Special Issue

<セキュリティソリューション特集>バリオセキュア・ネットワークス SMB向け次世代UTM「VCR」を発売 レイヤー8技術でユーザー認識

2013/02/21 19:55

週刊BCN 2013年02月18日vol.1469掲載

 1stホールディングスグループの子会社であるバリオセキュア・ネットワークスは、先進技術を備えた中堅・中小企業(SMB)向けの新UTM機器「VCR-Vario Communicate Router」を発売した。VCRは、通常のUTM技術に加え、レポート機能によるネットワーク利用の利用状況を可視化できるなど、ユーザーベースのセキュリティ対策が可能だ。企業活動の一環として従業員のSNS利用が増えているが、私的利用などと区別してユーザーを特定しアクセス制御などができるのも特徴だ。この“次世代UTM”とも呼べる機器を販売する狙いについて、飛世絵梨・オペレーション本部VCR事業グループリーダーに聞いた。

ユーザー名でネット利用を把握

オペレーション本部
VCR事業グループ リーダー 飛世絵梨 氏
 今回販売を開始したVCRは、インドのCyberoam Technologies(サイバーローム社)からOEM供給を受けて日本市場向けにローカライズ(日本語化)し、SMB向けUTM機器として日本市場に投入した。VCRは、アプリケーション・ユーザーベースのファイアウォールとUTMを組み合わせた製品で、独自のユーザーベースポリシーに基づき、きめ細かにインターネットセキュリティを提供する。UTMというだけあって、ファイアウォールに加え、VPN/SSL VPNやゲートウェイアンチウイルス・アンチスパム、IPS、コンテンツフィルタリング、帯域管理などの機能を搭載している。ただし、同社がVCRを「通常のUTMではない」(飛世リーダー)と位置づける理由は、ユーザーベースの管理機能を備えているからだ。具体的には「レイヤー8技術によるユーザーレベルのセキュリティ対策を施すことができて、誰が何をやっているか、ユーザーやグループレベルでのポリシー設定が可能なほか、動的IPに対応している」(同)という特徴があり、従来のUTMとコンセプトがまったく異なるという。

 同社では、「レイヤー8」を「ユーザー層」と定義している。従来のUTMは、通信プロトコルを七つのレイヤーで定義している。VCRは、この上に8層目の新たなレイヤーを設け、ユーザー識別や詳細な管理を実現するモデルだ。ユーザーまたはグループごとに異なるポリシーを割り当てることが可能な、ユーザーベースのポリシー制御機能を備えているのだ。


 従来のUTMやアプライアンスのネットワーク機器は、IPアドレスやMACアドレスで端末を制御する。だが、この方式では厳密なユーザー特定は難しい。飛世リーダーは「IPアドレスではなく、ユーザー名でネットワークの利用状況を確認できる。しかも、それぞれのセキュリティ機能に対し、ユーザー認識をすることができるので、ユーザー個人を特定したうえで、その職務や業務内容に応じた帯域の割り当てができ、業務の優先度に応じても利用権限を付与できる」という。高度なセキュリティレベルでネットワークを安心して利用できるようになり、ログ・レポート機能により1台の機器でネットワークの可視化を簡単に実現できるわけだ。

SNS利用のセキュリティも万全

 最近、仕事上でもFacebookなどを利用するビジネスパーソンが多くなった。Facebookを企業PRとして使うケースが増えているのだ。しかし、IT管理者にとってはセキュリティを保つという点で頭の痛い状況になっている。そんな中で、IT管理者は「ユーザーの役割に見合ったインターネットのアクセス権限を付与したい」と考えているはずだ。このような場合にVCRは、広報担当者だけに利用時間を制限してアクセス権限を与える、といった柔軟な対応ができる。飛世リーダーは「Wi-FiやDHCP環境では、IPアドレスが随時変更される可能性があるので、ユーザー名での管理が必須になる。仮に、ウイルス感染が発生した場合は、感染した端末を特定し、迅速にネットワーク上から切り分ける対策を講じることが可能だ」という。VCRは、これだけ先進技術を搭載しているにもかかわらず、「マニュアルを読まずにタッチ操作で設定ができる」(飛世リーダー)。SMBでも簡単に導入でき、販売会社にとっては“手離れ”のよい製品だ。機種は、個人や部署、拠点などの利用規模別に、「VCR25ia」「VCR35ia」の2モデルを用意。価格は、オープンだが初年度はライセンスを含んで30万円前後で提供し、次年度以降にライセンスを更新するだけで全機能を利用できるシンプルな価格体系だ。

VCR35ia

 すでに、ディストリビュータとの販売契約を締結しており、大塚商会、ソフトバンクBB、日本コムシスを経由した販売を開始した。

 調査会社の富士キメラ総研によれば、国内UTM市場は、2016年に約7万5000台になると予測されている。バリオセキュア・ネットワークスはVCRを携えて、2018年2月期までに国内シェア10%を目指す。市場拡大の一環として、2月28日から東京・渋谷のヒカリエホールで開催する「Security Days」のセッションで飛世リーダーが『標的型攻撃に対抗する企業の「出口対策」』と題して講演する。

 バリオセキュア・ネットワークスは、米国のコンピュータセキュリティ監査のICSAからFirewall認定を取得している国内唯一のメーカーとして、自社のセキュリティアプライアンス機器「VSR」や同機器を使用したマネージドセキュリティサービスを、主に通信キャリア向け提供してきた。だが、SMB向けのVCRやクラウドサービス「MotionBoard for Salesforce」の提供を開始するなど、新たなビジネス領域への挑戦を始めている。このため、3月1日付で、社名から「ネットワークス」を外し、「バリオセキュア」に社名変更する。
  • 1

関連記事

<セキュリティソリューション特集>2月は「情報セキュリティ月間」 セキュリティを拡販する絶好の機会

バリオセキュア、UTM機器の最上位モデルを2013年1月に発売

バリオセキュア、ウェブフィルタリングのマネージドサービスをフジクラに提供

バリオセキュア、大塚商会との協業でSMB市場のセキュリティ強化を支援

バリオセキュア、CyberoamのUTM機器でOEM契約を締結

外部リンク

バリオセキュア・ネットワークス=http://www.variosecure.net/