解説しながら、ユーザー企業の今のニーズを満たすソリューションをもつメーカーをピックアップ。各社の戦略と有力ソリューションを紹介する。

■INDEX
Imperva Japan
Imperva Japan、パートナービジネスを加速、WAFとDBセキュリティ、ファイルセキュリティを本格展開

ネットギアジャパン
ネットギアジャパン、高コストパフォーマンスの高速ネットワーク製品でSMB市場開拓

ネットワールド
ネットワールド×ハンドリームネット、セキュリティスイッチ「SGシリーズ」の拡販を目指す

セイコープレシジョン
セイコープレシジョン、ラインアップ拡充とパートナー販売への移行でロードバランサーの拡販を強化

トレンドマイクロ
トレンドマイクロ×ヤマハ×住商情報システム、セキュリティサービス拡充で新市場へ

リバーベッドテクノロジー
リバーベッドテクノロジー クラウド・仮想環境の「アプリ遅延」はWAN高速化装置「Steelhead」が解決


世界的大手メーカーの再編劇、M&Aで主導権争い激化


 ワールドワイドのネットワーク関連業界ではM&Aが一段と進んでいる。代表的な動きといえば、まず米ヒューレット・パッカード(米HP)による米3Comの買収がある。このM&Aで米HPは、米3Com製スイッチやルータなどのネットワークやセキュリティ関連製品・サービス、HP製ネットワーク関連ブランド「ProCurve」との統合を図り、サーバーとストレージ、ネットワーク機器、ソフトウェアそしてサービスを含めた総合提案「Converged Infrastructure」戦略を、より加速させようとしている。

 今回の買収で、とくに注目すべきなのは、米3Comの子会社であるH3Cを通じて、中国市場での存在感を増す可能性があることだ。米HPは、急成長中の市場でビジネス拡大を図る基盤を築き、ネットワーク機器業界の巨人である米シスコシステムズと、世界市場で真っ向から勝負する素地を固めた。

 一方、米シスコは高速光ネットワーク向けデジタル信号処理(DSP)関連ベンダー、米CoreOpticsを買収する意向であることを発表済みだ。この買収で、シスコは通信事業者などサービスプロバイダ(SP)に対して、100Gbpsの高度な伝送技術でIPトラフィックの急速な需要拡大に対応できるネットワーク提供を視野に入れている。法人市場に加え、SP市場でも確固たる地位を築こうとしているわけだ。

  そのSP市場に強い米ジュニパーネットワークスは、販社とのパートナーシップ深耕を狙い、「エコシステム」と称して販社、協業メーカーなどがさまざまな場面でアライアンスを組んで需要を掘り起こす戦略を推進する。日本法人も「シスコとは一線を画し、マルチベンダー化でシェアを拡大していく」(細井洋一社長)方針を示している。

有力ネットワークベンダーは新製品・サービスで市場深耕


 ワールドワイドの業界再編が続く状況下で、国内のネットワーク関連市場には追い風が吹いており、しかも長期的な成長が見込める。たとえば、データセンターを構築するのに必要なネットワークインフラ関連製品市場。調査会社IDC Japanは、2009年~14年の年平均成長率(CAGR)は5.2%で、14年の市場規模は530億円に達すると予測した。また、広域イーサネットサービスも右肩上がりで、09年~14年のCAGRは2.8%、市場規模は3329億円とみる。クラウド時代を見据えたネットワークインフラ強化の動きは確実で、それにあわせてネットワーク機器・サービスが伸びるわけだ。


国内データセンターネットワークインフラストラクチャ市場の製品別売上高予測


 日本のネットワーク系ベンダーの動きも激しい。ネットワーク機器の販売やネットワークインテグレーションに強い主要会社の取り組みをみてみよう。

 三井情報は、グローバルでビジネスを手がける企業や、これから世界に進出する企業に対して、回線を含めたネットワークインフラ構築を追求している。同社は昨年、米国の大手通信事業者ベライゾングループと回線サービスの提供でアライアンスを組んだ。日本の通信事業者とも協業しており、多くの通信事業者とパートナーシップを深めることで、回線を含めた総合的なプラットフォームを提供することに力を注いでいる。

 これは、企業がグローバル化を図るうえで、統一されたITシステムやインフラの構築、そして回線サービスの導入を視野に入れることが必要と考えているからだ。そこで、ユーザー企業にとって問題になるのが、「誰に依頼すればいいか」ということだ。この困惑に、三井情報は通信事業者とアライアンスを組むことで応えようとしているわけだ。

 ネットマークスは、「FCoE」に力を注いでいる。FCoEは、1台のスイッチでイーサネットとファイバーチャネル(FC)の両方を搭載していることから、「社内ではイーサネット、拠点など外部とのアクセスではFC」といった使い分けが可能で、クラウド時代では主流なるとみられ、今後需要が強まる可能性が高い。

 現段階ではラインアップが少なく、価格が高いFCoEだけに、絞ったビジネスだけでは案件が限られる。案件数の増加に向けて、WAN高速化機器で拠点間で高速アクセスしたいというニーズに対応している。

国内主要メーカー7社は優位性をもつ分野と新市場に注力


 世界的大手メーカー、そして主要ネットワーク販社ともに新たな動きをみせるなか、国内市場で活発な動きをみせる7社のネットワークベンダーがいる。

  Imperva Japanはウェブの脆弱性を突いた不正プログラムが増えているとみて、WAF(Web Application Firewall)」の拡販に力を注ぎ、ネットギアジャパンはSMB向け高速ネットワークスイッチを投入。ネットワールドは韓国のハンドリームネットと組んで、「セキュリティスイッチ」と呼ぶ新市場の開拓に力を注ぐ方針を固めた。

 また、セイコープレシジョンは、ネットワーク機器のブランドを「Netwiser(ネットワイザー)」に統一し、これを機にロードバランサーの販売に本腰を入れる。トレンドマイクロはヤマハとの協業を加速させ、リバーベッドテクノロジーはWAN最適化ツールの拡販に照準を合わせた。その一方でシスコシステムズは、従来にはない新たな戦略を打ち出すため、準備を進めている。7社の取り組みについては、各社のキーマンに単独取材し、その狙いと優位性を徹底解説する。