Special Issue

デル わずか3時間ですぐに使えるハイブリッドクラウド「Dell Hybrid Cloud System for Microsoft」

2016/04/14 19:55

週刊BCN 2016年04月11日vol.1624掲載

 デルは2016年4月、クラウド基盤のアプライアンス製品「Dell Hybrid Cloud System for Microsoft(DHCS)」の日本での提供を開始した。DHCSは、プライベートクラウド基盤を提供するだけでなく、Microsoft Azureと組み合わせたハイブリッドクラウドの運用に対応し、統合的に管理できる点が大きな特徴だ。デルでは、ほかのスケールに対応するクラウド基盤ソリューションも用意しており、本製品が加わることで小規模から大規模まで広くカバーできるラインアップが揃うことになる。

ハイブリッドクラウドの導入・運用をトータルに支援するソリューション

 DHCSは、米デルが15年10月に開催した「Dell World」で発表したもので、今回、日本でも販売を開始することになった。デルのサーバー、ストレージ、ネットワークを一つのラックに統合し、Windows Server 2012 R2やMicrosoft Storage Spacesなどのクラウド基盤ソフトウェアや管理ツールを事前に搭載した状態で出荷されるアプライアンス製品で、設置後わずか3時間※1ほどでクラウド基盤の構築が完了できるという。オプションとして、デルファイナンシャルサービス※2を活用することで投資リスクを軽減し、運用最適化を実現できる。また、Azure Back Up やAzure Site Recoveryを組み合わせることで、Microsoft Azureをデータのバックアップ先や災害復旧対策のレプリケーション先として活用することができる。

 デルでは現在、「Dell Blueprint」と呼ばれるソリューション戦略を掲げており、そこでは仮想化・クラウド、VDI、ビッグデータをはじめとする六つの注力分野において、アプライアンスとしてソリューションを提供する「エンジニアソリューション」と、デルによって検証済みのインフラ構成をドキュメント化してサービスとして提供する「リファレンスアーキテクチャ」の二つのかたちでソリューションを展開している。今回のDHCSは、同戦略の対象分野の一つであるクラウドにおける取り組みの一貫だ。

 DHCSは、デルとマイクロソフトとの共同エンジニアリングによって開発された。ソフトウェアやファームウェアのアップデートも共同で検証したうえで提供され、無停止で適用されるという。デルにとっては、マイクロソフトとの密な関係も競合に対する優位点となっている。

 「今、企業の多くはクラウドの必要性を認識しているものの、実体としては、ガバナンスが行き届かなくなるのではという懸念やセキュリティの懸念から導入への課題を感じているケースがまだまだ多い。またクラウドそのものだけでなく、ハイブリッドクラウドとなるとさらにリスクを伴うという意識もまだ根強い。今回のDHCSは、そのようなリスクを解消しながら最適なソリューションを提案していく」と、増月孝信・エンタープライズ・ソリューション事業本部エンタープライズ・ソリューション&アライアンス部クラウドビジネス推進マネージャーは説明する。

多彩な購入プログラムで導入障壁を引き下げる

 DHCSの導入費用に対するオプションとして、導入時の支払いではなくサービスインと同時に開始する「プロビジョン&ペイ」、ユーザー企業の成長プランに合わせて支払いの条件を設定可能な「ペイ・アズ・ユー・グロウ」がデルファイナンシャルサービス※2で用意されている。パブリッククラウドの利用と似た感覚でシステム予算を手配すればすむ仕組みだ。

増月孝信
エンタープライズ・ソリューション事業本部
エンタープライズ・ソリューション&
アライアンス部
クラウドビジネス推進マネージャー


 「パブリッククラウドを使い続ければ、ずっと利用料金が発生する。その負担軽減の目的もあって、ハイブリッドクラウドが注目されている。当社でもパブリッククラウドのユーザー企業からコスト削減の相談を頻繁に受けている」と増月マネージャーは話す。

 一方、プライベートクラウド部分の構築には工期やコストの懸念もある。そのためのアプライアンスがDHCSで、増月マネージャーによればSIerにとっても有利に使える製品だという。

 「例えばMicrosoft Azureへバックアップするといったハイブリッドクラウドの運用スタイルの提案、また移行作業などで、SIの付加価値を出すことができる。これらの付加価値により、SIのビジネス拡大が期待できるはずだ」と増月マネージャーはアピールする。

※1 表示時間は同社にて検証した結果
※2 デルファイナンシャルサービスの利用は別途審査が必要


「Tシャツモデル」と呼ばれるS/M/Lの3段階のサイズ設定。
Tシャツのように、ユーザー企業が自社の規模に合わせて手軽に選んで迅速に導入が可能


Dell Hybrid Cloud System for Microsoft

「Dell Hybrid Cloud System for Microsoft」は42Uラックにすべてのハードウェア・ソフトウェアを搭載した状態で出荷される。デルとマイクロソフトのアライアンスでは、この製品を含むさまざまなスケールのクラウド基盤ソリューションが用意されており、より小規模なプライベートクラウド向けにはコンパクトデータセンターと呼ばれるDell PowerEdge VRTXをベースとしたアプライアンス「Microsoft Hyper-V on VRTX」が対応する。

BCN Bizline 読者アンケート
『デル Hybrid Cloud System』に関するアンケート
http://www.seminar-reg.jp/bcn/survey_dell_cloud0518/
  • 1

関連記事

デル 新しいパートナービジネスのかたちを明らかに メディアマートとの協業で新モデルの具体例を示す

デルとメディアマート、「IBM SPSS Statistics」の実装・検証済みハードウェア販売で協業、パートナービジネスの新たなモデルに

デル 大手ディストリビュータとの蜜月 加速するパートナービジネス

外部リンク

デル=http://www.dell.co.jp/HybridCloud