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ネットマークスとエヌシーアイ クラウド環境で実現する大容量ファイルの高速転送 セミナーで驚愕の高速転送を実演

2013/12/12 18:40

週刊BCN 2013年12月09日vol.1509掲載

 ネットマークス(佐藤宏社長)とエヌシーアイ(橋本晃秀社長)は、11月20日、「aspera向けパッケージon ZETA」の紹介セミナーを東京・港区の六本木アカデミーヒルズで開催した。「aspera向けパッケージon ZETA」は、ネットマークスの高速ファイル転送ソフトウェア「aspera」と、エヌシーアイのプライベートクラウドサービス「ZETA Cloud Private」による高速ファイル転送ソリューションである。

基調講演で登壇した白組 システム部の鈴木勝部長。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズや12月21日公開予定の映画「永遠の0」などの映像処理で知られる同社の取り組みには、IT関係者でなくとも関心が高い

 セミナーでは、特別公演としてコンピュータ・グラフィックスの映像制作などで知られる白組のシステム部 鈴木勝部長が登壇。映像とデバイスの高解像度化によって、映像制作会社が扱うデータ量が爆発的に増大していることを説明し、そのためのインフラ整備の難しさを説明した。例えば、一つのプロジェクトで使用するサーバーの容量は、2010年で48TBだが、2020年には144TBへと増える見込みだという。

エヌシーアイ サービス企画部の下野昭一部長。低コストで可用性の高い、高性能なIaaS基盤として「ZETA Cloud」を紹介した

 この変化に対応していくには、柔軟にインフラ環境を増強できるクラウドの採用が有力になる。ただし、大容量ファイルを扱う場合は、転送時間が課題だ。そこで「aspera」の登場である。ネットマークス ソリューション開発部の小助川通氏が「aspera」の概要を紹介した。このソフトウェアのポイントは、米アスペラ社が開発したデータ転送プロトコル「UDP」にある。一般的にデータ転送で使われるFTPやHTTPでは、帯域を有効に使えなかったり、距離に転送速度が大きく左右されたりする。これはTCPが受信先の応答を待って次のデータを送る仕様で、遅延やパケットロスの影響を受けやすいからだ。一方のUDPでは、データをまとめて送受信するので、この問題は発生しない。

 「aspera」の活用事例として紹介されたのは、デジタル3D映画「アバター」だ。この映画では、ニュージーランドの制作会社が映像を作成し、米国にデータを転送した。「aspera」で、データ転送のボトルネックが解消され、コンテンツ制作時間を1/2に短縮できたという。

ネットマークス ソリューション開発部の小助川通氏。FTPとのファイル転送速度の違いをデモンストレーションした

 「aspera」に最適化したクラウド基盤が、エヌシーアイの「ZETA Cloud Private」だ。エヌシーアイ サービス企画部の下野昭一部長によると、「aspera向けパッケージon ZETA」は申し込みから最短で2日後に利用を開始できるという。完全冗長化などによる高い品質、オンプレミス環境との連携といった運用管理のしやすさもZETAの魅力となっている。

 当日は、デモンストレーションも行われた。FTPツールではまったく進まなかったファイル転送が、「aspera」によってすぐに終了することを実演してみせた。最後に活発な質疑応答が繰り広げられ、参加者の関心の高さがうかがわれた。(畔上文昭)
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外部リンク

ネットマークス=http://www.netmarks.co.jp/

エヌシーアイ=http://www.nisshoci.co.jp/