ITシステムのユーザー企業は、規模が大きくなるほど伝票・帳票機能を中心にスクラッチ開発するケースが多く、手間がかかるという課題を抱えている。応研が提供している基幹業務システム「大臣エンタープライズ」は、ビジネスの変化に対応する「柔軟性」、利用の「継続性」、業務プロセスに最適な「拡張性」という三つの優位性で、従来のシステム開発・運用でユーザー企業が悩んでいる課題を解決。カスタマイズが容易で、開発工数の削減による短納期を実現し、開発パートナーにとっても高収益を期待できる製品だ。

「柔軟性」「継続性」「拡張性」を実現　SMBのノウハウを中堅・大企業版に生かす

　基幹業務システム「大臣エンタープライズ」は、年商50億円以上の中堅・大企業向けのシリーズ最上位製品だ。入力画面を自由に設計でき、必要な部分だけをカスタマイズできる「柔軟性」、法改正によるプログラム修正に容易に対応し、導入後長く利用できる「継続性」、ユーザー企業それぞれの業務プロセスに適した仕組みを提供する「拡張性」を備える。末永徹・大臣エンタープライズプロジェクトチーフマネージャーは、「スクラッチ開発によってつくり込んだ基幹業務システムは、法改正や企業統合など、さまざまな変化への迅速な対応が難しい。規模が大きければ大きいユーザー企業ほど、こうした悩みを抱えている。大臣エンタープライズが、こうした課題を解決する」と胸を張る。

　応研は、SMB（中堅・中小企業）向けに、基幹業務システム「大臣NX」シリーズや、ERP「大臣ERP」シリーズなどを提供している。さまざまなユーザー層にパッケージを提供しているノウハウを生かし、従来はスクラッチ開発が必要だった機能をパッケージのなかに組み込んだ。さらに、大量データの高速処理や強固なセキュリティを実現し、中堅・大企業でも導入できる製品につくり上げた。

工数削減で開発パートナーを支援　SIビジネスに高収益モデルを提供

　大臣エンタープライズの「柔軟性」「継続性」「拡張性」は、具体的には開発パートナーが開発して、パッケージでユーザー企業に提供することになる。開発パートナーには、開発工数を削減するSDK（ソフトウェア開発キット）を提供。貞平康介・大臣エンタープライズプロジェクトマネージャーは、「SDKの『設計』メニューによって、販売パートナーは開発工数を削減しながら、ユーザー企業が求める機能を開発でき、しかも高収益のSIビジネスを手がけることができる」と説明する。

　プラグイン機能によってカスタマイズが必要な部分だけを開発して、差し込み・差し替えができる。また、画面にダイアログを表示したり、ファンクションボタンを追加したりすることができる。ユーザー企業の個別のロジックをプラグインするビジュアルアイテム機能によって、伝票入力画面を開発する必要がなくなり、開発工数を大幅に改善する。さらに、アドオンの開発を支援する機能も提供している。

　貞平マネージャーは、「多くの開発パートナーからSE（システムエンジニア）のリソースが足りず、多くの案件に対応できないという声が上がっていた。開発パートナーが短期間で開発できる環境を整えることが重要だと判断した」と、SDKの提供理由を説明する。

パートナーとともに市場を開拓　ビジネスマッチングの支援も

　ユーザー企業と開発パートナーの双方に高いメリットを提供する大臣エンタープライズ。末永チーフマネージャーは、その拡販策について、「開発パートナーとともに市場を開拓していく」と力強く語る。

　現在、大臣エンタープライズの販売パートナー制度「DEC（大臣エンタープライズ・コンサルティング・パートナー）」として17社を確保。ともに拡販するとともに、「DECとリセラー（販売パートナー）を結びつけるビジネスマッチングも実現したい」（末永チーフマネージャー）という。

　すでに引き合いは140～150件に上り、そのうち20社程度に納入している。スクラッチ開発からパッケージに移行しながらも、求める機能を自由に追加でき、開発工数の削減でSEのリソース不足を解決できる大臣エンタープライズは、ユーザー企業と開発パートナーの業務改革を実現する製品といえる。