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シュナイダーエレクトリック AI時代のITインフラをエッジからDCまでワンストップで最適化 高密度・高発熱に対応する「電力効率」「冷却」ソリューションが充実

2025/11/06 09:00

週刊BCN 2025年11月03日vol.2081掲載

 AIワークロードの急増により、サーバーの消費電力・発熱・重量が従来比で大幅に増加。データセンター(DC)やエッジ拠点のITインフラは今、抜本的な見直しが求められている。シュナイダーエレクトリックは、UPSやPDU、冷却、監視、運用ソフトウェアまでを網羅する“Grid to Chip”の総合ソリューションで、AI時代の高負荷環境に対応。パートナー営業本部の澤田国治・本部長に、同社の次世代インフラ戦略を聞いた。

AI時代のITインフラ課題「電力効率」と「冷却」への対応

 AIの急速な普及により、大規模DCだけでなく、オンプレミスやエッジ環境でもGPU搭載のAIワークロード向けサーバーの導入が加速している。自社の管理下でサーバーを運用することは低遅延、セキュリティ、コスト最適化などにおいて利点がある一方、昨今のAI対応サーバーは高密度化・高発熱化が進み、筐体の重量も増加している。そのため耐荷重・耐震性に加え、高電力密度と発熱に対応できる冷却装置を備えた設備が欠かせない。サステナビリティの観点でも、冷却効率の向上と電力ロスの削減は喫緊の課題となっている。
 
澤田国治 本部長

 澤田本部長は「シュナイダーではAIを活用して電力の無駄をなくし、冷却の効率化を行うことで、エネルギーの増大と冷却能力のバランスを両立します」とする。コンピューター処理インフラの性能強化と並行して、2026年から2030年までに約17%の電力消費が削減できると考えている。

 AIのワークロードは予測が難しい。ユースケースにもよるが、ユーザーのアクセスが突発的であるだけではなく、推論に使うAIモデルによって負荷にも変動がある。だからこそ、AI向けサーバーにはインフラ設計の柔軟さが求められる。従来のようにラック単位で設計する手法では、柔軟性に欠け、AI時代のニーズに対応しきれなくなっている。

Grid to Chip、Chip to Chiller AIに必要なインフラ環境をワンストップで

 シュナイダーエレクトリックは、AI活用に必要なITインフラ製品を、1社で包括的に提供できるのが強みだ。澤田本部長は「電力網(グリッド)からチップへの電力供給経路(Grid to Chip )、チップから冷却・廃熱装置への排熱経路( Chip to Chiller )に加え、ラック環境や物理セキュリティ監視を含め、あらゆる機器を一元管理できる「DCIM」ソフトウェアなど、ITインフラ全体をワンストップで提供できるのが強み」と話す。また、電源システムの設計と運用を行う「ETAP」を活用したデジタルツインと、米NVIDIAの「NVIDIA Omniverse」を活用することで電力フローをシミュレーションすることが可能で、導入の迅速化やリスクの軽減、パフォーマンスの最適化を支援する。

 AI活用を想定した「AI-ready」のオンプレミス向けソリューションの中から、主要なものをいくつかピックアップしよう。リチウムイオンバッテリー採用の無停電電源装置「Smart-UPS Modular Ultra」は、長寿命化と効率化によりTCO削減が期待できる。従来比で30%小型化、50%以上軽量化しており、モジュラー型なので段階的に容量を増やす柔軟性も備えている。ラック間に設置する空調システム「Uniflair InRow Cooling」は水冷と冷媒に対応、発熱源に近い場所に設置できるため冷却効率が高い。

 そして統合監視ソリューション「NetBotz Security & Monitoring」は、環境監視と物理セキュリティ監視を実現し、「EcoStruxure IT Expert」と連携したリモート監視を可能にする。また、「EcoStruxure IT Advisor」は、インフラの一元的資産管理とシミュレーションを行う。これらのソフトウェアはDCIM(データセンターインフラ管理)の統合プラットフォームとして活用できる。このDCIMにより、電力、冷却、環境センサー、UPSなどを統合監視し、リアルタイムのアラート通知、レポート作成、シミュレーション、資産管理などが可能となる。

 さらに同社ならではの優位性となるのが25年9月に公開されたリファレンスデザインだ。米NVIDIAとの協業によるもので、AIの高密度要件に対応する、インフラの迅速な設計・導入の支援を行う。

AI対応ITインフラ向けに「NetShelter SX Seismic」
「NetShelter Rack PDU Advanced」2製品をリリースへ

 シュナイダーエレクトリックが、今後拡張予定のAIインフラ向け注目製品には、耐震性能を強化した「NetShelter SX Seismic」がある。静止荷重2160kgで、高密度なGPUサーバーやUPSでも安心して搭載できる。前後ドアの開口率75%で、高発熱環境にも対応しており、サイズバリエーションはさらに拡充していく予定だ。
 
リモートから監視・制御が可能な「NetShelter Rack PDU Advanced」(写真左)と
耐震性能を強化し高密度なGPUサーバーやUPSを搭載可能な「NetShelter SX Seismic」

 もう一つ、ラックマウント型の電源分配装置「NetShelter Rack PDU Advanced」は、4-in-1アウトレット構造で、多様な電源ソケットに対応し、リモート監視や制御に対応したインテリジェント機能を搭載している。

 澤田本部長は「AI活用が加速する中、私たちはパートナーの方々の新しいAI時代のITインフラを築くためのエコシステムを一緒につくっていけたらと考えています。来年以降、パートナー様向け支援策の拡充に向けて準備を進めています。どうぞご期待ください」と話した。
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外部リンク

シュナイダーエレクトリック=https://www.se.com/jp/ja/