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<業務ソフトメーカー座談会>クラウド、モバイルで新機軸の事業モデルを 主導権争いに火花を散らす

2012/02/16 19:56

週刊BCN 2012年02月13日vol.1419掲載

 中堅・中小企業向け業務ソフトウェアを開発・販売する国内有力ベンダー5社の業績が好調だ。リーマン・ショックによって景気が落ち込みをみせるなか、各社は体制強化に努め、製品開発などの投資を惜しまなかった。こうした取り組みの成果がクラウド製品や業種特化型製品の拡充、モバイル製品のリリースに結実している。1月11日に開催したBCN主催の「業務ソフトメーカー座談会」で、各ベンダーは2012年以降の戦略を明らかにした。そのなかで明らかになったキーワードは、クラウド・コンピューティング/モバイル/業界・業種特化だ。各社とも“新しい弾”を売るためのパートナー戦略を強化し、拡販につなげていく構えを示している。


OSK
宇佐美愼治代表取締役社長/田中努代表取締役専務

応研
上野眞宏取締役/岸川剛取締役

オービックビジネスコンサルタント(OBC)
和田成史代表取締役社長/大原泉取締役

ピー・シー・エー(PCA)
水谷学代表取締役社長/折登泰樹専務取締役

弥生
岡本浩一郎代表取締役社長

司会・進行/谷畑良胤(本紙編集長)
構成/信澤健太


 ――今回お集まりの5社の皆様とは、2007年に座談会を開催いたしました(2007年05月21日付 Vol.1187 掲載)。まず、その当時を振り返り、5年ほど前から現在に至るまで、どのように事業を展開してこられたのかについてうかがえればと思います。

 上野(応研) 当社は、リーマン・ショックの影響で若干売り上げが下がった時期がありましたが、少しずつ持ち直して、感触としてはリーマン・ショック以前の水準にまで回復しています。ここ最近は販売管理システム「販売大臣」が好評で、全体の売り上げが伸びています。そうしたなかで、製品ラインアップを徐々に増やしているという状況です。

OSK 宇佐美愼治社長
「今は、とにかく製品のバリエーションを広げるのが課題。業種別では、生産管理に一番力を入れます」
 宇佐美(OSK) 2007年は、ちょうど製品リニューアルを始めた時期でした。新製品には、企業におけるコスト管理強化の動きに対応した機能を盛り込んできました。その翌年に起きたリーマン・ショックと時期が重なり、厳しくもありましたが、ここ2年でその影響を乗り越えたと感じています。また、2007年は、「SMILEシリーズ」のブランドを大塚商会から当社に移管して、当社が独り立ちしていこうとし始めた時期でもあります。私自身は2006年に社長に就任しましたが、実際には大塚商会と兼務でしたから2008年に独り立ちできました。実は2011年には、大塚商会からの出向社員をすべてを当社のプロパーにしました。さらに独り立ちを推進していこうと動いています。

 和田(OBC) 2008年にリーマン・ショックがあり、それまでに売れていたさまざまな製品のなかで、収益性が高く将来の売り上げも期待できるものにフォーカスしていくことにしました。また、「原点回帰」を2008年のメッセージとして打ち出し、組織変更に取り組んできました。当社にとって、かなり大きな転換期だったと思います。これによって、収益性は改善しましたし、インターネット時代に応じた戦略の3か年計画を遂行することができました。まず、2008年に中堅企業向けの「奉行V ERP」を、2009年には中小企業向けの「奉行iシリーズ」をリリースしました。キーワードは、「クラウドに向けたスタート」です。

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