内田洋行(柏原孝社長)の情報システム事業部が、成長鈍化の壁に突き当たっている。民需の冷え込みや、クラウド/SaaSなどサービス型ビジネスへの移行が急ピッチで進むなかで、基幹業務システムに強い内田洋行の強みを十分に発揮しにくい状況が続く。今年度(2010年7月期)からの3か年経営計画では、情報システム事業部単体で年平均7%成長という強気の目標を掲げるものの、達成には、商材の見直しやグループ販売体制の強化が不可欠。大幅な事業改革を推進することで、成長を取り戻す。

改革推進が不可欠

 内田洋行の情報システム事業は、独自開発のERP「スーパーカクテルシリーズ」を軸とした基幹業務システムに強いという特徴がある。基幹系システム分野の得意業種は食品業や住宅設備機器卸、包装資材卸などで、リーマン・ショック以降、IT投資が大きく落ち込んだ製造系の比率が少ない。こうしたことから、昨年度(09年7月期)の情報システム事業は増益を確保。公共分野での受注も底堅く、不況の影響を最小限にとどめた。

江口英則 執行役員 情報システム事業部長

 しかし、課題は「トップラインをどう伸ばすのか」(江口英則・執行役員情報システム事業部長)にある。昨年度の情報システム事業の連結売上高は、前年度比4.3%減の436億円と落ち込んだ。増益ではあったが、「売り上げを伸ばす仕掛けが足りない」と危機感を強める。既存の基幹業務システムや注力業種での業績は維持しつつも、今期からの3か年経営計画では、クラウド/SaaSなどのサービスビジネスの開発や、グループ販社の体制、商材の見直しを精力的に推進する方針を示す。

 全社でみると、不況の影響を大きく受けたオフィス家具事業の不振が目立つ。ただ、オフィス環境と情報システムを融合した“ユビキタス・プレイス”の構築は、内田洋行の強みの一つ。基幹系システムに加えて、ここをどう伸ばすかが、情報システム事業の業績を大きく左右する。例えば、インターネットを活用したテレビ電話会議システムなどのユニファイド・コミュニケーション。「普通のSIerでは、そうそう真似できない」と、差異化が可能な領域と考える。

 情報システム事業部単体では、向こう3か年平均で7%の売上増を掲げるものの、民需が冷え込む環境では容易ではない。直系のシステム販社8社のなかには、とくに中小企業向けのビジネスで苦戦する場面もみられる。中小企業向けの“新たな成長エンジン”の創出など、グループの力を結集した改革が求められそうだ。(安藤章司)