Special Issue

普及期を迎えたクラウドサービス 販売体制の構築が急務

2011/12/01 19:56

週刊BCN 2011年11月28日vol.1409掲載

インストラクション
クラウド時代に求められるサービスを展開
クラウドとサポートサービスを繋げるHUB役“クラウドユースウェア”

 情報システムの活用を支援するユースウェア専門企業として設立されたインストラクション(神田祐治社長)。中堅・中小企業向けのサービス提供で培ってきた豊富なノウハウをもとに、企業が購入した基幹業務アプリケーションをデータセンターで安全に運用をサポートするサービス「セキュアキーバー4Gates」を早くから展開してきた。クラウド・コンピューティングの本格的な普及を受けて、自前のDC環境にとどまらず積極的に他DC事業者とのパートナーシップを拡大しサービスの需要拡大を図るとともにクラウドビジネスへ転換を図る全国の販売パートナーへの支援や基幹業務アプリケーションベンダーとのクラウドサポートのHUB役となりクラウドユースウェアと銘打ったクラウド時代に求められるラストワンマイルを担う新しいビジネスモデルに乗り出している。

基幹系業務アプリのアウトソーシングに強み

システム営業部
部長
佐野康典 氏
システム営業部特販課
次長
辻村大 氏
 インストラクションは、1990年、企業の情報システムの効率的な運用を目的にユースウェア専門企業として設立された。ネットワーク版の普及に伴い、ネットワーク構築や保守サポートサービスも事業領域として拡大。2008年9月には、DCの仮想サーバー環境に企業ごとの業務アプリケーションをセットアップして月額で提供するサービス「セキュアキーパー4Gates」の本格的な販売を開始した。

 「セキュアキーパー4Gates」は、企業のデータ保全や事業継続を主題に、業務に集中できる環境を提供することがコンセプト。基幹業務アプリケーションを専門に運用する「セキュアキーパーfor アプリ」を中心にサービスを構成しており、オービックビジネスコンサルタントや弥生などの基幹業務アプリケーションを運用している。初期セットアップから運用後のプログラム更新などの作業を代行することで企業はサーバー管理などの作業から解放される。また震災以降、BCPの観点からDC環境での基幹業務アプリケーションの運用をアウトソースする企業が増加しており堅調に利用企業が増えている。

 佐野康典・システム営業部部長は、「販売パートナーが業務アプリケーションソフトの販売時に『セキュアキーパー4Gates』を付加してサービス提供するため、販売パートナーはハードウェア以外の導入方法やBCP対策などを求められても、アプリケーションとサービスを組み合わせたクラウドサービスの提案ができ、導入後も手離れがよい」と話す。

クラウドユースウェアと銘打ったHUB役のビジネス

 こうした実績を踏まえて新たに推進しているのがクラウドユースウェアと銘打ったHUB役となる(中継点)新しいクラウドビジネスだ。クラウドユースウェアは基幹業務アプリケーションのアウトソーシングの強みを活かして、自社のDC環境で基幹業務アプリケーションの運用をビジネスに取り込みたいDC事業者との協業やクラウドビジネスへシフトする販売パートナー、基幹業務ソフトウェアベンダーとユーザーのラストワンマイルをサポートするHUB役となってクラウドビジネスを支援する。

 辻村大・システム営業部特販課次長は、「クラウドサービスはプラットフォームが多様化し、ユーザーにとってわかりづらいのが実情だ」と語る。一方で、「クラウドサービスを提供するDC事業者からは業務アプリケーションを自社のプラットフォーム上で提供したいがノウハウがないため運用保守をお願いできないかという問い合わせを受けることがある」(辻村次長)。そこで積極的にDC事業者との業務提携を図り、それぞれのプラットフォームの強みや特性を活かした基幹系業務アプリケーションの提供方法を共同でメニュー化。ユーザーは選択したプラットフォームでも基幹系業務アプリケーションの運用保守サービスを受けることができる。DC事業者は自社のキラーコンテンツとしてサービスメニューに組み込んで提供できるため基幹業務アプリケーションの運用メニューとして新しい利用シチュエーションを提案できる。

 また一方で、クラウド・コンピューティングをビジネスの主軸にしたいと考える全国の販売パートナーとは、クラウドサービスへの移行時に必要となるデータ移行サービスの支援や、販売パートナーの販売特性や提案先の企業にあったクラウドサービスの提供を行うHUB役となる。例えば基幹業務アプリケーションの販売パートナーの役割も担う会計事務所と顧問先との会計業務にクラウドサービスを提案し会計業務の効率化を実現。また、クラウドサービスの取り扱いを二義的に捉えていたハードウェアを主軸とする販売パートナーもユーザーのニーズはクラウドサービスが顧客のビジネスの在り方に本当に寄与できる提案を求めているとの見解から基幹系業務アプリケーションのクラウドホスティングサービスの提供で強みをもつインストラクションに更なる期待をする。


 辻村次長は、「当社は、ユーザーから見てあくまでも黒子の存在。パートナーであるDC事業者の基幹業務アプリケーションの運用サポートや販売パートナーへのクラウドサービスの提供、基幹業務アプリケーションベンダーのクラウド化支援などそれぞれのクラウドビジネスにおけるHUB役としてクラウドサービスをユーザーへ届けるためのラストワンマイルを支援する」と話す。佐野部長と辻村次長は、「ユーザーニーズに合うサービスを一緒につくろう」とDC事業者や全国の販売パートナー、基幹業務アプリケーションベンダーに呼びかける。インストラクションのクラウドビジネスにおけるHUB役“クラウドユースウェア”として新たな商機を呼び込むものとして期待がもてそうだ。

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外部リンク

インストラクション=http://www.inst.or.jp/