デジタルアーツ(道具登志夫社長)は、5月20日、年次のパートナーイベント「デジタルアーツビジネスパートナー総会 2011」を東京で開催し、「攻め」をテーマとする今年度の戦略を発表した。

 道具社長は冒頭の挨拶で「今期は減益の計画だが、この減益分を製品と業界発展に投資する。パートナーからフィルタリング市場、デジタルアーツが成長したといってもらえるようにまい進したい」と話した。攻めの手段として、長野県下で消費者向けウェブフィルタリング製品「i-フィルター」のCMを開始。ウェブサイトのリニューアルや、家電量販店に専門コーナーを設けて認知を図った。今年度は、CM放映地域を中部・関西・九州・関東に順次広げていくことで拡大を目指す。

道具登志夫社長

 4月1日には、米・英に海外拠点を設置。国内顧客が海外に進出する際、「日本だけでなく海外でも製品を使いたい」という要望があることから、現地顧客のサポート体制を構築する。英法人ではデンマーク人やスペイン人、インド人、イタリア人など各国出身のスタッフを雇用。6月からフィルタリングデータベースの収集を開始し、製品販売の体制を整備する。

 道具社長に続き、営業部の今井賢司部長が「今年度の目標と営業戦略について」と題して、昨年度の実績と今年の重点施策を話した。デジタルアーツは、08年のリーマンショック以降も順調に業容を拡大し、2010年度(2011年3月期)は売上高23億800万円を達成した。

 今年度はエリア重点施策に取り組み、全支店で案件創出のフォローを強化する。昨年度、全国を網羅するフォローアップができなかったことから、今年度は都道府県ごとの担当を置き、文教・公共を中心に、エンドユーザー・パートナーに対してローラー作戦を展開する。

 また、ターゲットを明確にして、競合メーカーからの乗換えを促すキャンペーンなどを展開。パートナープログラムへの参加パートナーを、438社から500社に引き上げる。

営業部の今井賢司部長

 文教市場では、3年以上の長期ライセンスを購入に加え、一定額を支払うと3年間のライセンス追加を無償にする新しいライセンスモデル「A.L.A(Additional License Assurance)」を開始。従来、文教市場ではユーザーが追加ライセンスの購入予算が取れないケースが発生していたが、それを解消して追加手続きを簡略化する。適用は今年の夏商戦を予定している。今井部長は「今年度は法人向けだけで前年度比15%増の25億円を目標にする」と意気込む。

 また、今年度は主要製品のメジャーバージョンアップと機能強化に力を入れる。高橋則行取締役COO兼開発部部長が、「デジタルアーツ製品戦略と2011年度ロードマップについて」をテーマに発表した。

 6月30日に「m-FILTER Ver.3.0」を、8月8日には「i-FILTER Ver.8.0」を発売する予定。12月14日には、昨年末に同社初のハードウェア製品として提供を開始したセキュアプロキシアプライアンス「D-SPA」の機能強化を行う。

 「m-FILTER」は、ユーザー個人によるメール管理機能を強化。社員が自分のメールボックスを見るようにメールを検索し、取り出せるようにした。また、誤送信対策を強化して、メールの時間差配送を実現した。「いったん保留して、10分後に流すことができる。送り先を間違えて送信ボタンを押しても、すぐに止められる。また、社内宛てメールは即時配信、外部宛てメールは一定時間止めておく設定もできる」(高橋取締役)。さらに、LDAP認証、セキュリティなどの機能を強化した。現在、海外展開での外国語対応に取り組んでいるという。

高橋則行取締役COO兼開発部部長

 「i-FILTER Ver.8.0」は、64bit、IPv6変換に対応。危険度の高いウェブサイトをフィルタリングする新機能を搭載する。新バージョンでは、「ACL(Access Control List)」を自由に組み替えることができるようにした。これによって、従来はできなかった設定ができ、運用が少ない工数で実現する。Windows版、iCAP版や社内情報共有ツール「Info Board」も、順次バージョンアップする。

 「D-SPA」は、12月14日のリリース時に、透過環境のSSLホストのログを取得できるようにする。また、従来は2台以上での冗長化ではロードバランサが必要だったが、これを不要にする。高橋取締役は「今期中に、より高性能なハードウェアへのモデルチェンジを考えている」と明かした。

 スマートフォン対応については、現在、アップルの審査待ちとのことで、将来は「i-FILTER」とAndroid OS、iOSが連動することで、ウェブのセキュリティを担保できるようなる。(鍋島蓉子)