デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けて、企業はクラウドシフトを進めている。だが、クラウドを含むさまざまな環境で稼働できる高い可用性を持つアプリケーション開発のノウハウはまだまだ不足している。そうした中で注目されているのが「Red Hat OpenShift」だ。その魅力とビジネス展開について、レッドハットの藤村聡・シニアビジネスデベロップメントマネージャーと、販売パートナーであるSB C&Sの加藤学・テクニカルフェローに対談で語ってもらった。

ハイブリッドでサイロ化した
システム環境の差異を解消する

加藤(SB C&S) 「Red Hat Enterprise Linux(RHEL、レル)」のイメージが強いレッドハットですが、今はそれ以外のビジネスがかなり拡大しているようですね。
 
SB C&S
ICT事業本部 MD本部
技術統括部
テクニカルマーケティングセンター
テクニカルフェロー
加藤 学氏

藤村(レッドハット) 現在まで67四半期連続で成長を続けています。今はRHELとOpenShiftなどの新興製品の売上比率を2020年までに5:5まで引き上げるという目標を掲げています。

加藤 その目標に向けた戦略を打ち出されています。

藤村 はい。オープンで柔軟なデジタルプラットフォームのあるべき形として「オープンハイブリッドクラウド戦略」を掲げています。これは物理と仮想、パブリックとプライベートのクラウド、オンプレミスの環境差異を抽象化し、自在に活用できるシステムを実現するものです。背景には、さまざまなハイブリッド環境が構築されている一方で、環境の違いから開発、運用管理の面でサイロ化している状況があります。

加藤 システムの違いによるサイロ化を解消して、環境の差異を埋める仕組みが重要になるということですね。そのための具体的なソリューションが、当社も一緒になって販売を進めているRed Hat OpenShiftになると。

藤村 その通りです。あくまでDXアプローチの一例ですが、まずは最初のステップで自動化やクラウドシフトによる既存の運用保守コストの最適化を行い、その上でインテグレーションやモダナイゼーションといったDXへの本丸に取り組むアプローチがあります。

加藤 レッドハットさんと当社は08年からRHELの販売で協業してきました。そのパートナーシップにプラスアルファーして昨年6月に扱い始めたRed Hat OpenShiftで、企業のDXを加速させていきたいと考えています。
 
 

「2025年の崖」を回避し
競争力を高める手段になる

藤村 Red Hat OpenShiftは、コンテナ、Docker、Kubernetesを統合化したエンタープライズ向けコンテナ・アプリケーション・プラットフォームです。ここにレッドハットのサポートが付きます。開発者はコードを書いてソースコードレポジトリに登録するだけで、自動的にDockerイメージ化して、その配布、実行、運用までが行えます。
 
レッドハット
プロダクトソリューション本部
ミドルウェア
シニアビジネスデベロップメント
マネージャー
藤村 聡氏

加藤 管理画面やその裏で自動的に動く仕組みを備えるなど、運用管理者が使いやすいものであり、エンタープライズユーザーに必須の機能が広く網羅されています。

藤村 ディストリビューターの視点から、当社とRed Hat OpenShiftの魅力を、どう感じられていますか。

加藤 まず、営業の方がとても優秀です。製品だけでなくDXの道筋をしっかり語れるなど、ユーザーニーズを的確に捉えています。DXに向けたコンテナ活用はかなりハードルの高いものですが、製品の導入フェーズで高レベルのコンサルティングサービスを提供してくれるので、とても心強いですね。

 また、RHELで培ってきた国内サポートをOpenShiftについても確実に提供してもらえる点も大きいです。ユーザーも安心して採用することができると思いますし、実際に大手の採用例も出ています。

藤村 海外では金融を中心に、さまざまな業種に拡大しています。一つ興味深い話では、経済産業省が昨年9月に発表した「DXレポート」で、“2025年の崖”という言葉がありました。レガシーシステムを放置したらデジタル時代の波に乗り遅れ、25年には多くの企業がDXどころではなくなり、12兆円の国内経済の損失が発生するというものです。それを回避する方策の一つとして、自社によるソフトウェア力の強化、運用管理力を持つ必要性を説いています。ディベロッパー不足の中で、「SoE(Systems of Engagement)」と「SoR(Systems of Record)」の双方に対応できるOpenShiftは、その大きなサポートができると考えています。

加藤 われわれもパートナーの方々がエンドユーザーに適切な提案ができるよう、各種トレーニングをはじめ、パートナーイネーブルメント活動に注力しています。国内では、金融、テレコムのほか、法改正に伴う自由化に絡んだ分野で迅速にアプリを開発したいというユーザーの採用が目立ちます。そうした分野は、開発後も市場のフィードバックを受けて常に改良が必要になるので、コンテナ技術が不可欠です。

 今年はコンテナ元年ですが、当社は3~5年のスパンで捉え、しっかりビジネスを加速していきたいと考えています。また、コンテナに特化したセキュリティー製品などを絡めて、DXの基盤となるソリューションの販売をSIerの方々と一緒になって進めていきます。