【中国・海南島三亜発】米シマンテック(エンリケ・セーラム社長兼CEO)のパートナー向けイベント「SYMANTEC PARTNER ENGAGE 2010」が、4月26日、中国海南省のザ・リッツ・カールトン三亜で開幕した。4月28日までの日程で行われる。

 アジア・パシフィック・日本(APJ)で開催するのは今回が初めてで、イベントには20か国からパートナー150社が参加。会期中に行うセッションで、シマンテックのグローバル戦略やパートナー施策のアップデートなどを発表する。

 APJ地域は、現在、シマンテックのグローバル売上高の15%を占め、2010年度の第三四半期には約11%の伸びを示しているという。セーラムCEOは報道関係者向けに会見を開き、市場動向とビジネスチャンス、パートナーとの関係について説明した。一問一答は下記の通り。

 ──ストレージとセキュリティの真の融合を目指すということだが、その進捗はどうか。

 セーラムCEO
 ベリタス・ソフトウェアを2005年に買収した。「Data Insight」ではべリタスのファイルシステムの知識を使って、誰が作成したのか、それを誰が修正して、その情報を誰が共有したのかということを、すべてわかるようにした。

エンリケ・セーラム社長兼CEO

 DLP(情報漏洩防止ソリューション)と「Data Insight」との違いは、DLPはあらかじめあるコンテンツの中身から情報の重要性を判断して漏洩を防ぐ考え方だ。例えばUSBデバイスでラップトップにログインして、情報をコピーしようとすると、コンテンツと社員データを照合し、判別してブロックする。一方、Data Insightは、単にコンテンツだけをみるのではなく、ファイルシステムとセキュリティの知識を統合して、データ作成時から、誰が作って所有しているのか、すなわち所有権をみて、財務データや知的財産を守っていこうという試みだ。

 ──マーケットのチャンスをどうみるか。

 セーラムCEO
 スマートモバイルデバイスの数は急速に伸びていて、10億台のスマートフォンがインターネットに接続している。ビジネス利用のスマートフォンには、モバイルPCと同じ情報が入っている。小型のデバイスは、空港などで、ふとした拍子に置き忘れてしまうこともある。そんなときには、すべての情報を消失させる技術も必要だ。新しい問題が生まれれば、そこに新しいビジネスチャンスが生まれる。時間の経過とともに、より多くのチャンスをモバイルデバイスに提供できる。さまざまなプロバイダで、さまざまなモバイルデバイスに対して、さまざまなモバイルOSを搭載して提供しているとなると、管理する際には、多くのプラットフォームに対応しなければならない。

 ──今回の「SYMANTEC PARTNER ENGAGE 2010」には、どんなパートナーが集まったのか。

 セーラムCEO
 当社の事業セグメントである「セキュリティ」「ストレージ」「システムマネジメント」に関して高いスキルをもつパートナーと、われわれと一緒に投資を行って成功を収めているパートナーが参加している。今回は150社だが、実際にはその2倍、3倍、来ていただきたいパートナーがいる。

 ──SMB市場を、どのように分析しているのか。

 セーラムCEO
 中小企業に対しては「Symantec Endpoint Protection Small Business Edition」というスイート製品を提供している。SMBには、ITの専門知識をもつ管理者がいないので、当社から操作や管理が容易な製品を提供することが、SMBのプラスになると考えている。また、SaaSも注目していく。当社としては、顧客の3分の1が消費者、3分の1が中小企業、3分の1が大企業という比率が望ましい。

 ──SaaSの提供にあたって、パートナー支援プログラムは提供するのか。

 セーラムCEO
 パートナーには、継続的にスキルを高めてもらわなければならない。SaaSには、新しいスキルが必要になる。われわれは、1500以上のパートナーに対してSaaS製品の支援プログラムを提供する。技術だけでなく、パートナーが成功するために必要なさまざまなプログラムを用意している。

 ──先日、戦略パートナーとして、富士通と合意に達した。今後の取り組みは。

  セーラムCEO
 富士通は、世界でビジネスを行っている。日本やヨーロッパ、オーストラリアなど、単一市場を目指しているわけではない。ハードウェアのエキスパートとして一流のハードウェアを提供してきた富士通と、ソフトウェアを開発している当社は、いい組み合わせだと思っている。最近発表した製品としては、ファイルシステム「FileStore」がある。非常に拡張性の高いファイルシステムを、非常に安価に提供できる点がメリットだ。次世代のストレージとして、チャンスを模索し、お互いの長所を生かせるような組み合わせにしたい。富士通には、SIerとしてのインテグレーション技術、サービス提供スキルもあるので、それらもあわせて市場にアプローチする。

 ──クラウドでのセキュリティリスクについて、どう考えるのか。また、シマンテックは中国で通信機器メーカー「華為(ファーウェイ)」とのジョイントベンチャーを設立したが、その点についても聞きたい。

 セーラムCEO
 クラウドのセキュリティでの大きな懸念は、パブリッククラウドになると、自分の情報が必ずしも特定のデータセンターにあるわけではなく、別のデータセンターにいってしまう可能性があることだ。セキュリティや、アベイラビリティ(可用性)の問題、データの要求からレスポンスまでの遅延の問題、システムへのアクセシビリティ、オンプレミスと同一のポリシーを適用できるかというガバナンス、コンプライアンスの問題など、自分のデータに対する制御ができないというリスクがある。

 そこで当社では、クラウドサービス事業者に、情報が保護されていることを可視化するツールを提供する。これによってサービス事業者は、エンドユーザーに対してSLA(サービスレベルアグリーメント)を提供できるようになる。実際、Amazon.comでは、「EC2」プラットフォームのサーバーに対して、セキュリティとバックアップの機能を提供した。

 華為は、中国の電気通信分野で活躍している非常に素晴らしい企業だ。ジョイントベンチャーの製品は、とくにテレコム、エンタープライズ向けに提供する。非常に伸びているし、今後も期待している。テレコム、エンタープライズのグローバル市場をみると、成長のチャンスは大きい。製品も、今後たくさん出す予定だ。(鍋島蓉子)