高速ネットワークの普及とスマートフォンの浸透、ウェブアプリケーションソフトの進化に伴い、クラウドを利用する環境が整備されてきた。2013年度も引き続き、クラウドはIT製品・サービスの主役になりそうだ。2013年度のクラウドビジネスの行方を、定量データをもとに分析する。

 クラウドは、主に「IaaS」「PaaS」「SaaS」に区分することができる。IaaSとは、ハードウェアの処理能力を提供するクラウドで、PaaSはハードに加えてミドルウェアの機能も含めたサービス。そして、SaaSがアプリケーションソフトの機能を提供するものを指す。

 これらのクラウドサービスを提供する相手が特定の限定されたユーザーの場合は「プライベートクラウド」、不特定多数のユーザーに提供するケースでは「パブリッククラウド」と区分される。

 現在のクラウドは、パブリッククラウドが中心だ。IT調査会社のIDC Japanが4月1日に発表した最新のパブリッククラウド市場調査レポートによると、2012年の市場規模は前年比44.8%増の933億円。今後も伸び続けて、17年には12年比3.4倍の3178億円に達すると予測した。この分野では、とくにコラボレーション(情報共有)やCRM、バックアップなどの機能をもつクラウドサービスが伸びると見込んでいる。

 IDC Japanは、クラウドを用いたIT導入を優先的に検討する「クラウドファースト」という現象がユーザー企業の間に起きているという。オンプレミス型システムではなく、新たなITソリューションを導入する際、まず最初にクラウドを検討するという考え方で、クラウドがユーザー企業の選択肢のなかで着実に重要度を増していることがわかる。

 「IaaS/PaaS/SaaS」の市場規模はどの程度なのか。ノークリサーチが2012年9月に発表したクラウド市場調査レポートによると、2013年の各クラウドの市場規模は、IaaSが163億7000万円、PaaSが166億8000万円、SaaSが792億9000万円。SaaSが突出して高いことがわかる。

 SaaSは、IaaSやPaaSに比べてクラウドの特別なスキルが不要で、SMB(中堅・中小企業)でも導入しやすい。クラウドのなかでもパブリッククラウド型のSaaSは、クラウドマーケットのなかで長期的に中心的な役割を果たす可能性が高い。