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ヨコタエンタープライズ 2025年4月にヨコタサイバーセキュリティ研究所を新設 製造・物流事業のバックグラウンドがITエンジニアリング事業に新風をもたらす
2025/06/12 09:00
週刊BCN 2025年06月09日vol.2062掲載
ITエンジニアリング事業に注力 物流、製造アウトソーシングと並ぶ第3の柱に
ヨコタエンタープライズは、2006年に一般貨物自動車運送業、2010年にアウトソーシング事業を立ち上げ、2020年にはシステム開発室を開設してITエンジニアリング事業に乗り出した。これら三つの事業を柱に「製造業をトータルにサポートする複合企業」として、サプライチェーンのあらゆる課題の解決を図っていく方針だ。グループ会社には一級建築士事務所を設け、製造業や物流業を幅広く支援することが可能な体制を確立した。
「2001年に始めた物流の派遣請負事業が現在の事業の源流にある。最初はトラックドライバーの派遣で、自社でトラックを保有し物流事業者となった。営業活動を行う中で製造業の現場における人材不足をよく耳にするようになり、製造アウトソーシング事業に乗り出すことにした。ITエンジニアリング事業も、同じく顧客企業の困りごとの解決に向けてスタートした」と、創業者でもある横田代表取締役は説明する。

充実した従業員スキルアップ環境でエンジニアへの成長を支援
ITエンジニアリング事業における取り組みとして、社内教育制度「ヨコタアカデミー」が挙げられる。製造や物流の現場経験を持つ社員にITスキルを身に付けてもらい、ITに詳しい現場技術者やITエンジニアなどへの成長を促すのが目的だ。「ヨコタアカデミーを通じて一人一人がチャレンジ精神を持ち、前向きに自分自身をアップデートしていけるようにする。それこそが個々人の、そしてヨコタエンタープライズの差別化につながる」と横田代表取締役は見通す。
その一方で、同社はIT分野の実務経験、実績を持つ人材も積極的に採用し、ITエンジニアの中途採用のみならず、幹部級の人材も取り入れている。ITエンジニアリング事業を担当する久保理事もその一人だ。久保理事は著名なIT企業をいくつも渡り歩き、エンタープライズIT、とりわけセキュリティ関連で豊富な経験と実績を持つ。
「大学でITを学んでエンジニアになれる知識を持つ若者たちが、その専門性を十分に発揮できていないケースは多い。彼らがエンジニアへの道に進む機会を増やせば、それが日本の労働生産性の向上につながるはず、との考えから当社へのジョインを決めた。製造や物流の業界はIT人材が乏しく、とりわけ現場を知るITエンジニアは非常に貴重な存在だ」(久保理事)。
サプライチェーンのセキュリティを重視 サイバーセキュリティ研究所、所長に楢原氏
製造業界でもサイバー攻撃の脅威が高まる中、例えば自動車業界ではサプライチェーンへのリスクを低減すべく、日本自動車工業会・日本自動車部品工業会によるセキュリティガイドライン策定・改訂が進められている。「規模が大きな企業なら自社の人材で脅威に対応していけるが、自動車業界は裾野が広く、自社リソースでは不安のある企業は少なくない。そういった企業に、セキュリティでも安心していただけるよう支援していく」と久保理事は強調する。
2025年4月には、ヨコタサイバーセキュリティ研究所を新設し、所長としてサイバーセキュリティを専門に取り組んできた楢原盛史氏を招聘した。同氏はIT業界での豊富な経験を持ち、現在はタニウムでチーフ・IT・アーキテクトを務めている。今後はヨコタサイバーセキュリティ研究所所長を兼務し、その体制を確立していくという。
「派遣先でのインシデントについては、派遣エンジニア単独の判断では顧客に言い出しにくい場面もあるだろう。そこにサイバーセキュリティ研究所が助言するなどしてエンジニアをバックアップし、状況によっては派遣業務の範囲を超えた対応も可能になる」(久保理事)。横田代表取締役も「運送業はレッドオーシャンであり、そこで培ったチャレンジ精神はIT分野においても生きると考えている。これからも、製造業サプライチェーンの課題解決に寄与していきたい」と語る。

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