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<2011.10.14開催 BCN Conferenceレポート>有力ベンダーが語るビジネス戦略とパートナー施策

2011/11/17 19:55

週刊BCN 2011年11月14日vol.1407掲載

 BCN(奥田喜久男社長)は、2011年10月14日、IT商材を販売するパートナー向けに初のプライベートイベント「BCN Conference」を東京・港区の六本木アカデミーヒルズ49タワーホールで開催した。「IT商流の先を読む──停滞から再成長へ、IT産業復活への道標(みちしるべ)」をテーマに、「クラウド」「BCP(事業継続計画)」「中国」「全国」をキーワードに有力ベンダーキーパーソンによる特別セッションを展開。定員200人のところ来場者総数は350人に達し、IT産業復活への力強さ実感したカンファレンスとなった。

基調講演に耳を傾けるBCN Conference参加者

今求められるITの形
安心・安全を取り戻せ

基調講演で説く日本マイクロソフトの樋口泰行社長
 「BCN Conference」では、まずBCN社長の奥田喜久男が開会の辞として、地域経済を支える地場SIerの振興や、クラウドによって起こるIT企業のビジネスモデルの変遷、国内市場のみならず海外でのビジネス拡大についての問題を提起。続いて、基調講演として日本マイクロソフトの樋口泰行社長が演台に立ち、「ビジネスの変革を加速する、今求められるITの形」と題する講演を行った。

 樋口社長は、経済が転換期を迎えている今、自ら海外に出向くことで「世界目線」や「戦闘意欲」を培い、情報システムに「人」が歩み寄るスピード感を高め、ビジネスプロセスの改革を推進する「近代化」が必要だとして、「グローバル競争力と日本の持ち味のコンビネーションを図ることが重要だ」と力強く説いた。

 また、情報システムの潮流として「“コンシューマライゼーションIT”が進みつつある」として、スマートフォンを例に挙げて、「個人所有のスマートデバイスと企業の情報システムが融合することで生産性がより高まる」と分析。スマートデバイスとクラウドをつなぐ連携性や移動性、管理性、オープン性、開発生産性の向上などが期待でき、「日本マイクロソフトはこうしたニーズに総合力で対応できる」と自信を示した。

特別講演を行うNECの岩波利光副社長兼CMO(チーフマーケティングオフィサー)
 続いて、NECの岩波利光副社長兼CMO(チーフマーケティングオフィサー)が、「人と地球にやさしい情報社会へ」と題して特別講演を行った。先の東日本大震災を踏まえて、「災害に強く、環境負荷の少ないビジネスや街づくりには、ITシステムの見直しが欠かせない」として、「ITシステムをより積極的に活用していくことが、安心・安全を取り戻すことにつながる」と訴えた。

 岩波副社長は、災害に強く、省エネルギーのITシステムへの刷新・再構築をビジネスパートナーとともに進めていくことを明確に示した。クラウド対応のシンクライアントシステムの構築やスマートデバイスなどのユーザー企業への物販、SIをビジネスパートナー経由で手がけるとともに、NEC販売店が独自にデータセンター(DC)を運営してクラウドに代表されるサービスビジネスを展開するケースも積極的に支援する。「販売店やSIerの物販ビジネスからサービスビジネスに至るまで、トータルでサポートしていく」と、ビジネスパートナーを重視するNECらしい施策を打つことを明らかにした。

スマートデバイスが台頭
クラウドで変わるビジネス

 午前のセッションが終了した正午には、17社の出展社による展示会が開幕し、各社が自信をもつITソリューションを来場者に披露した。出展社はメーカーやディストリビュータが中心で、来場者の多くはSIerなどITシステムの“売り手”。説明担当者は、来場者に向けて熱心に自社のITソリューションの優位性を訴えた。出展社の一社であるNECは、クラウドに対応した最新機種を展示。日本マイクロソフトはスマートデバイスを中心に業務での活用を提案するなど、出展社の多様なITソリューションは来場者の強い関心を引いた。 

出展社17社のブースに多くの来場者が集まる

 午後からは、NTTコミュニケーションズやクオリティ、ソフトバンクBB、デル、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、日本マイクロソフト、ビットアイル、レノボ・ジャパンなど有力ベンダーのキーパーソンによる講演のほか、「各地域主要SIerのKeyPersonが語る 地域活性化と日本経済の発展」「SMB市場の有力SIer、3社が集結~激戦区での戦い方をキーマンが徹底討論」と題するパネルディスカッションを開催した。

 NTTコミュニケーションズは、クラウドサービス「BizCITY」のメリットと、パートナープログラムについて説明。クオリティは急成長を続ける中国IT市場で、日本のITベンダーがビジネススタイルをどのように変えれば中国で成功するかについて講演した。ソフトバンクBBは、同社のグループ社員全員がiPhoneやiPadなどのスマートデバイスを業務に活用している事例を引き合いに出しながら、モバイルインターネットビジネスの将来性を力説。直販モデルの印象が強いデルは「Dellのチャネル戦略」と題して、パートナー施策の現状と今後の方向を語った。

 日本HPは、ビッグデータ(大量の情報)対応やビジネスの継続計画に直面したユーザー企業が、クラウドへの関心を高めていることに言及。ビッグデータ市場のポテンシャルの大きさについて説いた。ビットアイルは同社のクラウドサービス「サーバオンデマンドNEXT」において、SIerや独立系ソフト開発ベンダー(ISV)をはじめとするビジネスパートナーとの協業推進を強調。レノボ・ジャパンは事業戦略を述べるとともにパートナーへの支援体制を明らかにしている。

<各企業のセッションの詳細レポート>
・NEC
・NTTコミュニケーションズ
・クオリティ
・ソフトバンクBB
・デル
・日本HP
・日本マイクロソフト
・ビットアイル
・レノボジャパン
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