東名阪の中堅企業をターゲットに、SI事業を手がけるNECネクサソリューションズ。そのトップに、執行役員専務から昇格した鈴木良隆氏が就任した。自社の人材パワーに自信を示し、「中堅企業を対象としたSIerとして、リーディングカンパニーになることができる」と断言する。営業畑を長く歩んできた鈴木社長は、自身の経験を生かして営業部門の改革を進め、SEの仕事内容も見直すなど、目標の達成に向けて精力的に動いている。
東名阪の中堅企業向け事業に特化
──NECネクサソリューションズは、NECの方針で、2009年10月からは東京・大阪・名古屋地域にある中堅規模のユーザー企業向けSI事業に特化しています。以来、2年が経ちますが、ビジネスを展開しやすくなりましたか。 鈴木 非常にやりやすいです。改めて説明しておくと、NECグループは中堅・中小企業(SMB)を年商規模別に三つに分けています。100億円未満が中小企業、100億円以上500億円未満が中堅、500億円以上1000億円未満が準大手です。NECは、この中小から準大手までをSMBと定めました。このなかで、NECネクサソリューションズの担当は、東名阪地域とその近郊エリアにある中堅企業。ターゲットが明確で、対象のお客様にどうやって認めていただくかに集中することができますから、動きやすいです。
──営業対象を限定すれば、商談の機会は減るはずです。以前のNECネクサソリューションズの営業エリアは全国にまたがっていて、年商規模も問いませんでした。その頃のほうが売り上げの規模は大きかったですよね。NECが打ち出した戦略が御社のビジネスにとってマイナスに作用することはないのですか。 鈴木 中堅企業には、中小や準大手、大手の企業とは異なるニーズがあります。準大手や大手よりもIT部門のスタッフは少なく、ITスキルも乏しい場合が多い。ITベンダーに求めるシステムの内容や規模も違います。中小にも大手にもない独特の層なのです。この中堅企業の要望にきちんと応えるためには、中堅専門のSI会社が必要です。
それに、NECグループとしての成長を考えているので、私たちだけのビジネスがうまくいけばいいわけではありませんから。
──前社長の森川(年一)さんが定めた方針を変えるつもりはないとうかがっていますが、社長に就いた時、トップとして、従業員のみなさんにどのようなメッセージを伝えましたか。 鈴木 社長に就いてからはまだ3か月ほどですが、この会社に移ってから数えれば、もう1年以上が経ちます。森川さんとは一緒にやってきましたから、方針や目標を変えるつもりはありません。スタッフのみんなには「中堅企業向けSI事業のリーディングカンパニーになろう」と改めて伝えました。およそ1年間みてきて、NECネクサソリューションズには、その力があると確信しています。
──そこまで自信たっぷりな理由を聞かせてください。 鈴木 何といっても人材です。私たちは総勢2400人で、内訳をみると営業担当者が600人、SEが850人、ネットワーク技術者が150人、ITサービスを提供するスタッフが500人、残りが管理系。私たちのようなさまざまな技術者がいるSIerは、そうそうないでしょう。お客様の要望に応えられるバラエティに富んだスタッフが揃っている。とくに、お客様に密接にかかわり、本音をきちんと聞くことができるITサービス系のスタッフを500人抱えていることは、大きな強みです。
[次のページ]