Special Issue

日本ラッド 価格性能比を徹底追求 IaaS型クラウド「インダストリア」を投入

2011/03/24 19:55

週刊BCN 2011年03月21日vol.1375掲載

<クラウド・ホスティングサービス特集>
クラウド業界に新たな動き 独自技術で戦略商材生み出す


 クラウド/ホスティングサービスに新たな動きが出ている。有力SIerの日本ラッドがコストパフォーマンスが極めて高いIaaS型のパブリッククラウドサービスを3月3日にスタートさせた。海外有名IaaSのおよそ半分の価格、日本国内の主要サービスに対しては実に最大で40分の1のハイコストパフォーマンスぶりである。

 サービス名は「インダストリア」。日本ラッドが独自に開発した超低消費電力データセンターやクラウド向けに専用設計した分散ストレージ技術に裏づけされたもので、サービスを支えるインフラ部分から抜本的にコスト構造を見直した。このため、本格的なビジネス用途のクラウド型サービスとして高い信頼性と性能要求を満たすサービスに仕上がっている。国内クラウド/ホスティングサービスに大きな変化を促す戦略性の高い商材だ。

 有力SIerの日本ラッドは、価格性能比の高いビジネス向けパブリッククラウドサービスを2011年3月からスタートした。サービス名は「インダストリア」で、仮想CPU1個2GHz相当で月額390円からという料金に設定されている。IaaSのコストパフォーマンスを徹底的に追求したもので、パブリッククラウドサービスのグローバル大手をも上回るスペックと価格帯にした。サービスを支えるデータセンター(DC)をはじめとするインフラ基盤から「根本的に設計し直した日本ラッドの技術力によって実現したもの」(日本ラッドの岡田良介執行役員)という。

 同社は、仮想プライベートサーバー(VPS)ホスティングサービスの「Osukiniサーバー」や、電子メールサービスの「Omakaseサーバー」、さらにユーザーの必要に応じてスケールアウトできるパブリッククラウドサービスの「Osukiniクラウド」など、さまざまなITリソース提供サービスを展開。今回、新しく投入する「インダストリア」は、コストパフォーマンスをさらに向上し、しかも企業の重要な業務システムの利用にも十分に耐えうる冗長性と堅牢性を備えている。

 ITサービスの信頼性を高めたうえに、コストパフォーマンスがよいサービスを次々と投入できるのは、日本ラッドがもつ技術の粋を集めたクラウド基盤の構築があるからこそ。例えば、電力消費を極限まで抑えた新型DCや、クラウド利用に最適化したサーバー、オープンソースソフト(OSS)版Xenを活用したOS/プラットフォームの仮想化、分散ストレージ技術など、精力的に導入してきた。

 2010年10月にオープンした超低消費電力型DCは、外気をサーバーなどの発熱部に直接吹き付ける排熱型冷却方式を他社に先駆けて採用することでPUE(DC全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った数値。1に近いほど効率がいい)を従来の約半分近い1.1の値を実現。自社開発のDC最適化サーバー、ITリソースの自動プロビジョニング(提供準備)システム、また、これまでの5~10分の1の価格帯に抑えた分散型スケールアウト方式のストレージなど、コストパフォーマンスの追求では他社の追随を許さない。

 こうした最新技術に裏付けされた「インダストリア」では、「幅広い企業ユーザーのクラウドニーズを掴んでいく」(岡田執行役員)ことで、ビジネス拡大を目指す方針である。

  • 1

関連記事

<クラウド・ホスティングサービス特集>日本ラッド 重要基盤の自社開発で低価格を実現

<クラウド・ホスティングサービス特集>クラウド活用で成長が顕著に “所有から利用へ”が一段と加速

積乱雲湧き上がる「パブリッククラウド」 日本勢、渾身の反撃なるか

【2011年 年頭所感】 日本ラッド

日本ラッド 空調レスDC商用化へ

外部リンク

CLOUD HOSTING SERVICE=http://saases.jp/